マガジンのカバー画像

Good to Great ― KC B team

1,833
小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

【読書メモ】予測不能の時代:データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ

知的感動がとまりません。 著者の矢野和男さんは、「幸せ」を科学する最先端にいます。その手法の特徴は、ウェアラブルデバイスで膨大な行動データやライフログを取得するところにあります。そう書くと、エンジニアとしての側面が強いように思われますが、著書やその他の場での発言からは人間臭さを大切にする実践者という印象を受けます。 前著の「データの見えざる手」も発見の連続で知的な感動を得ました。7年経った本書では、AIやIoTのハード面の進歩とともに著者の考察もますます熟成されてきたと感

賃上げは続くが賞与は下がる

今、いくつかの企業様にて賃金制度の検討に参画しています。月例給や賞与制度の見直し、金額設定の再検討を行う上で、判断のベースになるのはその企業の経営ビジョン・戦略、それに紐づく人事戦略です。その上で、世間の賃金相場の動向も踏まえておく必要があります。 先週以降、新聞紙上でも賃金に関する記事が散見されました。例えば、5月30日の日経新聞を以下に一部抜粋してみます。 ~~日本経済新聞社がまとめた2021年の賃金動向調査で、定期昇給と基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を

SWOTを究める②:探求すべき「本当の強み」

SWOT分析についての続編です。よろしければ、こちらもご覧ください。 SWOT分析は現状の分析で留まらずに戦略を導き出すことが目的です。そこで大切なのは「強み」と「機会」にフォーカスすることです。 今回は「強み」について考えていきます。 「強み」を知るたった一つの尺度ではまず、どうやって「強み」を知れば良いのかを考えます。 ドラッカーはこんな言葉を残しています。 強みはある一点によってのみ測られる。それは、成果である。強みはぼんやりとした抽象的なものではなく、成果とい

アフターコロナでコロナ前に戻るもの・戻らないもの

アフターコロナが現実味を帯びてきた他国に遅ればせながら国内でもワクチンの大規模接種が始まりました。 変異種が増加しており、まだまだ予断を許さない状況ではありますがアメリカやEUなどワクチン接種が進んでいる国の感染者数が以前と比較して大幅に減少しており、アフターコロナが現実的になってきました。 コロナが収束した後に、世の中がどうなるのか?もちろんコロナ前に戻るものもあると思いますが、コロナ前に戻らないものもあると思います。それでは何が戻って何が戻らないのか考えてみました。

サーベイのフィードバック

前回の投稿では、「日本の人事部」が主催する「HRカンファレンス」で参加した、「信頼経営」をテーマにしたパネルディスカッションについて取り上げました。今日も、引き続き別のパネルディスカッションをテーマにしてみます。 同カンファレンスで行われた、『「従業員エンゲージメント向上」と「組織活性化」』というパネルディスカッションにも参加しました。これらのキーワードを実現させていく上で有力な方法のひとつに組織サーベイ(診断)があります。サーベイは組織の現状を把握して、課題を発見する手が

SWOTを究める①:クロスSWOT分析で「強み」と「機会」にフォーカスする

経営戦略を検討する際に活用するSWOTというフレームワークがあります。 ご存知の方も多いですよね。 こんな四象限で表現されます。 強み・弱みは内部環境分析と呼ばれます。自社の努力と工夫次第の領域です。機会・脅威は外部環境分析と呼ばれます。自社のコントロールが効かない領域です。 このように整理すると自社を取り巻く環境を網羅的に知ることができます。ただ、それだけだと現状分析にとどまります。「SWOT分析をやってもいつもと同じで発見がない」という声もよく耳にします。 重要な

「信頼貯金」を考える

先週、「日本の人事部」が主催する「HRカンファレンス」に参加しました。数日間にわたって数十の講演・ディスカッションのプログラムがあり、その一部ですが私も参加した次第です。 「カンファレンス」は、会議・協議会・相談・協議・連盟などの意味合いがあります。日本の人事部によると、HRカンファレンスは「多くの人が集まり、一つのことについて話し合い、方向性を見出す場。日本の「人・組織・経営」について、多くの経営者、管理職、人事担当者が集い、共に考える、日本で唯一の場」と説明されています

