森田和幸(キネプレ編集長)

関西の映画・映像情報ウェブマガジン「キネプレ」編集長。大阪・天六のブックカフェバー「ワ…

森田和幸(キネプレ編集長)

関西の映画・映像情報ウェブマガジン「キネプレ」編集長。大阪・天六のブックカフェバー「ワイルドバンチ 」新店長を兼務。映画とか本とかお酒とか歴史とかボードゲームとかが好き。ここではつらつらと、キネプレやワイルドバンチでのお話を書いていこうかなと思ってます。

最近の記事

糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞の本」を読んできた

ぼくの大事な本のひとつに、糸井重里さんが書いた「ほぼ日刊イトイ新聞の本」がある。 (ぼくの人生で大事な本の3つに入る。残り2つはまたのちの機会に) これは、ウェブメディアの1つの成功事例であり、ものや企画を販売するウェブとしての大いなる先駆者、「ほぼ日刊イトイ新聞」の創業(1998年)から2001年頃までの話をまとめている。(のちに2004年までのことが加筆された文庫版が発売) ぼくがキネプレ、というサイトを作ろうと思ったのが2009年頃。 今の形にして創立したのが201

    • 「泣く」ということについての覚書

      ある朝、寝ぼけまなこをこすりながら、コーヒーを、自分1人のために丁寧に淹れた。お気に入りのファイアーキングのカップにちょうど一杯分、というのがいつもむずかしい。コーヒーポットの目盛りの一杯と二杯のちょうど真ん中なのだ。 カルディで買ってきた、まだなんとか鮮度を保っているコーヒー豆を、ミルでギュイイインと挽く。耳障りな器械音を聞きながら、ふと、自分にとって尊敬する人が亡くなったときぼくは泣くんだろうか、と思った。 歴史が好きだった。幼少のころ、小児ぜんそくになったぼくは

      • ぼくは、映画と文章とお酒に、人生を救われた

        ぼくは、映画と文章とお酒に、人生を救われた。 いまから10年以上前のことだ。 映画に救われた、というと「なにをおおげさな」と思うだろう。 でも忘れもしない、大学生のある一年間。ぼくは人との摩擦におびえていた。 外に遊びにいく気力がわかず、人と接する勇気も持てなかった暗い時代に、ぼくはひたすら映画を観まくった。 最初はレンタル。一週間で平均5本、一日3本観る日もあった。ずっと同じソファに座って同じテレビの画面で、飽きもせず映画ばっかり観ていた。 黒澤・小津、ハリウッド、アート

        • 10年前の自分への手紙を書こう、と思った

          冬、ネオンが輝きクリスマスのライトアップがまぶしい夜の大阪。 心斎橋で、タクシーに乗った。 後部座席に案内した男性が、助手席に座ったぼくに聞いた。 「『カメラを止めるな!』の、森田さんなりの良かったところを教えてほしいです」 その男性、上田慎一郎監督に、ぼくはツバを大きくごくんと飲みこんでからとっさにこう答えた。 「全てが丁寧なところです。観客を突き放さず、ちゃんと楽しいところへ連れていってくれる。盛り上げ、映画館で映画を観るっていいなという気分にさせてくれ

        糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞の本」を読んできた