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「パラダイムシフト」〜本人全曲解説〜 Kazumichi

〜変わりゆく時代の空気に紛れて、掘りおこした10曲〜

一度きりをワガママに。16歳のあの頃と同じように生きる。
日々のニュースに傷つきながら、低所得の暮らしが続く。
とらわれずに行こう!
あてのない未来へ。
受け継いだ身体に感謝して、ほどけたくつひもを結びなおし、
まだ憧れている少年がここにいる。
夢ばっかり口にして。

冒頭の文章は、この間リリースしたオリジナルアルバムの販売ページに載せたものです。

俗に言う「ライナー・ノーツ」は、普通はミュージシャン本人ではなく、ライターや関係者が書くものだそうです。でも僕は、ミュージシャンではないし、事務所がどうとか全く関係ないので、自分で書きます。

書いてくれる人もいないし(笑)、そもそもライターとしての技量もつけたいので、自分で書けばいいじゃん!というわけです。

ミュージシャンじゃない。すでに、ミュージシャン「志望」でもない。

そんな自分が、オリジナルアルバムを制作・販売しているわけですが、となると「自分は何者なんだ?」という、ちょっとした自問自答が降ってきます。でも自分なりの答えがあります。


「フリーランス・シンガーソングライター」です。


要は素人じゃねーか!

そう言われそうですが、そうでもあるし、そうじゃない。

現在の僕は、フリーランスを目指しています。

写真・音楽・ライティング。この3つを柱とした活動で、生活できる収入を得ることが目標です。一般的には、個人事業主とか、独立とか、起業とか、いろんな言い方をするのかもしれませんが、どうでもいいです。ほんと、食っていけるだけ自力で(サラリーではなく)稼げたら、もう僕は成功者です(笑)。

そんなわけでして、ミュージシャンの夢は諦めましたが、音楽を辞めなきゃいけない理由はどこにもない。むしろ、時代と共に可能性や面白さが広がっていると感じます。

オーディションで拾われなきゃ?

ライブにたくさん集客出来なきゃ?

音源作って、手売りや、販売業者経由で売らなきゃ?


確かに今でも「メジャー」になれるのはひとつまみ。

変な言い方ですが、そんな賭けみたいな可能性を目指す時代じゃないのかもしれません。スゴイ人はスゴイ!それはもちろん認めます。憧れのミュージシャンだってみんな超一流です。でもそれを目指して「成功or挫折」の人生では、あまりにも報われない。夢を持って目指す人は、誰しもきっと真剣に音楽と向き合っているんですから。

YouTubeは、すでに数年前からメディアの主役に躍り出ていて、その舞台でいち早く活動していた方が、今やビッグウェーブに乗っている印象です。それに続けと言わんばかりに、我よ我よと「YouTuber」が増えています。

芸能人、有名人は流石に強い。しかもTVとは全く違う顔を見せている。江頭さんなんか、めちゃくちゃ素敵な人だとバレちゃった(笑)。しかし、もとは「素人」が華を咲かせる夢舞台。がんばれ、素人。

そういう時代の変化と、コロナによる社会の急速な変貌。悲観しても仕方がないが、大変なことも増えたかもしれない。

でも僕は。なんだろう?この可能性のようなものを感じる雰囲気は。

その根拠のない希望に引っ張られてやろうじゃないか。

それが僕の「パラダイム・シフト」じゃないだろうか。


自分でサイトを作ってリリースできる。値段も自分で決めて、自由に作品を発表できる時代!こんなワクワクすることある?発表する場所を自分で作って、世界に公開出来るなら、音楽制作がまた楽しく思えてきました!

