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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2021年2月の記事一覧

葛藤をうまく使う組織③ ~そもそもに立ち返る場面をつくる

「葛藤」を「うまく使う」ということを考えてきています。今回で3回目です。過去2回もよろしければお読みください。 前回、前々回のnoteでは、自分自身の理想があるから「葛藤」が起こることを書きました。また、その一方で、「葛藤」を無意識に避ける、または解消するタテマエをでっちあげてしまうことも指摘しました。結果として、わたし達は、自分の理想とする姿と向き合う機会を「知らないうちに」逃してしまいます。 そうならないためには、経営者やリーダーが目標やあるべき姿を示すことが大切です

「ズレた時計とイノベーション」

 前回のコラムでイノベーションのことについて触れました。このような変化の激しい環境下で企業としていかに環境に合わせて変化するかが企業の成長、場合によっては存続を左右することがあります。  これまで様々な会社を見てきましたがイノベーションが起きやすい会社と起きにくい会社があります。変わることも変わらないことも習慣のようなもので、変わることが当たり前の会社ではちょっとした変化がすぐに起きますし、変わらないことが当たり前の会社ではなかなか変化が起きません。イノベーションが起きやす

時間コストを意識した意思決定(2)

先日、ある経営者Aさんとお話する機会がありました。Aさんとしては、中長期的な会社の発展の観点から、新規事業に積極的に取り組んでいきたいというお考えです。具体的な案件もいくつかお持ちです。他方、同社役員陣は後ろ向きだという状況のようです。 お聞きした感じだと、Aさんが役員会にかける新規事業の案件に、同役員陣はことごとく反対のようです。反対の理由も「今はもっと優先順位の高い課題に集中するべき」「わざわざとるべきリスクではない」「今ではない」などのようです。例えば、「自社のミッシ

葛藤をうまく使う組織② ~自ら変わる力を耕す仕組みを持つ

「葛藤」を「うまく使う」ということをテーマに前回から引き続き書いていきます。 ここで扱っている「葛藤」は個人の中で起きている葛藤もあれば、他者との間でおこる意見や価値観の違いによる葛藤もあります。葛藤は嫌なものです。わたしたちは、この葛藤を無意識に避けることがあります。 「あのぶどうはどうせすっぱいんだ」この葛藤を「認知的不協和」と呼ぶことがあります。思っていることとやっていることのギャップ、のようなものです。わたし達はこの不協和を解消する枠組みをでっちあげるのが得意です

長期的な視野に立った人材投資

2月20日の日経新聞で、「日本マクドナルドHD社長に日色氏 課題は再成長策」「日本マクドナルドHD次期CEO 人材育成で頭角現す」という記事が掲載されました。 以下に同記事を一部抜粋します。 ~~日本マクドナルドHDは19日、社長兼最高経営責任者(CEO)に日本マクドナルドの日色保社長(55)が昇格する人事を発表した。サラ・カサノバ社長兼CEOは会長に就く。カサノバ氏は鶏肉偽装問題で苦境に陥った同社を立て直した。新型コロナウイルスで消費行動が変わるなか、日色氏の下で成長拡大

時間コストを意識した意思決定

2月16日の日経新聞で、「政策に「時間コスト」の意識を」という記事が掲載されました。 同記事を一部抜粋してみます。 ~~政策形成への専門家の関与について、政策決定に専門家がかかわることが問題を生み出すこともある。専門家が分析に時間をかけることはプロとして当然だが、政治家は専門家の分析結果を待つことの「時間コスト」を政治判断するべきである。ところが、現在の日本の感染症対策では、政策実施のタイミングまで専門家の判断待ちが当然視される空気がある。 「社会全体のリスク最小化」は、

様々な付加価値

先日、ある企業様でお話をしていて、付加価値について話題になりました。価格を下げずにいかに付加価値を提供して利益を確保できるかが重要だが、全社的にそういう発想が弱い、ということでした。 私たちの日常の消費活動においては、得られるモノはほぼ同一でありながら、得る方法が異なる、ということがいろいろとあります。例えば、ウーバーイーツ。店頭でも買える同じものを、配達という形で受け取ることができます。配達の場合は当然、手数料が加算されます。 私の知人にも、ウーバーイーツの愛用者がいま

