冬の匂いが嫌いなんだ

季節による匂いって、あれ、万国共通なのかな?
過ごした場所も経験も十人十色なのに、夏が来ると、冬が来ると、あ、今年も来たな。って感じる。

冬がね、嫌いなんですよ。
冬はあなたとずーーーっと一緒にいたから、冬の匂いを感じると、ふわふわのパジャマに身を包んだあなたを思い出す。
一緒に鍋をした。映画を観た。Huluにする?ネトフリ?一緒にベランダに出て、大きく息を吸って、はーーーーーって息を吐いて、真っ白だねって笑いあった。
そんな記憶が、無理やり閉じた蓋をぶち破って戻ってくるんですよ。閉じ直すのもしんどいのに。

シングルベッドに成人二人
狭くないわけないのに、あったかくて、あなたの髪の毛がふわふわと私の鼻先を撫でるのも、そこにある全ての時間が愛おしかった。シャンプーの匂いがなんだか懐かしい安心感を運んでくれて、月並みな【この時間がずっと続けばいいのに】なんて思いながら眠りにつく。

ほらね、思い出したらさ、
あなたと私がいたあの部屋が、本当に懐かしく感じてしまう。ラグに手を置いた感覚も、スーパーで買ったお刺身の味も、どうして私は忘れてやれないんだろう。思い出して辛くなるのは自分なんだから、早く忘れてやってよ。

寂しがりのあなたが、私の知らない誰かと過ごす冬に、安心を感じられますように。笑ってればいいな。お節介でちょっと気持ち悪いな。

はやくはやく、夏が来ますように。
あなたとの時間が色濃い後悔になる前に、全部を忘れられますように。

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