Kazuma Taguchi

デザイナーを目指す学生向け就活支援プラットフォーム ReDesigner for St…

Kazuma Taguchi

デザイナーを目指す学生向け就活支援プラットフォーム ReDesigner for Student の中の人をやっています ex. いろんな大学で非常勤とかキャリア担当とかいろいろ / 京都芸術大学 / 東北芸術工科大学 元職員

最近の記事

タイムパラドックス

子どもと約束をしていたドラえもんの映画を観に、映画館に行った。 寝る気満々だった。「仕事で疲れていたから」と書けば同情を誘えるかもしれないが、そもそも映画を観にいく約束をした時から「映画なら寝られるぞ…」と思っていた。予告が流れている段階で既に目がしょぼしょぼしていて、NO MORE 映画泥棒の映像を観た覚えがその日はない。 が、冒頭で音楽の歴史(今回のドラえもんの映画のテーマは音楽だった)がアニメーションだけでざっと語られるところで苦しくなるわ苦しくなるわ。胸が。その後

    • Stay Gold

      運営に関わっているクリエイター向け就活支援サービス、ReDesigner for Studentでは、毎年年度末に卒業生向けのユーザーアンケートをお願いしている。 今年もたくさんアンケートに回答をいただいた。答えてくださった方々、ありがとうございます。 もちろんどのようなアンケートでも嬉しいのだが、とりわけ印象に残ったのがこの回答だ(一応原文ママではなく、少し改変しています)。 ただの就活マッチングサービス風情が何を、と思われるかもしれないが、つくることの延長線上に働くこ

      • クリエイター新卒就活支援プラットフォームReDesigner for Student2024年度ブランドポスターについて

        新卒デザイナー・クリエイターに特化した就活支援プラットフォーム、ReDesigner for Studentの2024年度ブランドポスターが完成しました。今年は東京都立大学の学生を中心としたデザインチーム、neighbyの皆さまに制作いただきました。学部3年生を中心としたメンバーです。 彼らは私たちの目指す就活、そして働くということをショートケーキに喩えてくれました。まだこれからの進路がはっきりとは決まっていない彼らが、働くことや就活をショートケーキに喩えたことの意味を、僕

        • 若者のすべて

          IAMASの卒展で、自己帰属感に関する制作研究をした出展者と平井靖史先生の話をちらっと交わし、家で「世界は時間でできている──ベルクソン時間哲学入門」をぱらぱらとめくった次の日、友達の結婚式に行った。 昔の思い出話を何度も繰り返すのはダサいよな、と斜に構えた気持ちになったこともある。それぞれがそれぞれの人生を生きているから、たとえば仕事や子どもの話をしにくく感じていたこともある。 でもなんだか、今はそういうモードではなくなった。平井先生のベルクソン入門は、そういうエモい読

        タイムパラドックス

          Moving Day Pt.2

          四年半家族で住んだアパートを出た。四年半の間に子どもは大きくなり、更に二人子どもが産まれ、手狭になったからだ。 東京メトロの始発駅。駅まで自転車で約20分。少し不便だが大きな公園がいくつもある良い街だった。 何よりも立地が良かった。袋小路にあり、アパートの前には自転車に乗る練習が出来るぐらい広いスペースがあった。向かいの民家に優しい大家さんが住んでおり、時々野菜をくれた。 そうした立地もあってか、全部で8戸ある住居のすべてに子どもが住んでいた。0歳から中学2年生まで。学校や

          Moving Day Pt.2

          ReDesigner for Student Advent Calendar 2023 記事紹介大放談

          ───ReDesigner for Studentアドベントカレンダー2023が出揃いましたね。 いやいや…もう本当に感謝しかないです。この場を借りて寄稿者の皆さん本当にありがとうございました。年末のこの忙しい時期に。みんな卒制とか修論あるのに…。 ───でもすごいですよね、こうやってユーザー巻き込めて。 いや本当に。そういう意味ではもっとこの企画を褒めてほしいというか注目してほしいというか。やっぱもっともっと読まれたいですね。拡散お願いします。 特に今年は、多分基本誰

          ReDesigner for Student Advent Calendar 2023 記事紹介大放談

          悩んで、迷って、それでもつくって。 〜キャリアデザイナーがデザイナー就活学生に伝えたいこと〜

          どうせ就活するのならば───今年もアドベントカレンダーの季節がやってきましたね、田口さん。 この季節になると就職活動当該学年(今年で言うと2025卒)の就活がそろそろ本番だなという感じがしてきますね。 ───「本番」ですか。「本番」とか言われるとプレッシャーを感じる学生もいるんじゃないですか? そうですね。昔は学生のプレッシャーになるようなことはなるべく言わないように気をつけていたんですけど、ReDesigner for Studentを四年半運営して「どうせ就活するな

          悩んで、迷って、それでもつくって。 〜キャリアデザイナーがデザイナー就活学生に伝えたいこと〜

          Herge

          好きなバンドのドラマーが卒業するらしい。 大学生の頃、なけなしのエネルギーのぜんぶをバンドに注いでいる程度には音楽が好きだった。ので、リスナーとしてもアマチュアプレイヤーとしてもバンドのメンバーが変わるということはとても大きいことだと知っているつもりだ。たった3〜5人そこらの組み合わせから、1人がいなくなってしまうわけだから。増してバンドというのは基本いわゆる縦割りで、それぞれが全く違う役割を担う共同体だ。身体の25%が別の人と入れ替わったら、きっとまったく同じままではいら