葛藤をうまく使う組織① ~葛藤できる力に目を向ける

noteで何度か「ライフラインチャート」について書いてます。 こんなやつですね。 「ライフラインチャート」は、これまでの人生の流れを1本の曲線で表現したものです。時系列でキャリアを振返り、その時々の気分の充実度を描いています。この山谷に着目することで、自分のターニングポイントを発見することができます。 理想があるから悩むことができる若手の研修でこのチャートを書いていただくと、かなりの確率でリアリティギャップが出てきます。入社したけど「思ってたのと違う」という時期がでてきま

株価はバブルか?

最近経営者とお話する機会に、今の株高はバブルなのか、これからまだ上がるのかそれとも下がるのか、ということが時々話題になります。株価の今後は、誰も知らない未来の典型で、市場関係者(金融のプロ)の見解も分かれますし、外れることも日常的にあるものです。私などが言い当てることは当然できませんが、考え方のポイントの整理を試みてみたいと思います。 2月17日の日経新聞に、「日経平均3万円台「バブル」「妥当」拮抗」という記事が掲載されました。以下に一部抜粋してみます(一部加工)。 ~~

方針と目標との一致の重要性

先日、地域に根差した金融機関で働く若手職員の方とまとまった時間お話する機会がありました。学校を卒業後数年間そちらに勤めているということでした。普段あまりお話する機会のない属性の方ですので、いろいろ興味深く聞いておりました。 その方は、就職活動期からメガバンクは受けず、地域密着の金融機関を選んで受けていたということです。大きな会社相手のダイナミックな取引も魅力的だが、自身は地場の会社経営者や住民の方と密着しながら一歩踏み込んで仕事をするスタイルのほうが、やりがいが感じられそう

お節介おじさん・おばさんが組織づくりを助ける

2月16日の日経新聞で、「多様性、生かせてますか(1) 職場救う「お節介おじさん」 」という記事が掲載されました。サントリーホールディングスでシニア人材が相談係になり、包容力を発揮しているという内容です。 同記事の一部を抜粋してみます。 シニア人材の活用が多くの企業にとって課題テーマとなる中で、以前から技能の伝承役やメンターとしての活躍が適しているのではないかという指摘が各所であがっていました。上記の例は、それを一歩進めて形にしたものだと言えそうです。TOOというネーミング

同業界他社と真逆のルール

2月12日の日経新聞で「明治安田、生保営業を固定給」という記事が掲載されました。歩合給を廃止し、社員の収入を安定化させようという方針です。他の保険会社の関係者様からも、同様の動きのお話を聞いたことがあります。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~明治安田生命保険は2022年度から、営業職員の毎月の給与を全額固定給に切り替える。契約実績に応じて毎月変動させていた歩合給をなくし、毎月の収入を安定させることで人材の確保と定着を図る。新型コロナウイルスの感染拡大下では従来の対面に

白か黒か、を超えて

前回の投稿では、エコーチェンバー現象について考えました。閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことによって、思想が極端化していく可能性を認識し、よりよい行動に反映させたほうがよいという内容でした。 https://note.com/fujimotomasao/n/n75f100ffd119 そのことに関連するテーマを、今回も取り上げてみます。 先日、福聚寺 第35世住職 玄侑宗久先生のお話を聞く機会がありました。日本人の心がテーマだったのですが、大変有意義な内容でした

お客様と共に紡いだ言葉で進化してきた

研修などのトレーニング理論の第一人者に、ロバート・パイクさんという方がいます。彼は、5段階で学習レベルを定義しています。 第1段階は「意識していないし、できない」 第2段階は「意識しているのにできない」 第3段階は「意識してできる」 第4段階は「意識しなくてもできる」です。 興味深いのは、最後の第5段階目。 「意識しなくてもできることを意識レベルに落としこむ」です。 何かを身につけようとするとき、最初は意識する必要があります。そして、意識しなくてもよくなると身についた