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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2020年4月の記事一覧

未来に前進するための「保留」

ミーティングのファシリテーションで時に「結論を保留してください」と伝えることがあります。「まあ、これでいいか」と安易に結論づけようとしているときに言います。結論を目指すミーティングにおいて、結論を保留するのは矛盾を感じるかもしれません。しかし、ミーティングの目的を単なる合意形成ではなく、チームとして新たな発見をする創発に目的を置くと、この「保留」は重要な機能を果たします。 結論を保留することで何が起こるのか結論を保留すると、自分たちの話していることを客観的に解釈するような対

オンラインミーティングの特徴

3月以降、オンラインミーティング(ここでは、打合せや会議以外にもオンラインでの教育研修やコーチング、飲み会なども指す)で対応する機会が増えております。 オンラインでのコミュニケーションは、対面・実地訪問とはやはり異なるものです。だいぶん前になりますが、以前所属していた会社時代に、営業シーンでのお客様とのコミュニケーションについて、メール<電話<訪問というルール(考え方)が徹底していました。つまりは、「メールより電話、電話より訪問の順で価値が高い。足を運ぶことに勝る関係構築は

大事では仮定し、小事では仮定しない

先日、ある経営者様とお話する機会がありました。「仮定の話はしないことにしている。うちの役員にもそう言っている。」というものです。 最近の環境下では、特にいろいろなことが流動的に変わっています。 1か月前の3月中旬の時点でも、4月20日現在のここまでの経済的影響・行動制限を予想できていた人は、ほとんどいないでしょう。 今の環境下に限らず平時でも同じですが、企業活動・事業活動では(個人の生活でも)、気になることが日々新たに発生します。 ・取引先A社様が取引条件の変更を依頼し

不急不要に適応して、適応力を失った組織

コロナショックにおける組織の対応の在り方について考えているうちに「失敗の本質」という本を本棚に見つけました。太平洋戦争における日本軍の失敗について書かれています。軍事論ではなく、組織のどのような在り方が日本軍の失敗につながったのか、そこから得られる教訓をまとめたものです。 当時の日本軍とアメリカ軍の違いが上の表のようにまとめられています。日本軍の戦略は、その目的が不明確で、全体最適の視点が欠けており、属人的で、結果に基づいて学習することができなかったという主旨のことが語られ

自粛時期を制する者はアフターコロナを制す

「夏を制する者は受験を制す」という言葉があります。 受験生にとって夏をどう過ごすかが受験の命運を左右するという意味です。夏休みになると学校の授業も無くなり、時間の使い方は自由です。一日中ゲームをして過ごしこともできますし、図書館に入り浸って勉強することもできます。しかし、どのように時間を使うかは自由ですがその時間の使い方が、その後の受験の結果に大きな差が出ることは明確ですね。 私は、この外出自粛の時期をどう過ごすのかで、企業としてもビジネスマンとしてもコロナウイルス収束後の

仕事への思いを言語化する

先週、所属先の小宮コンサルタンツにてZOOMも活用しての経営方針発表会に参加しました。 経営方針発表会は、多くの企業で行われていることと思います。所属先の会社の発表会も、それらと特段変わった構成や段取りがあるわけではありません。経営者から全社の中長期ビジョンと今期計画の説明があり、各部署の計画発表があります。そして、弊社では社員数がそこまで多くはないため、各個人による今期の計画がひとりずつ発表されます。 その中で、「中長期の時間軸における仕事への思いと紐づけて、個人の今期

経済指標から世の中の動向を読み解く「訪日外国人旅行者(3月)93%減」

 予想はしていましたが、3月の訪日外国人旅行者は前年比93.0%減の19万3,200人と激減しました。1月が前年比1.1%減、2月が58.3%減とコロナウイルス流行に合わせて大幅に減っていましたが、3月に更に減少幅が拡大しました。私も仕事柄、全国各地に出張していますが、確かに2月くらいからホテルのフロントの方が外国人のキャンセルが相次いでいると嘆いているのを聞きました。また3月に入ると外国人旅行者を見かける機会がグッと減った印象があります。  ちなみに月に19万人というのは

