海外流学⑨ 2010年23歳の時の書記をそのまま載せてます。

●あるカナダ人若手映画監督との出逢い

彼と出逢ったのは、僕がバンクーバーに来てすぐの事だった。僕は部屋を探していて、偶然彼の家を見に行ったのがきっかけだ。結局僕はそこには住まず、それから約1年半逢うことはなかった。けれど、ある日たまたま街で偶然出逢い、それから飲みに行くようになった。話しをしていくうちに、彼が若手映画監督だと知った。そして、彼がどれだけ映画製作に真剣で、どれだけ時間を夢にかけているかを知った。それと同時に、どれだけ僕が口だけの俳優なのだと思い知らされた。むしろ彼の眼を見た瞬間にこいつには敵わないと思った。何かに真剣な奴には、その気持ちや、今までの経験、労力、自信、全てが目に宿る。恥ずかしい話だが、映画の話をしている時は奴の眼を3秒も見てられなかった。それだけ、僕の眼には何もなく、事実何もしていないのがあからさまになった瞬間だった。だからこそ、彼との出逢いはとても大きかった。ある夜、彼は僕に対する本当の気持ちを言ってきた。「お前は俳優として何をやっているのだ?真剣さが伝わらない。そんなクソみたいな口だけ俳優は腐る程いる。お前はその1人だ。俺は、お前を俳優として認めない。ただのプレイボーイだ。」と。何も言い返せなかった。なぜなら、全て図星だったから。悔しくて、情けなくて、泣いた。そして認めた。僕が日ごろから思っていた不安要素や、日本での俳優活動がうまくいってなかった事。自分には何もない事。全てを彼にぶちまけた。それから彼は「人前で泣けるのか。正直に自分の弱い所を認めて、口に出したな。それができるなら、いい俳優になれるよ。」と。彼には感謝せざるをえない。彼が友として正直な気持ちを言ってくれたおかげで、僕は奮起できた。僕は俳優です。と堂々と言うために、努力を惜しまない事、そして絶対になってやる!という気持ちに、改めてさせてくれた。今、彼は僕の親友でもあり映画製作パートナーだ。お互いに、楽な方に逃げないように最低週3回は会って、互いケツを叩いている。僕のカナダ人の一番の友達。

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