サッカークラブのつくりかた #3 「TOKYO CITY F.C. 都リーグ4部優勝3部昇格」編

※この記事は2016年3月1日に書いた記事をnote用に再編集したものです

TOKYO CITY F.C. の2016シーズン新体制を発表しました。スタートアップクラブらしく、「新エンブレム」「新コンセプト」「新監督」「新加入選手」など新しいもの尽くしの発表となりました。

CITYは2015シーズンより東京都リーグに参入し、初年度なんとか優勝をすることができ、2016シーズンは東京都3部リーグという「J9」相当のリーグで戦うことが決まっています。

2014シーズンにCITYを創設しましたが、最初のシーズンは世田谷区4部リーグという「J14」相当のリーグからスタート。昨年は「J10」、そして今年は「J9」と、着実にステップアップすることが出来ています。2015シーズンも紆余曲折ありました。だからこそ、クラブとして大切にしたい思いが、より明確になってきました。

クラブの歩んできた道のりが、次にクラブを立ち上げようとする人の参考に少しでもなれば…

そんな気持ちで書き綴った、恒例の”サッカークラブのつくりかた”第三弾「都リーグ4部優勝3部昇格編」の始まりです!

サッカークラブのつくりかた第一弾「TOKYO CITY F.C.立ち上げ編」

サッカークラブのつくりかた第二弾「都リーグ参入編」


2015シーズンの戦績

前回の記事では、都リーグに参入し、シーズンが開幕するまでに必要となった様々な準備について記録しました。


今回はシーズンが開幕してからの事から書き始めたいと思います。

まずは「チーム」(競技面)の部分から。

【開幕戦】5月31日 vs VIN ROUGE FC ◯ 4-0

都リーグ4部のレベルがどんなもんか分からぬまま、いきなり都外のグラウンドでの試合。最終順位はブロック最下位の相手ながら、とにかく苦しんだ。

【第二戦】6月13日 vs 横河武蔵野FCベテラーノ ◯ 6-1

最近「東京武蔵野シティ」というシンパシーを感じるクラブ名に変更した横河武蔵野のOBチーム?三鷹の駅近に綺麗な人工芝のグラウンドがあるのは羨ましい。試合は1人少ない相手にPKから失点したものの、結果的には人数差がそのまま結果に。

【第三戦】 6月21日 vs BBH ◯ 23-0

「STADIUM PARTY 〜スタパ〜」と銘打って、富士通スタジアムで開催した初のホームゲーム。人数が少ない相手に対して、今季一番の賑わいを見せたスタンドの勢いも加わり、終わってみれば大差での勝利。ホームの重要性というもの、スタンドの雰囲気の重要性というもの、を選手目線で強く実感する。

【第四戦】 7月26日 vs ポルトF.C. ◯ 8-0

炎天下の中でのハードな試合。グランド使用トラブルや救急車での搬送などチーム・クラブ運営におけるターニングポイントともいえる試合だった。

【第五戦】 8月2日 vs 東京都庁サッカー部 ◯ 3-2

全勝のライバルとの上位決戦。シンプルながらハードワークする相手に押される展開が続くも、シーソーゲームを制する。

【第六戦】 9月27日 vs FCウィルセロナ △ 3-3

今季唯一の引き分け。なかなかタフなゲームだったけど、2点差ビハインドから総力戦で追いつく。得失点差で優位に立っていたため、CITYとしては引き分けでもOKというメンタルで試合に臨めたことは大きかった。

【第七戦】 10月11日 vs TDU F.C. ◯4-1

雨上がりのスリッピーなピッチでの試合。出場機会の少なかった選手がキッチリ準備して活躍できた事はチームとして大きな財産に。

【第八戦】 11月3日 vs 府中アスレティック フットボールクラブ ◯ 1-0

大一番。CITYは引き分け以上で優勝が決まるという状況。迎えるは、ご存知 Fリーグに所属する「府中アスレチック」のサッカーチーム。前半早々に先制した虎の子の一点を守りきり、無事優勝を決める。一年間戦ってきて、優勝が決まるホイッスルを聞いたときに感じるあの感覚は、そらもう病み付きだよ。


