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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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#人事

【読書メモ】拝啓 人事部長殿

私のような氷河期世代でマッチョ感の残る昭和人間が、このタイトルを見ると「働きにくさへの提言だろう」と思ってしまいます。 そうではありませんでした。 本書は、「会社は本来、人々を幸せにするためにあるのに、働く人々は閉塞感を感じてしまう。それを何とかしたい。」そんな真摯な思いからつづられた日本全国の人事部長への手紙です。 先人たちも苦労してきた人事のあり方著者は、ただ思いをつづるだけではありません。自らが感じた閉塞感への疑問をそのままにせず、日本の人事の仕組みについてその歴

人事異動によって、働きがいを高める

中小企業には、なかなか人が集まりません。一方で突然去ることもあります。そうなってから慌てて採用したり、穴を埋めるために他部署から異動させたりと後手後手の対応になることがよくあります。 人事の対応が後手後手になってしまう理由日本の人事は長いことある前提のなかで行われてきました。新卒一括採用、年功序列、終身雇用です。もっと簡単に言えば、上が抜けて、下から入ってくる、という分かりやすい新陳代謝がありました。ところが、その前提は、だいぶ前から成り立たなくなっています。 ここでいう

今年の人事で主要テーマになりそうなこと

先日、知人の主催で行われた「人事交流会」に参加する機会がありました。人事や人材育成に関する領域で仕事をしている、あるいは関心がある人が集まり、ざっくばらんに意見交換をする会でした。 同交流会で、今年の人事で主要テーマになりそうなことは何か、について話題になりました。その結果、主に以下の4つがあがった次第です。(上記の通りインフォ―マスな意見交換での結果ですので、何かの根拠に基づくものではありません。そのうえで、各社で垣間見ている実情を踏まえた結果でもあるため、ある程度的を射

管理職の多様性(3)

12月25日の日経新聞で、「2021年市場この数字(中)51%、いまだ女性取締役ゼロ」というタイトルの記事が掲載されました。同記事の一部を抜粋してみます。 ~~主要上場企業のうち女性取締役が一人もいない企業は2021年度で51%に上る。外国人の取締役を登用する企業も少ない。企業経営に多様な視点を取り入れることは競争力に直結するとの考えから、取り組みを加速させる欧米勢と比べ見劣りする。 デロイトトーマツグループと三井住友信託銀行が上場企業970社を対象に実施した調査によると

管理職の多様性(2)

先日、ある企業様の管理職研修に参画し、その中で社長講和をお聞きする機会がありました。同研修に参加していた同社管理職の皆さん向けに、社長が伝えたいメッセージをお話するという趣旨でした。 同社様の管理職向け社長講和には、以前も数回同席したことがあります。過去の講和と今回の講和で、どのような言葉(ワード)の変化があるか、注目しながら聞いていました。 今回よく聞いたワードが、「多様性」でした。 講話の冒頭で最初に出たワードも、「多様性」でした。 データをとったわけではありませんが

管理職の多様性

先日、ある大手企業の関係者Aさんとお話する機会があり、Aさんから同社のマネジメントの実情をお聞きしました。Aさんの話の概要は、次の通りです。 ・社長は、経営情報(経営方針や社長の思い含む)が上級管理職者によく伝わっていると思っている。実際に、上級管理職者とは頻繁に経営ミーティングを行っている。そして、上級管理職者が各部署の社員(初級管理職者+非管理職者)にそれら情報を浸透させてくれるのを期待している。しかし、上級管理職者は社員に直接伝える機会をつくっていない。 ・Aさんが

定年を早めるのではなく、働く目的を考える機会を増やそう

「やっぱり、働くのが好きで、どんな形であれ社会に貢献していたい」 ある社員の方とのインタビューで出てきた言葉です。 コンサルティングをする際に社員インタビューをする機会があります。人事制度の改善だと働き方や働きがいについて聴いたりします。 冒頭の言葉は、50代の方々にインタビューした際の言葉です。飾らずにそうありたいと願う気持ちをごく自然に何の衒いも照れもなく話してくれたのが印象的でした。 インタビューの目的は、「定年に伴う雇用延長をどのような仕組みとして整えるか」を検

