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【シーズン2-11:エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング】フィードフォワード応用編③ ~経営者の「迷い」との向き合い方

(1)なぜ、私は迷わないのか


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。

シーズン2では、CEOコーチングの中でもとくに重要な要素であ未来思考:フィードフォワード」を軸にお話ししています。

 

今日のテーマは「迷い」です。

「迷うことはありませんか」という質問に対して、私は決まって「ありません」と答えるようにしています。

 

選択肢同士を比べて、どちらがよいかを検討して決める際、「どちらにしようかな」と考えることはあります。しかし、これは考えているのであって、迷ってしまって困っているわけではありません。

 

なぜ私は迷わないのでしょうか。

それは、目指すゴール、夢、ビジョンがはっきりしているからです。

目指すべきものが決まっている場合、選択肢として浮かんできたものに対して「どちらのほうが早くゴールにたどり着けるか」「確実に大きな成果をもたらすのはどの案か」「どれを選べば、関係者は満足するだろうか」等、いろいろな軸を考慮しながら、総合的に一番よいものを選択すればいいのです。

 

では、どちらも遜色ないくらいに「よい」選択肢だったらどうでしょうか。

それはどちらでもいいのです。どちらかを選んで、そちらがダメだったなら、もう1つの選択肢を再度実行すればいいと考えるしかありません。

 

どちらも「悪い」場合は、どうでしょうか。

「こちらに行っても、あちらに行っても、全部ダメ……」となって、迷ってしまうかもしれません。

しかし、そのときでも、「なんとか生き延びる」「この難局を乗り切る」等、目指すべきゴールがはっきりしていれば、選択することができるでしょう。

 

(2)「過去のやり方」を考えるのは「フィードフォワード」ではない

過去のことを「ああだこうだ」言うのではなく、未来を考える――。

「未来」の対処法を考えた結果、迷わずに選択できるようになるわけですから、ここまでお話ししたこともまた「フィードフォワード」の一部といえます。「フィードフォワード」を身につける、すなわち、未来から物事を考える視点を獲得することで、迷わずに選択できるようになるのです。

 

逆に、「以前はどうやっていたのか」と、「過去」を考えるのは「フィードフォワード」ではありません。「フィードフォワード」のプロセスは「目指すべきゴール」に照準を合わせたものであり、過去を思い出したり、探ったりすることではないからです。

 

もちろん、未来を考える際、過去の事例を調べたほうがよいケースもあります。ただし、そうしたケースでも、「ゴールはこうだから、こういう方向がよいだろう」「そういえば、前にも似たようなことがあったな」「それを調べたほうが効率がよさそうだ」という順番で考えることが大切です。あくまで起点は「未来」であり、「過去」を振り返るのは「未来のための情報収集」に過ぎないのです。

 ちょっとした違いのように思えるかもしれませんが、未来を起点に考えるか、過去を起点に考えるかの違いは、結果的に大きな差を生みます。「前回はどうしたんだっけ?」と調べた瞬間、過去に引っ張られてしまうものです。

 

新しいことを考えたいときも、過去を調べてはいけません。
アイデアがゼロの段階でいきなり過去を調べてしまうと、過去から抜け出せなくなるからです。もし、「前はどうしていたのだろうか」と考える習慣をもっているのなら、その習慣から抜け出すことを強くおすすめします。

(3)弁護士も、医者も未来思考で考える!?

私は弁護士ではないので、断言はできませんが、いきなり過去の判例を参照してしまうと、うまくいかないケースがあるのではないでしょうか。

まずは、何もないフラットな状態で、「こうではないか」「こうしたらよいのではないか」と考え抜いたあと、「そのアイデアをサポートするような条文、判例を探そう」というプロセスを踏むべきであって、最初から「これまでの判例ではこうだから……」と考えてしまうと、足をすくわれることがあるはずです。

 医者も同じです。
「こういう症状だから風邪だね」というくらいであればいいのですが、命にかかわるような病気であれば、ゼロベースで診断して、治療法を考えてほしいですよね。

 「これまではこうやっていました」といった知識を豊富に有していることが評価されるステージにいる人は、要注意です。リーダーになりたいのであれば、レベルアップしていく必要があるでしょう。

(4)迷いを回避するためのテクニック

すべての情報がそろっていれば、答えは必ず出ます。

たとえば、ある商品を100円にするのか、150円にするのかを考えるとして、「100円だったらこのくらいの割合の人が購入する」「150円だったらこのくらいの割合の人が購入する」ことが100%わかっていたなら、決めるのは簡単です。

しかし、すべての情報が揃っていることはほとんどなく、実際には、100のうち、20とか30の情報で判断することになります。そのときのポイントは、入手できるすべての情報を目に見える形で並べて考えたり、話し合うことです。そうすれば、精度がかなり上がり、迷いも少なくなります。

私自身、ある行動をするかしないか判断するときは、する場合、しない場合のプラスとマイナス(メリットとデメリット)を書き出すようにしています。「プロコン」(プロズ&コンズ)と呼ばれている手法です。 

1枚の紙に書き出して、見える化したうえで判断するなら、たとえ情報が不足していても、そう大きくずれることはないでしょう。たとえズレたとしても、「こちらを優先して判断したけれど、今度はこちらを優先しよう」というように、修正したり、代案を出しやすくなります。

ここまでお話ししたことを実践しているため、私は頭の中で問いがぐるぐる回る状態を回避できているのです。いろいろな場面で応用できる手法ですので、ぜひ実践してみていただければと思います。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回またお会いできるのを楽しみにしています。


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