Kazumichi Sakata
新しい働き方LABの研究テーマ:朝読著を習慣化するとその日の生産性は向上するのか?
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新しい働き方LABの研究テーマ:朝読著を習慣化するとその日の生産性は向上するのか?

Kazumichi Sakata

こんにちは!6月より Lancers が提供する「新しい働き方LAB」の研究員制度の第1期生として活動することになりました、ワークライフ・バランスコンサルタントの坂田と申します。

新しい働き方 LAB の研究員制度とは、実験を通して、自分なりの「新しい働き方」に挑戦する企画です。研究テーマは「自主企画」と「指定企画」に分かれており、私は今回、自主企画として『朝読書を習慣化するとその日の生産性は向上するのか?』というテーマのもと、来年春までに実験を通じたレポートをまとめていきます。これからの note では、実験の様子やそこで得られたヒントなどをご紹介していく予定ですが、先ず初めになぜこの研究テーマを選んだのか?についてご紹介していきたいと思います。

実験の目的と背景

朝は人がその日の活動をする準備を整えるための貴重な時間です。朝起きてからすぐに日を光を浴びると、眠りを誘うホルモンの分泌が止まり、生体リズムがリセットされ、その日を元気よくスタートすることができることは、研究でも明らかになっています。

しかしながら、仕事にいざ着手しようとすると、集中力が続かずに思い通りに仕事が進まなかったりミスをしたり、1日の始まりに近いほど生産性が相対的に低くなることがありました。身体は起きていても、脳が起きていないのです。

ワーク・ライフ・バランスと健康に関する調査を行なっている北里大学 島津明人教授

人間の脳が集中力を発揮できるのは朝目覚めてから 13 時間以内で、集中力の切れた脳は酒気帯びと同程度の、さらに起床後 15 時間を過ぎた脳は、酒酔い運転と同じくらいの集中力しか保てない。脳の集中力こそ仕事上最も大事な武器になる

と指摘しています。脳の集中力が成果に直結するホワイトカラーは残業中の労働生産性が最も低い。もっとも集中力の高い日中の時間帯を効果的に使うことで、生産性を高める取り組みが必要になってきます。

この研究では、脳に着目し、1日のスタートから生産性を高めるための方法を、朝読書を通じて検証することを目的としています。

また、朝読書を習慣化することで、これまで読書に時間を割くことができなかった私の生活をより創造的に、豊かになることを期待しています。そして、実験の結果が少しでも日本の働き方改革を進める上でのヒントになれば幸いです。

活動の概要

後に述べる期間中に朝読書をする習慣を作り、生産性にどれほど影響を与えるのかを計測していきます。尚、読書時間は15分と設定しています。

なぜ15分なのか?

株式会社ベネッセホールディングスと東京大学 薬学部の池谷裕二教授が中学 1年生を対象に行った「勉強時間による学習の定着・集中力に関する実証実験」において、集中する時間を15分に区切った方が、合計学習時間が短いにも関わらず、60分区切りで集中した場合と同等の学習効果が得られると言われています。

時間で区切るもう一つの理由は、新しい習慣を始めるにあたってのハードルを低く抑えることができるためです。満足するまで読み続けようとすると、次に取り掛かりにくくなります。物足りない、もっと読みたいという想いが、朝読書のリズムを維持してくれるのではないか、という想定のもと、実施します。

実験中に読む書籍は「ショートショート」に分類される小説を扱います。Wikipedia では以下のように書かれています。

ショートショート(英: short short story)は、小説の中でも特に短い作品のこと。簡易的に「短くて不思議な」小説とされることもある。 定義は諸説あり、短編小説や掌編小説、ショートストーリーとは異なる独自のジャンルといわれることが多いが、それらを区別しない場合もある。ジャンルは、SF・ミステリー・ユーモア小説など様々。アイデアの面白さを追求し、印象的な結末を持たせる傾向がある

日本の文庫本で1ページから数ページで収まる長さの小説であり

・新鮮なアイデア
・完全なプロット
・意外な結物

の三原則が盛り込まれたものとして定義されています。既に面白そうである。たくさんあるショートショートの作品の中でも私が選んだのは、日本におけるショートショートの第一人者であり、全国の中学・高校で配布されている新潮文庫の小冊子でも取り上げられている星新一氏の『ブランコのむこうで』です。

実験のスケジュールと進め方

7月より2週間、朝読書をせずに毎朝1分、ある本のページをタイプ入力してその平均文字数を計測してます。同様に次の66日は朝読書を取り入れた場合の平均文字数を計測してその差を比較します。

生産性を計測する方法は非常に難しく、テーマを設定したものの頭を悩ませていたのですが、新しい働き方LAB のアドバイザーを務められているサイバー大学の勝眞一郎教授よりご助言をいただいた結果、上記の方法で実験結果を記録していきます。

同じページだと慣れが出てくるので、違うページがいいですね。ページによって難易度が変わる恐れもありますが、難易度は許容範囲内と仮定してみると可能です

記録したデータは、有用性を検証した後に、レポートにまとめて note で公開する予定ですので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。

ところで、朝読書をなぜ66日続けるのか気になりませんか?これは大変興味深かったのですが、ロンドン大学のフィリッパ・ラリー教授は

多くの被験者に参加してもらい習慣形成までの日数を調べたところ、最短で18日、最長で254日かかった。平均で66日である(Lally 2009)

と説明しています。

タイプ入力する書籍は、ウェルビーイングの活動に力を入れていきたいと考えているためレイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』をセレクトし、合わせて読書を楽しみたいと思っています。

彼女は1960年代に環境問題を告発した生物学者で、生前に以下の言葉を残しており、今から読むのを楽しみにしています。

自然の中に身を投じ、「センス・オブ・ワンダー」すなわち「神秘さや不思議さに目を見張る感性」を子どもたちに授けることが、今後、地球を守っていく私たちの使命だ

冒頭に述べたように、この実験では脳に着目していきます。そのため、精神科のアンデシュ・ハンセン氏が自身の著書『スマホ脳』でも警鐘を鳴らしているように、デジタル脳化による記憶力や意欲の低下によって生産性にも影響を及ぼしかねないデジタル脳過労の緩和も合わせて測っていきたいと思います。

参考文献:
Phillippa Lally, Cornelia H. M. van Jaarsveld, Henry W. W. Potts, Jane Wardle(2009), "How are habits formed: Modelling habit formation in the real world", European Journal of Social Psychology, Volume 40, Issue 6 October 2010 pp.998-1009.

Kazumichi Sakata
精神病を患い、転職を繰り返しながら自身のメンタル不全に向き合う都内在住のアラフォー会社員。株式会社ワークライフバランス認定 ワーク・ライフバランスコンサルタント。#新しい働き方LAB 第1期研究員。一児のパパ。