前置きが長くなりましたが。

そんなわけで、夢破れはしましたが、これまで作った沢山の曲があります。これからも増えていくことでしょう。それを、自分の新しい音楽活動の形として制作・発表・販売していくことにしました。

その第一作目としてのこのアルバム。「パラダイムシフト」。

全10曲。作詞・作曲/ Kazumichi、音源制作はKazumichiワークス

全部自分って事です。

さらに自分の歌を自分で解説。どんだけセルフ・プロデュースなんだ(笑)。

歌の解釈は自由で良いのですが、参考までに?製作者の曲に対する思いを話させてもらおうってわけです。それによって、もしかしたら歌詞の意味がわかったり、面白い発見をしてもらえたら嬉しいかなと。

①ワガママ

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第一作目の一曲目に持ってきたこの曲。さぞかし思い入れが…というわけでもなく。「ワガママ」ってなんか、周りが困るような、人に迷惑をかけるような、個人の「自分勝手」という言葉のイメージですよね。

いろんな角度からの言葉の見方というか、僕のこの「わがまま」は

我がまま

自分らしく。思いを貫く。変わりたくない部分を大切に。なんかそんな「日々に対する葛藤」から生まれた歌です。

何度でも ロクでもない 懲りないワガママ

俳優を目指し、ミュージシャンを目指し、今はフリーランスを目指し。どれだけの失敗と挫折と絶望を繰り返してきたか。それでもなお、まだ夢をみる自分が一番輝いている気がして。ロクでもないよね、いい歳してさ。でもどうしても懲りないんです。自分の情熱が、人生・暮らしのベースでありたいんです。嫌々働く職場で飲む缶コーヒに、ある時映った自分の顔があまりに情けなくて。

②Sixteen years boy

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タイトルはね、確かチャックベリーの曲で「Sweet sixteenなんちゃら」って曲があった気がするんですけど、そこからヒントを得て。

16歳。高校1年生ですよ。なんか、中学と高校とで、僕は「男女間のあり方」みたいなものに大きな差があると思ってました。すごくざっくばらんに言うと、高校生になったら、彼女がいて、SEXも経験して、みたいな。

僕は昔からコンプレックスの塊なので、高校に入学してからもイケイケという感じではなかった…はずが!ちょっと調子に乗ってた時期もありました(恥)。意外とモテた自分がいて、同時に数人から好意を寄せられていたり。それは後になって知るんですが。ただ当時の自分は「自分がモテるわけがない」というのがあり、勘違いしないようにという思いと、いろんな女の子と仲良くしたい自分とがいて。

女の子からの好意的なアプローチだったのに、うまく考えてあげられなかったり、鈍感な態度で、泣いてる理由もわからなかったり。そのくせカッコつけてね。北野武さんじゃないですけど、「バカヤロ!」って当時の自分の頭をこづいてやりたい(笑)。

③Broken

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「壊れた」というこの曲は、あるニュースに感じた思いから。

大切な家族が、ある日突然、気の狂った暴漢に殺されてしまったら?

奥さんと幼い子供の無惨な姿を、普通に仕事から帰ってきて発見する…。

考えただけで、むごい。精神がおかしくなっても不思議じゃない。

そのニュースを知った時、残された旦那さんが可哀想で泣けてきた。

昨日まで家族と過ごした家で、ひとり静かに震える。

決して帰ってくることがない日々を思い待ち望んでも、雨の音が続くだけ。

④パラダイムシフト

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アルバムのタイトル曲です。この言葉を知った頃から、僕はまた無謀になった気がします。部屋でスピンバイクを漕いでました。そう、ダイエット(笑)。その時にiPadで動画を見てたんですが、今や超有名なYouTube講演家、鴨頭さんの広告が流れたんです。不思議なんですけど、全部見たんですよ、スキップせずに。あの時、パッキーン!って意識が変わった気がするんです。

何やってんだ、俺?何を日々にくすぶってんだ?

そこから考え方、働き方、夢のあり方など、とらわれている自分がなんともちっぽけに思えて!いいのか?このままで。抜け殻みたいな人生を、この先ずっと送るのか?そう思ったら、自分という意識にエネルギーが沸き上がってきました。

夢の続きだ!錆びた空気を吸ってる場合じゃない。

この歌は、変わるための歌なんだ。

⑤激減サラリー

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残業続きでめちゃくちゃ忙しかった頃。それでも残業代を稼げたので、そんなに嫌ではなかった。そして30代半ばで初めて車を買ったんです。コペン。