★世田谷リーグ

都リーグと同時平行で戦った、世田谷区3部リーグ。都リーグで出場機会の少ない選手や、世田谷区リーグのみに登録されている選手で臨む。出だしは好調だったものの、9月の3連戦に3連敗(不戦杯を含む)。ただ、ここで負けたからこそ、選手たち同士で今まで以上にピッチ内のことにつきディスカッションをすることが出来た。それが都リーグ優勝に繋がったんだと思う。

5月17日 vs キディFC ◯9-2

6月28日 vs スパシーモ ◯3-1

9月5日 vs FLYNG AGE ×3-5

9月20日 vs RDFC ×0-1

9月27日 vs BAVYLONS ×0-3

10月25日 vs Rev SC ◯3-0

11月23日 vs 用賀蹴球団 ◯3-0


「ON-THE-PITCH」で良かったこと

●優勝、昇格を決められたこと

●先制されても追いつきひっくり返す粘り強い戦い方が出来たこと

●負け試合を経験したことで勝つためのディスカッションが選手間で自発的に起こるようになったこと

●北マリアナ諸島代表との国際親善試合を実施したこと

→クラブ初の海外遠征。サイパン島にて代表チームと国際親善試合が出来た!(詳しくはこちらを:http://ja.ifaf.asia/news/1275

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●スピードアップトレーニングを実施したこと

→プロコーチである荒川優コーチを招いての「走り方」に着目したトレーニング。様々なスポーツに用いられているトレーニングメソッドをクラブの練習に取り入れることはCITYの特徴として積極的に今後も取り入れたい。(詳しくはこちらを:http://tcfc.jp/news/detail/id/2154

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「ON-THE-PITCH」における課題

●セットプレーからの失点が多かったこと

●得点パターンが生み出せなかったこと

●出場機会を確保出来なかったこと

→30人以上で編成されたチームのため、ベンチ外になる選手が出てくるなど出場機会の確保が難しかった。チームとしての底上げを考えると、選手のモチベーションという点も含め、逼迫した課題だった。

→→→2016シーズンは同時並行して戦う世田谷リーグを、Jリーグにおけるサテライトリーグとして位置付け、若手選手の育成や実践でのテストに充て、出場機会を出来る限り均等に確保し、チーム力の底上げを狙う。

●定期的な練習を実施出来なかったこと

→2015シーズンは不定期に、フィジカルトレーニングや紅白戦などを行っていた。特定の練習場所が無い状況で致し方ない部分はあるものの、前述した課題を解決するためのテストの場が少なかったことに加え、控え選手がアピールするチャンスが限られていた。

→→→2016シーズンは毎週日曜日を固定でトレーニング日に設定。試合がある日は試合に臨むが原則として週に1回はチームで集う機会を確保する。


「OFF-THE-PITCH」で良かったこと

●マネジメントチームがだんだんと形になってきたこと

●デジタルメディアのリーチ数を続伸させることが出来たこと

WEB:http://tcfc.jp/

TW:https://twitter.com/TOKYOCITYFC

IG:https://www.instagram.com/tokyocityfc/

FB:https://www.facebook.com/tokyocityfc/

●「アクティビティ」という視点でCITYをTOKYOを捉えることの出来るデジタルメディアを立ち上げたこと

●主催試合のイベント化・アクティビティ化を実施出来たこと

→”下のカテゴリーだからこそ” 集客プロモキャンペーンを打たないと面白くならないので、ホームゲームにクラブパートナーである「Cafe & Bar Encounter」を招き、出張BARを実施。(詳しくはこちらを:http://tcfc.jp/news/detail/id/1963


「OFF-THE-PITCH」における課題

●守りの部分への意識が弱いこと

→マネジメントチームは全体的に攻めのメンバーが多いため、組織として所謂守りの部分が若干疎かに。

→→→2016シーズンは分業を推め、まずは山内がもっと全体を俯瞰して見渡せるようにして、苦手なことはみんなに今まで以上にお願いする。

●クラブとしてのメッセージを発信する機会が少ないこと

→クラブとして取り組む枝葉の部分は発信してきたものの、幹となる哲学や想いについて発信する機会が少なかった。

→→→2016シーズンはオウンドでの発信をベースに、注目して頂けるメディアさんがいれば積極的に露出する。


2016シーズンへ向けて

というような形で箇条書きで、「ON-THE-PITCH」「OFF-THE-PITCH」双方における収穫と課題を書いてきました。

特に課題の部分は、「2年目のジンクス」というか、クラブとして成長途上だからこそ表に出てくる、産みの苦しみのようなものであり、多くのクラブにも当てはまることに感じます。