課題設定力

以前、「AIで社長は採れない」というタイトルの投稿をしました。下記の趣旨でした。 https://note.com/fujimotomasao/n/n37f70d686652 「AIによる採用は、AIにとっての判定の基準があることが前提になる。「○○の業務は、こういう資格を持っていて、こういう経歴があって、こんな行動特性を持っている人が成功しやすい」という過去の勝ちパターンが明確化しやすく、かつそれが今後も続く仕事であるほど、判定の基準が作りやすくなる。そうした基準の作りよ

AIで社長は採れない

昨日の夜は、友人主催のオンライン「人事の会」に参加していました。企業の人事部門に在籍されている方や、人材開発・組織開発コンサルタント、コーチなど、人事領域で活躍されている方との意見交換の会でした。 その会で、採用に関わる方が言われたことが印象に残りました。それは、「AIで社長は採れない」です。参加していたメンバー全員がうなずきました。 言うまでもなくAIの発達はめまぐるしいものがあり、採用プロセスの一環としてもその活用が注目されてきています。私自身はAI採用に直接関与した

転居しない転勤

5月31日の日経新聞で、「どこにいても働けますか(2) JTB赴任せずに「転勤」 仕事場選べる新制度」という記事が掲載されました。 JTB東京都品川区の部署に所属でも、実際は兵庫県の日本海側にある新温泉町の実家で勤務しているという社員の事例を紹介しながら、部署異動と転居を分別し働く場所を選べる制度にした(「ふるさとワーク」制度)という説明でした。必要な時にだけ現地に行けばよくて、住む場所自体を強制移動する必要がないという考え方です。雇用を取り巻く環境が日々変わっているのを実

賃上げは続くが賞与は下がる

今、いくつかの企業様にて賃金制度の検討に参画しています。月例給や賞与制度の見直し、金額設定の再検討を行う上で、判断のベースになるのはその企業の経営ビジョン・戦略、それに紐づく人事戦略です。その上で、世間の賃金相場の動向も踏まえておく必要があります。 先週以降、新聞紙上でも賃金に関する記事が散見されました。例えば、5月30日の日経新聞を以下に一部抜粋してみます。 ~~日本経済新聞社がまとめた2021年の賃金動向調査で、定期昇給と基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を

サーベイのフィードバック

前回の投稿では、「日本の人事部」が主催する「HRカンファレンス」で参加した、「信頼経営」をテーマにしたパネルディスカッションについて取り上げました。今日も、引き続き別のパネルディスカッションをテーマにしてみます。 同カンファレンスで行われた、『「従業員エンゲージメント向上」と「組織活性化」』というパネルディスカッションにも参加しました。これらのキーワードを実現させていく上で有力な方法のひとつに組織サーベイ(診断)があります。サーベイは組織の現状を把握して、課題を発見する手が

今後の雇用の行方(2)

前回の投稿では、雇用市場全体の状態は悪化しつつもアベノミクス前ほど悪いとは言えないことについて考えました。その上で、「希望の仕事がない」という理由で失業状態が続く人が以前より増えていることを取り上げました。 https://note.com/fujimotomasao/n/n43b8acae156e 前回に続き、もうひとつ新聞記事を取り上げてみます。5月21日の日経新聞に掲載された「未経験OK求人増加 コロナ後見据え人手確保優先へ」という記事です。以下、一部抜粋です。 ~

今後の雇用の行方

5月15日の日経新聞に、「雇用のミスマッチ拡大」という記事が掲載されました。言うまでもなく、コロナ禍の発生以降雇用環境で大きな変化が起こっています。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~日本の労働市場で雇用のミスマッチが拡大している。総務省によると仕事に就きたくても「希望の仕事がない」との理由で失業状態が続く人が3割で高止まりする。失業が1年以上に及ぶ人も増える。新型コロナウイルスの感染拡大が長引くなか、短期的な失業抑止のための助成制度から、労働移動を促す仕組みへの転換が求