見出し画像

五十嵐紅「ギターと静寂」

9月18日(水)月が綺麗な夜
ぎふ清流文化プラザにて、クラシックギタリスト五十嵐紅の演奏会があった。

クラシックギターというと、数年前ベストセラーとなった平野啓一郎「マチネの終わりに」の主人公がクラシックギタリストであり、後に映画化されて福山雅治が演じたことで、身近に感じるようになった人も多いのではないだろうか。

そんな中、SNSでクラシックギターを演奏する青年、五十嵐紅のLIVE告知を見るようになった。

なんだか気になって、YouTubeで検索すると、

YouTubeの動画を観て、まんまとハートは射抜かれた…ということで、平日開催ではあったけれども即購入。

彼はチェロ、バイオリンとのトリオも組んでいて、そちらも最高である。

トリオもソロも違う味わいであり、別物とも言える。こちらも是非ホールで聴きたいものだ。

派手な演出も無く、歌も無く…そんな時間を私はどう過ごすのかと、それが自分でも興味深かった。

手持ち無沙汰にならないか?退屈しないか?

そんな瞬間は一切無く、ただ1時間と少しのリサイタルの間、ただギターの音と紅さんの語りに浸る。

「ギターは元々いろんな大きさがあり、僕のこのギターのように小さなものも19世紀頃にはたくさんあり…僕のこの立って弾くスタイルも19世紀の絵などに残っています。」と、彼はギターを抱えて弾く。

ポンーと、弦を弾いて、音を天井に向けて飛ばすように余韻を味わう彼の身体からは、まるで空に向けて「音の粒」が放たれているようだった。

「僕は弦を弾く時に爪を使いません。指頭奏法という弾き方で弾いています。初めは、音も小さく聴こえるかもしれませんが、そのうちその小さな音が当たり前の大きさに聴こえるようになると思います。」と話してくれた通り、ギターの小さな音が、ホールを包み込んだ。

「とにかくお疲れ様」
映画のエンディングロールの様に、この数ヶ月の嵐の様な日々の終わりを告げてくれるような、クラシックギターの調べだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?