デジタルカメラ時代の写真の色って難しい

こんにちは、フリーランスフォトグラファーのまちゃるです。

今日は「写真の色」についてみなさんにお聞きしたいことがあります。

みなさんは写真を見るとき、どんな媒体(メディア)や方法で見ますか?SNSをされる方はスマホをよく使うでしょうし、パソコンで見る方も多いと思います。

ちょっとこだわる方は紙にプリントして家に飾ったり、写真展を見に行ったりされるでしょう。

一方で最近ではデジタルカメラやスマホなどで撮る側になることも多いので、「写真を見せる」立場の方の増えています。

そんな方にお聞きしたいのが「自分が撮った写真の色に満足していますか?見てもらう人にちゃんと伝わっていると思いますか?」ということです。


デジタルで写真を見てもらう難しさを感じた

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最近ですが、ある仕事の撮影でこんなことがありました。

順調に撮影が終わり、いつもどおりレタッチ→納品と何事もなく終えた後にお客様から問い合わせをいただきました。

「家のパソコンでもらった写真を見ると、色がくすんで暗く見えるのですが、このまま印刷して大丈夫ですか?」と。

自分としては色・明るさ調整を行ったモニターを使ってレタッチを行い、納品前には複数のメディアで確認していますので、その旨を説明して「そのまま印刷していただいて大丈夫です」とお伝えしました。

しかしお客様は納得されず、「自分で調整したい」とのことで数回のやり取りの挙げ句、試しに数枚だけご自分でレタッチをしてもらいました。

その後お客様はご自分でレタッチした写真データを持って、印刷に向かわれたそうですが、実際にプリントしてみるとかなり変な色と明るさになったとのこと。
同時にプリントしてもらった私の写真データは問題なく、そのまま再現されたそうです。


おそらく原因はお客様のパソコンのモニターの色や明るさ調整が上手くいっていなかったことにあると思われました。
その結果、正しくない色環境の中でレタッチをしてしまい、プリント時に大きな違いが出てしまったようです。


この経験から感じたのは、「写真データを見るモニターそれぞれによって微妙な違いが出る可能性はあるので、こちらが想定した色がお客様に正しく伝わらない可能性もデジタル時代だと起こりうる」ということでした。


モニターの性能はよくなったがそれでも微妙な違いがある

写真や映像を見るためのモニター(スマホやパソコン、テレビなどなど)の性能はここ数年で一気に良くなってきました。
人間がふと見て明らかに色や明るさがおかしいものと言うのは少なくなってきたと思います。

それでも大半の家庭では、モニターのキャリブレーションが行われていることはまれだと思います。

キャリブレーションとは・・・
較正、校正、調整などの意味を持つ英単語。測定器で標準通りの値を得るために、標準器などを用いてその機器の偏りを計測したり、正しい値になるよう調整したりすること。
ITの分野では、画像の取り込みや表示・印刷を行う装置で、正確な発色になるよう使用前に調整する「カラーキャリブレーション」のことを意味することが多い。これはディスプレイ(モニタ)やプリンタ、イメージスキャナ、デジタルカメラなどで行われる作業(あるいはそれらが備える機能)で、機器ごとの発色特性の違いや個体差、経時変化などを補正し、どの装置でも同じ色が再現されるように調整することを意味する。

専門家ではないので詳細は詳しいサイトなどをご覧いただければと思いますが、モニター類は完全に統一された色や明るさを再現するのはかなり難しいようです。

①各メーカーがよりよい色や明るさ、再現性を求めて独自の技術を使っているから。

②経年劣化が起こりえる。定期的にキャリブレーションをしてメンテナンスする必要がある。

が大きな理由のようです。

最近では以前に比べて、比較的簡単に、安価でキャリブレーションができるようになってきましたが、それでも映像や写真、デザインなどの関係者と色などの正確性と美しさにこだわる一部の一般家庭のみがキャリブレーションを行っているのが現状ではないでしょうか。

つまり、デジタルカメラやスマートフォンと言った入力側(撮影する側)が爆発的に増えた一方で、出力側(見る側)の理解がそれに比例しては増えていないという矛盾があると思います。


見る側の理解が進んでほしい&やっぱりプリントも大切

今回の経験も踏まえて考えると、まだまだ日本は芸術的にも技術的にも写真や映像を鑑賞するための理解が進んでほしいなと感じています。

芸術で言えば、ヨーロッパなどと比べて日本は幼少期から芸術作品に触れる機会が少ないと言われているので、そういったところから少しずつ改善していって、芸術に対する基礎的関心が高まればいいんじゃないでしょうか?

同時に今回感じたのが、「写真を見せるうえでのプリントの大切さ」です。

現時点では色や明るさに微妙な違いが出ざるを得ないモニターでの鑑賞に比べて、紙にプリントしたものは唯一のものとして見る人に提示することができます。

色や明るさ、質感、雰囲気といった全てを撮影者の意図通りに組み立て、見ている人に示せるのがプリントの醍醐味です。

そういう意味では、これだけデジタル全盛の時代でもプリントした写真が一定の地位を占めているのは納得できます。


*ブログで写真のプリントについて少しまとめました↓


もしご覧いただいているカメラマンや写真家、デザイン関係者など「写真の色についてこう考えているよ」とか「お客様にこう説明してる」というのがあれば、教えていただけると嬉しいです。

サポートしていただいたものは情報収集や撮影に使わせていただき、役立つ情報としてみなさんに発信できればと思います☆