クラブとして高みを目指そうとすると、「ON-THE-PITCH」面では当然熾烈なレギュラー争いが生まれ、その副作用として競争によるデメリットが出る可能性もありますし、「OFF-THE-PITCH」面では、クラブとしても求められることが、上のカテゴリーに上がるにつれて増えてきます。

直面している課題に対しては前述した赤文字のように改善するとして、それらを踏まえた上で2016シーズンへ向けて改めて大切にしたい考えが明確になってきました。CITYでは最低でも月に1回の頻度でマネジメントチームによるMTGを行ってきました。そしてMTG内の多くの時間を割いて「CITYとして一番大切にしたい想い」について再定義するため、ディスカッションを続けてきました。

そうして言語化したCITYのクラブ理念が「PLAY new FOOTBALL , PLAY new TOKYO」という言葉です。

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CITYは
アクティビティとしてのサッカーの可能性と、
新しいTOKYOの遊び方を
ピッチ内外の活動を通じて追求していきます。
CITYでサッカーをプレーする選手にとって、
CITYでサッカー観戦を楽しむ人にとって、
TOKYOでアクティビティを楽しむ人にとって、
「FOOTBALLが最高」「TOKYOが最高」と思えるようなエクスペリエンスを
CITYと関わる全ての方々と共創します。
例えばCITYでのアクティビティを通じて、
歌って踊ってスカッとすること。
お酒を飲んでワイワイ騒ぐこと。
筋書きのないドラマに心を動かすこと。
素敵な出会いを生み出すこと。
思わず共有したくなる非日常的な写真を撮ること。
そんな、最高のエクスペリエンスを。

なんだか横文字ばっかりになってルー語みたくなってしまいましたが、CITYは前述した哲学を大切にして、(特に)若者にとって魅力的なクラブ作りを推進していこうと思っています。

それは既に存在するプロも含めた多くのクラブとの差別化戦略であると同時に、CITYが日本サッカー界において担っていくべき役割だと、強く強く感じているからです。

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文也と涼平というファウンダー2人とともに、こんな形でゆるっと初期メンバーを募り、クラブを立ち上げて2年が経ちましたが、この2年で見える景色がガラッと変わってきました。

見える景色はガラッと変わってきましたが、自分個人がCITYに本気で取り組む理由は1mmも変わらなく、前回までのブログでも書いてきたとおり、Jリーグなどのプロクラブがどうしても担い切れない部分をカバーし、日本サッカー界全体を盛り上げる一役を担えればと思っています。

(J9レベルの都3部クラブが何を偉そうなこと言ってんだ!って話ですが、そこはご愛嬌。)

誰が見ているのか分からない個人ブログで、三たび「サッカークラブのつくりかた」シリーズを書こうと思った理由は、クラブを作ることって実はそんなに遠い世界の話ではなく、もちろん大変なこともメチャメチャあるのですが、それでも最高の体験を得ることが出来ると身を持って感じたため、これからクラブを作ろうと思う人が少しでもショートカット出来て、余分な負担が掛からなければ良いなという思いが一つと、

純粋に、、電車の駅ごとにとかバスの停留所ごとにとか、それくらいの細分化したレベルでクラブがあって、プレーする人も応援する人も”いつも身近にサッカー”があれば、自ずと日本サッカー全体の盛り上がりにも通ずると確信しているからです。

サッカーが日本に文化として根付くって、そういう事なんじゃないかなと思っていますし、そのためにもっと多くの人たちが日常的に、でも一歩試合会場に入ると非日常的に、そんな風にサッカーに触れ合ってほしいと心の底から思っているからです。

CITYは別にプロクラブでも無いし、前述してきたとおりJ9レベルのまだ弱小クラブですが、スポーツビジネスの世界で育って来た身としては、自分のやることなすこと全て、ライフワークとして、スポーツを通じて世の中を良くしていきたいという思いがあり、その思いの一つがこうやって形として表れているんだと思います。


今年もTOKYO CITY FC は高みを目指し続けます。

かっこよくて、ワクワクする、そんなクラブを目指して。

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