          Distance

          という歌詞がある。 墓石に刻んでほしいかもしれないぐらい好きな歌詞かもしれない。してみてほしいかもしれない。 俺はうどんより蕎麦が好きだけど、君とならうどんを食べてみてもいいかもしれない。俺は絶叫マシンとか本当に意味がわからないけど、君となら乗ってみてもいいかもしれない。俺はマイク短く持って煽ってくるタイプのミュージシャンが基本苦手だけど、君となら一緒にライブに行ってもいいかもしれない。俺は虫とか嫌いだけど、君となら捕まえに行ってみてもいいかもしれない。俺はうんち見たら気持

          Knock Knock

          武蔵野美術大学の文化祭(通称芸祭)に行ってきた。 月並みだが、ひとつひとつのモノやコトというのは、誰かの手によって作られているということを強く感じる日だった。エントランスゲートの設えから始まり、サークルによるダンスや演奏、マーケットエリアに並ぶ作品、飲食エリアのフード類まで、いずれも学生たちの制作物である。もう一歩踏み込んで見ていくと、出店の什器、誘導掲示、会場BGM、時折会場全体に流れてくるアナウンス台本なども、いちいち丁寧に作られたものであるという印象があった。また、初

          Silence Kit

          東京というまちに30歳を超えて初めて住み出した。だからなのか、ふとした時に自分の中にベタな東京のイメージが強固に築き上げられていることに気づく。広告だらけの街並み、コンクリートの摩天楼…などの月並みなイメージ。そういう偏見に囚われてしまっていることに気がつくのはたいてい、都心から電車で15〜20分ほど離れた場所に赴いた時だ。 京成線に乗って千葉の方に向かって行くと、江戸川を越えた辺りから自分の地元の電鉄に乗っていると錯覚するくらい見慣れた風景が広がっていることに気がつく。川、

          さようなら君の街

          仕事で神戸に行くことがあった。学生時代に暮らした街である。 学生生活はお世辞にも上手くいったとは言えない。尖っていたと言えば聞こえは良いが、常に虚勢を張り、他の人とは違う振りをし、正直学校にもあまり真面目には行くことが出来なかったので、昔暮らした街にそれほどの思い入れはないつもりだった。 が、到着するだけで溢れるわ溢れるわ。思い出が。というより記憶が?ほとんどはしょうもない記憶で、このコンビニであいつがLチキ食べてたなとか、昔もこの看板はドライビングスクールのやつだったなとか

          さようなら君の街

          やさしさに包まれたなら

          学校で学生や生徒にやってもらうデザインに関する課題やワークを考える際、「大喜利にならないようにしないと」と意識することがある。 自分が比較的、サービスやGUIのデザインなど、道具としての趣が強いデザインに関わる基礎演習に呼ばれることが多いからだろう。人間中心設計、形は機能に従う、そうしたことを噛み砕きながら、遠回しに「まずは人間のメンタルモデルに沿うような設計の型を覚えましょう」ということを伝えていると思う。守破離の守をしっかり押さえてもらう、という感じだ。 しかし、学生や

          やさしさに包まれたなら

          In Focus?

          電車の中で隣り合わせた人が、分厚い本の残り数ページに差し掛かっているのを見かけた。決してまじまじと観察していたのではない。食い入るような姿勢で読んでいるのがぼんやりと目に入り、それが少々異様な気迫だったのである。少しだけ、ほんの少しだけ観察したら、残り数ミリで本が終わるのがわかった。 やはり小説、それもミステリ小説などの類だろうか。犯人、あるいは驚くべき犯人の動機が明かされつつあるのかもしれない。あるいは世界の謎が解き明かされ、かみさまは実在するがつくりもので、種も仕掛けもあ

          Never Understand

          「伝えることが上手いデザイナーの方が、やはりよいですよね」と、学生から尋ねられた。 質問の裏側にあったのはこんな事柄だ。 インターンに参加してみたら、周りの学生の積極性に驚き、萎縮してしまった。その後のフィードバック面談においても、「言語化力や提案力がもう少しあると良いね」という指摘があったという。 そうね、まあ、やっぱほら、デザインって形のないものを形にするようなこともあるわけだから、伝えることが上手いというのは大きな価値になるよね、というような、誰にでも言えるような取り

          Never Understand

          そんな楽園みたいな場所

          一年前の二月、ひとりの優秀な学生から、内定の報告をもらった。 その学生のポートフォリオはとてもよく出来ていて、色々な企業からスカウトをもらっていた。本人は謙虚で聡明。真面目に見えて打ち解けると会話も弾むタイプで、色々なジャンルの話が出来た。敢えて就活指導上仕方なくMoreを伝えるとしたら、うーん、そういう学生いっぱいいるし別に指摘するほどでもないけどな、と逡巡しながら「自己評価低すぎ?かも?」というようなことを伝えて面談を終えるような学生だった。 そういうわけで、その人は内

          そんな楽園みたいな場所