都内一人暮らし。駐車場を借りて、週末だけ、おっかなびっくり(ペーパー歴長い)ドライブして。真夜中に練習がてら、職場までドライブしたり。

しかし一年も経たずに売却。理由は給料の激減です。

今や「なんだったんだ?」とさえ思うような、「残業規制」。工場勤務で残業毎日数時間が当たり前だった自分にとって、この規制はキツかったです。

納期までの負荷が上がるのに、残業代はなくなり。車を維持するほどの余裕は無いどころか、貯金がどんどん減っていく一方。

寂しい思いと共にコペンを売却したお金で、引っ越しました。

まだ歩き慣れない新居への帰り道、重たい足取りでした。

⑥あてのない

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秋になり寒さを感じ始めると、夏の汗と過ごしたエネルギーが落ち着いて、なんか少し気分が落ちて。何一つ未来へは繋がっていないアルバイト生活。決して高くはない給料をもらいながら、ミュージシャンとして芽が出ない自分への焦りと、今後の不安。繰り返す毎日を、無駄じゃないと言える自分はそこにはいなかったなぁ。

時々思う。このまま、あてのない生活を続けて、行き着く先は…。

上京した頃に初めて見たホームレス。ガッサガサになってる真っ黒な足が印象的で。一緒に歩いてた親戚のおじさんが、「あー、死んでるんじゃないか?」って普通に言ってて。田舎もんの自分にはその光景や言葉がショッキングでした。

⑦雲がかった月夜

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実はこの曲、親父へのさよならの歌で。

僕の両親は離婚していて、親父とは16歳から会っていなくて。結局、20年会わずにいた頃、母親から「お父さん、亡くなったって」というメールがきました。正直に言うと、その時は「(そうか…。そうなんだ…。)」あまりにも疎遠になりすぎていて、大きく感情が揺れませんでした。

親不孝が知った訃報 わからない受け止め方
夢に嫌われながら暮らし 色んなこと忘れて

自分でも「なんて親不孝な人間なんだろ」って思うくらい、特に何も思わなくなっていて。そんな工場の昼休みでした。

夜に公園周りをジョギングして、ストレッチしてからのんびり部屋に戻る時。少しだけ雲がかかってるような夜で。月に雲がうっすらかかる夜空を眺めながら、親父と過ごした日々を思い出してました。

釣りに行ったり、キャッチボールしたり。ご飯食べに行ったり。怒られたり、夜中の長電話注意されたり、俳優目指すの反対されたり。「勉強なんかするな。バカになるぞ」っていう言葉だったり。最後の会話で、

俺「父さん、俺さ、母さんのところに行こうと思うんだけど…」

父「そうか。そのほうがいいかもな…」

そんな淡々とした会話だったり。

高校まで普通に行かせてもらって、感謝してるし、母親はどうか知らないけど、僕は恨んでもいない。今があるのも、親父が育ててくれたからな訳で。

そう思った時、月夜を歩きながら、初めて親父の死で泣きました。

ありがとうを伝えれなかった親不孝と、感謝の思い出。

思い出の破片が 涙腺をかすめた

⑧くつひも

くつひも

現時点では最新作の曲です。これはもう「新しい生き方を目指す」自分の決意を込めた歌ですね。

夢を諦めて、正社員になりました。悲しいほどの凡人で、真面目な僕は、正社員としては信頼もあります。でもそれはいいことなのか?いい顔されて、お前は理想的だ!なんて言われて、安い給料で納期に追われるのも、腰がぶっ壊れるほどひとりで抱える仕事量も、「いい社員だ」という洗脳にやられて納得してないだろうか。

フリーランスを目指すと告げた時、「上手くいってるやつなんて見たことないぞ?」そう言われました。本音ですよね。どんなにいい顔されたって、それは建前。自分の人生はしっかり自分で判断しなきゃ、貴重な人生を棒に振ってしまう。否定的な「説得」を受けてもなお、頑なに退職の意向を曲げませんでした。うつむいて汚い作業靴の靴紐を見て、

この瞬間が 思い出になる頃 きっともっと自分らしく暮らせてるはずさ

⑨憧れ

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出ました!名曲と名高いこの曲。自分で言うなって(笑)。

舞台はとあるアメリカンスクールの屋上。真夜中の2時頃。

当時その学校の常駐警備員をしていて、夜中は仮眠後に巡回をするんですね。懐中電灯一本持って。真っ暗な校舎内を。まだ救いだったのは、日本の学校と違って、校内の作りや教室がポップだったこと。最初は怖かったですが、だんだん慣れて平気でした。ただ、海外の働く感覚というか、真夜中まで働いてる先生が巡回中にいきなり出てくることもあり!ビビる。

余談ですが、学校の怪談ってあるじゃないですか。あれで「誰もいない音楽室からピアノの音が…」キャァー!みたいなの。でもね、僕思ったの。

真夜中の巡回中、音楽室入って、ピアノあるじゃない?普段グランドピアノなんて触らないし、弾いてみたいじゃない?長渕剛の「愛してるのに」とか、弾き語ってみたいじゃない?

