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過去を繰り返すだけのAIは社会の進歩を阻む

「過去を熟知した人工知能(AI)が分析すれば、将来のリスクをなくす助言ができるかもしれない」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52568680V21C19A1EA9000/

 上記の記事の指摘に代表される現在のAIの使い方は、AIの間違った使い方である。
 単に、大量の事例のあることについて、過去の成功を繰り返し、失敗を避けるためにデータを使っている。そして、過去の成功を再現する精度ばかり気にしている。
 この「過去の成功の繰り返し」というのは、AIという技術の制約ではない。これは、人間が、愚かにも、このような使い方に限定して使っているだけである。そして、これは間違った使い方である。
 我々が気にすべきは未来だ。過去は参考になるが、未来の可能性は、過去より遙かに広大である。現在のような過去の範囲に留まることを奨励することは、新たな挑戦を避けるべし、といっているようなものである。無意識のうちに、未来の可能性を阻むことをAI活用の目的にしてしまっているのである。とんでもないことである。

 AIは、我々がもっと創造的になるために使える。我々がデモしているブランコのデモでは、新たなブランコの乗り方や、鉄棒の大車輪を発見することができる。
https://www.youtube.com/watch?v=q8i6wHCefU4
 これは囲碁のケースも同じである。アルファ碁は、人間の打ち方とは全く異なる打ち方をした。例えば、序盤から盤面の中心に打つような動きをしたが、これは従来の定石に反することだった。これは、人間が「定石」をつくって、過去のうまくいったやり方の中で打つことを奨励しているために、新しい打ち方の探索が不足していたわけである。
 このブランコやアルファ碁がベースにしている探索型のAIの使い方にそろそろ切り替えるベキである。
 技術は既にある。これを阻んでいるのは、我々人間の不確実性を避けるマインドだ。AIではない。

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