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Co-presence いてくれること

最近 居てくれること、見守っていてくれるとこの大切さを再認識したので再録

誰かが、ただ見守ってくれることの大切さ。
一歩踏み出す勇気をもらえる。

以下、鷲田清一さんのスピーチから。

阪神淡路大震災のときに、わたしは当時神戸大学の附属病院に勤務しておられた精神科医 の中井久夫先生から一つの言葉を教わりました。

copresence という言葉です。中井先生はこの 言葉を「いてくれること」と訳し、他人の copresence が被災の現場でいかに重い意味をもつかを 説かれました。

被災直後、中井先生は地方の医師たちに救援の要請をなさいました。全国から 多くの医師が駆けつけたのですが、中井先生はじめ神戸大学のスタッフが患者さんにかかりっ きりで、応援団になかなか交替のチャンスが、回ってこない。そのうちあまりに長い待機時間に 小さな不満が上がりはじめたとき、中井先生はその医師たちに集まってもらい、「予備軍がいて くれるからこそ、われわれは余力を残さず、使いきることができる」と語りはじめました。

そして、 「その場にいてくれる」という、ただそれだけのことが自分たちのチームにとってどれほどポジテ ィヴな意味をもつかを訴えられたのです。

じっと見守ってくれている人がいるということが、人を いかに勇気づけるかということは、被災の現場だけでなく、たとえば子どもがはじめて幼稚園に 行ったときの情景にも見られることです。

子どもがはじめて幼稚園に行ったとき、母親から離れ てひとり集団のなかへ入ってゆくときの不安は、だれもが一度は経験したはずです。ちらちら母 親のほうをふり返り、自分のほうを見るその顔を何度も確認しながら、恐る恐るやがて仲間となる はずの見知らぬ他者たちの輪のなかへ入ってゆく......。

人にはこのように、だれかから見守ら れているということを意識することによってはじめて、庇護者から離れ、自分の行動をなしうると いうことがあるのです。

http://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/president/files/h23_shikiji.pdf

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