コロナショックで試される非認知能力

うちの子どもが、某通信教育のツールでなんちゃってApple Watchみたいなのをつけています。設定した時間になるとその時計からミッションが知らされます。ミッションは、算数のドリルだったり、書き取りだったりと、要するに勉強の時間だよということです。いいペースメーカーになって乗せられて勉強しているうちに成績が上がって…となれば良いですが、何か違う気がします。なんだろうこのモヤモヤはと思い始めていたある日、ミッションの知らせを聞いた彼が舌打ちしたのです。テレビを見ようと思ったのに

コロナ対応に関するご案内

昨今の環境下での対応を考えるにあたり、お役に立てるかもしれないと思う情報をまとめてみましたので、お送りします。各社様でのご対応を検討されるうえで、何かのご参照になれば幸いです。 *下記2.3.については、いずれも以下のリンクから閲覧可能です。 https://www.youtube.com/channel/UCWAz8sjCpKluqIcel0yP4AQ 1.経済産業省による 事業者へのご案内 事業者向けの主な内容がまとめられています。 https://www.meti.

重要度リストの整理

コロナウイルス対応の関係で、事業や業務活動に何らかの制約を受けている人がほとんどでしょう。身動きが取れないことや想定外の在宅勤務が増えたことで、普段以上に時間をとりやすい人も多いと思います。私もその一人です。 自身のやるべきこと管理や、行動マネジメントについて考えるうえで、有名な重要度・緊急度のマトリクスがあります。重要度・緊急度の掛け合わせで決まる4つの象限に、自分が普段行っていることややるべきことをリストアップし、現状把握や行動改善につなげるものです。 1.重要度高×

思いを込めて経営計画を語れますか?

御社の経営データをAIに与えれば、それらしい中期計画が描かれる日もそう遠くないという話があります。外部環境・内部環境を分析していくつかのオプションを出すのは、すぐにでもできるでしょう。おそらく精度も人間が考えるより高いですし、何よりスピードが違うはずです。1週間かかっていた環境分析が、タップ一つで目の前に現れる、そんな時代になっています。 では、AIが示した中期計画があれば経営はうまくいくのでしょうか。 計画は、そこに書かれたことを粛々とこなせばうまく行くわけではありません

経済指標から世の中の動向を読み解く「景気ウオッチャー調査が大幅下落」

経営コンサルタントとしてお客様にアドバイスをする上で、世の中の動向を読み解くことが非常に重要です。毎月国内外の各省庁から発表されている経済指標を定点観測している視点から、直近の経済動向を読み解いていきます。 ◆ 景気ウォッチャー調査(内閣府)  内容:地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て、地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し、景気動向判断の基礎資料  見方:DIが50であれば横ばい、それ以上なら景気は上向き、それ以下なら景気は下向きと判断。

イノベーション活動を考える

4月2日の日経新聞「経済教室:企業経営の針路(中)」で、イノベーション活動の視点から見る日米の企業に関する内容が取り上げられていました。同記事では、日米における時価総額上位100社企業について、以下の紹介がなされていました。 ・設立50年以内の企業は、日本より米国の方が多い。 ・設立101年以上の企業も、日本より米国の方が多い。 ・設立51年~100年までの間の企業は、米国より日本の方が多い。 ・時価総額上位100社の設立後年数の平均値を日米で比較しても、米国の方が平均年数

リカレント教育の観点から考える社員研修の意義

■リカレント教育とは何か 昨今「リカレント教育」の必要性が叫ばれていますが、そもそも「リカレント教育」とはどういうことを意味するのでしょうか。「リカレント」の言葉は「回帰する、循環する」という意味です。ブリタニカ国際大百科事典によると、リカレント教育とは「義務教育または基礎教育の修了後、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働、余暇など)を交互に行なう教育システム」と定義されています。つまりは、従来私たちがイメージしてきた「学校(就学)→社会(就労)」という一方向の教育システムで