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上司の「君に任せた」は悪魔のささやき?必ず言質をとれ!

みなさんの上司は部下に仕事を任せるほうですか?「君の判断に任せるから好きなようにやりなさい」といわれたことはありませんか。

仕事を任せられることは部下にとって大変栄誉なことですが、任せられる際に、抑えておくべきポイントがあります。

■リスクヘッジをしているのか
企業向けの研修をおこなうM社がありました。この会社の顧客は上場企業など大手企業が多く、講師レベルも高い評価を受けています。

野間課長(仮名)は社内の中堅社員です。2年前に転職し、現在のおもなミッションは新規開拓活動です。そんななか、部下が一部上場企業の大手飲料メーカーY社のアポイント獲得に成功しました。

部下に同行して会社を訪問したところ、多くの会社が会議室に通されていました。話を聞くと来年が創立30周年にあたり、人材開発体系を刷新したいという話でした。そこにいたのは10社あまり。Y社は多くの会社が取引獲得を目論む有望企業だったのです。

会社に戻り、野間課長は部門長である稲村常務(仮名)の指示を仰ぎました。すると稲村常務は「そんな簡単なことを僕に聞かないでくれたまえ。君の判断に任せるから好きなようにやりなさい」と叱られてしまいました。

迷いながらも、「君の判断に任せるから好きなようにやりなさい」という言葉を思い出しながら作戦を考えることにしました。ところが結果は失注。1回目、2回目の予選会では勝ち上がったものの、最終コンペで負けてしまったのです。

■「好きにやれ」と言っていたのに!
最終コンペに進んだのは2社。あと一歩までのところでした。Y社の担当者からは「提案自体は御社の評価がもっとも高かったです。私は御社を推したのですが~」との返答。

Y社との信頼関係を構築して提案の機会をもらったことは大きなメリットになると考えました。過去のデータを調べたところ、Y社に提案をしたのは野間課長がはじめてでした。

最近は徹夜続きでした。稲村常務からは「よくやった」と慰労されるに違いない。そう思い報告しましたが、対応は予想と大きく異なりました。

「お前はアホか?負けたコンペに金をかけてもなんにもならないじゃないか」「どう責任をとるんだよ。オレは認めないからな。コンペの費用はお前が払えよ!バカたれが!」。

理不尽に見えますが、これは会社における上司の「君に任せた」の本質です。いまのケースであれば、コンペにかかる費用を算出して、承認をもらう作業が必要でした。

さらに、言質をとらなければいけませんでした。コンペ当日に同席を依頼して、「オレは知らない」といわせないための、ファクトを用意することが必要だったのです。

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尾藤克之(BITO Katsuyuki)
コラムニスト、明治大学客員研究員
頭がいい人の読書術」を上梓しました。

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