(1)第一部:燃え尽き症候群とはどのようなものか その①:その症状、燃え尽き症候群では?

体調不良に苦しむ働き世代

医師として働いていると、身体症状を理由に病院に受診しているものの明らかに精神的な負担が関与して症状が起きている患者さんに出会うことが多々ある。

よくあるものでははっきりした理由のない腰痛、疲れているのに眠れない・早く目が覚めてそれ以降眠れないなどの睡眠障害、喉から胸にかけた違和感が続くが検査をしても何も見つからない、耳や脳に異常が見つからないめまいなどなど枚挙に暇がない。

医学的な検査を行ってもはっきりした理由が見つからない場合、”精神的なものですね”と”診断”され、”ストレスを避ける”ことが勧められ睡眠薬や安定剤を処方される。

しかし多くの場合それですっきり症状がなくなることはなく、一部のひとは睡眠薬を常用することになったり結局諦めて来院されなくなったりする。このシリーズの後半で取り上げていく予定ではあるが、そもそも”ストレスを避ける”というだけでストレスが避けられるなら苦労はしない。

中でも30代から50代くらいのいわゆる働き盛りの年齢でこのような症状を訴えて病院を受診する人が非常に増えている印象がある。ひとによっては自分で”精神的なもの”と自覚していて心療内科への紹介を希望されたり、すでに複数の心療内科・精神科を受診しているものの症状の改善が認められない、と訴えるひとも多い。

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