懐中電灯を横に置いて、真っ暗な音楽室で僕はピアノを弾いてる。

それを外で誰かが聴いてたら?

学校の怪談なんて、そんなものかも。

非常階段を上り 4階屋上 五分刈りの夜景に まばらな灯り

真夜中の屋上でひととき夜景を眺めながら、「この街で成功して、ミュージシャンとして名をあげたい」という憧れを静かに噛み締める。

思い通りの足跡なんて どこにもないけれど

ほんとに、人生は予定通りにいかない。そもそも、ハゲる予定じゃなかった💧その時点で、急ブレーキ踏んで、フロントガラスから投げ出されたようなもんです(笑)でも、ずっと憧れ続けて、いろんな事と戦ってきた。

社会におけるロクデナシというレッテルや、ハゲという不利な容姿。それに対する自分の葛藤。今思えば鬱だった頃もある。でもそれを全て乗り越えてこれたのは、シンガーソングライターへの憧れと、アコースティックギターという最高の相棒あってのことだと思います。もし音楽にのめり込まなかったら、今自分がここにいるかはわかりません。

こっそりタバコ吸いながら、憧れている以上は田舎に戻るなんてありえないと、ひとり、ドラマのワンシーンの如くたそがれていました。

ちゃんと働けよって(笑)。

⑩頑張りなさいよ

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ラストはこの曲。シンプルな弾き語りこそが、最高のアレンジだと感じる曲です。お袋にこの曲のことを知られて、

母「YouTubeでやってたあの曲、あれ好きだから録音して送って」

という、メタクソに恥ずかしい依頼を受けてしまい。そりゃそうです。なんせこの曲は、若い頃にもらった「お袋からの手紙」が元になってる歌詞なので。「普通が一番難しいんだよ?」そんなことを空港で言われた記憶がありますが、普通に働いて、安定した生活して欲しいという親心でしょう。

でも若くて無謀な僕は、絶対成功する!それまで帰らない!なんて突っ張って。実際上京してから10年くらいは、ほとんど帰省しませんでした。お金もなかったし。なんせ、なんの進展もない自分の現状が恥ずかしくて、友達にも会いたくなかったし。

頑張りなさいよ あんたの道 とやかく言っても 仕方ないものね

40歳過ぎても、相変わらず夢見てる大馬鹿なので、これからも勘弁してください。結婚や孫の顔とか、諦めてください(笑)。

身体に気をつけなさいよ

これだけは守って、いい報告出来る様にいい歌も作り続けます。

Make Blues Happy!

全10曲の本人による簡単な解説でした。僕はご覧の通り、若くしてミュージシャンになれたわけじゃない、ただの凡人です。数十箇所でアルバイト経験をしてきたし、様々な業種で働き、色んな人に出会ってきました。生活、暮らし、そのたくさんの経験の数だけ僕の歌はあります。

これからも増えていく僕の歌。キャッチフレーズをつけるならば、

Make Blues Happy(Bluesを幸せに)

Bluesを幸せに

葛藤ばかりの人生です。笑ってばかりもいられない、リアルな日々があります。それでもBluesという、苦労が色気に変わるような音楽が僕は好きで。そんな歌を作りたいと昔からBluesに憧れています。

笑われちゃうかもしれませんが、僕の歌は僕なりのBluesです。

そんな歌を引っさげて、人生を素晴らしいものにしようと思ってます。

そんなわけで。興味を持っていただければ嬉しいです。試聴もできますので、ぜひ聴いてください。

アルバム パラダイムシフト

「パラダイムシフト」Kazumichi

作詞・作曲 Kazumichi

音源制作 Kazumichiワークス

Bandcampにて発売中!


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