腕時計に見る市場の変化

先日、数年間使ってきたブランド物の機械式時計を質屋に売りました。個人的に、さほど機械式時計に執着もなく、スマートウォッチに替えようかなと思っていた矢先、スーパーで質屋の特設コーナーを見つけたので、値段を聞いてそのまま売ってしまった次第です。 多少の迷いもありましたが、片づけコンサルタントこんまりさんの示唆「触ってみて、ときめかなければ手放す」を思い出して触ってみた結果、特にときめかなかったので手放しました。売却金の一部でスマートウォッチを買って使いはじめていますが、まだ機能

中途半端な電源構成政策から見える政府のやり切る力の弱さ

「カーボンゼロ」を経営目標に加える企業増加最近「カーボンゼロ」というキーワードが新聞・ニュースでよく取り上げられます。環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して投資するESG投資も欧米を中心に広く浸透し始めており、企業としても対応を急いでます。 温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンゼロ」を経営目標に加える動きが日本の主要企業に広がっている。日経平均採用銘柄225社中少なくとも4割の85社が目標を定めた。投資家の圧力が強まるなか、環境配慮を徹底し、関連技術を

今後の雇用の行方(2)

前回の投稿では、雇用市場全体の状態は悪化しつつもアベノミクス前ほど悪いとは言えないことについて考えました。その上で、「希望の仕事がない」という理由で失業状態が続く人が以前より増えていることを取り上げました。 https://note.com/fujimotomasao/n/n43b8acae156e 前回に続き、もうひとつ新聞記事を取り上げてみます。5月21日の日経新聞に掲載された「未経験OK求人増加 コロナ後見据え人手確保優先へ」という記事です。以下、一部抜粋です。 ~

今後の雇用の行方

5月15日の日経新聞に、「雇用のミスマッチ拡大」という記事が掲載されました。言うまでもなく、コロナ禍の発生以降雇用環境で大きな変化が起こっています。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~日本の労働市場で雇用のミスマッチが拡大している。総務省によると仕事に就きたくても「希望の仕事がない」との理由で失業状態が続く人が3割で高止まりする。失業が1年以上に及ぶ人も増える。新型コロナウイルスの感染拡大が長引くなか、短期的な失業抑止のための助成制度から、労働移動を促す仕組みへの転換が求

【読書メモ】好きのパワーは無限大 挫折から学んだ多くのこと、笑顔のヒミツがココにある

気がついたらずいぶんyoutubeを見るようになっています。テレビで彼女の演奏を見たこともそのきっかけのひとつです。 素人のわたしは、彼女の演奏を「すごい」としか表現できません。テレビで見た時も感動しましたが、その後、youtubeでストリートピアノを弾いている動画を見てすっかりファンになりました。有名なのは広瀬香美さんとのコラボ動画。ほかにも他のピアニストと連弾したりと、即興で作り上げていく世界に圧倒されます。でも、どこか飄々としていて、いつも笑顔。弾いている姿から、ほん

そのデータは、お客様のために使われているのか?

日経新聞の記事です。 #日経COMEMO #NIKKEI 100円均一のイメージは、薄利多売。そう考えるとセリアの利益率は企業努力が表れています。どんな努力かというと、内向きではなく、お客様志向の一歩踏み込んだ努力であると思います。 お客様にとって100円ショップはどんな存在か近年、100円ショップには、300円、500円という値付けの商品もあります。しかし、他の記事を見ているとセリアは、100円にこだわっています。セリアに来ればどれも100円で安心してお買い物ができる

経営指標の定義(3)

先日、ある経営者様とミーティングをした際に、社員の不注意なミスによる300万円程度の損失について話題になりました。 ミスの詳細はここでは触れませんが、本来自社ではなく取引先が負担するべき費用を自社が被ることになったというのが概要です。それも、そうなるリスクを感じていながら社員が放置していたため、取引先に請求できなくなってしまったという顛末のようです。数百万円の純損失です。 仮に金額を300万円としましょう。300万円の利益を上げるために、いくらの売上が必要でしょうか。