appetizers.
フランスに2ヶ月と少し、留学していた。
夏と秋のちょうど狭間の話だ。
入国規制が和らいだ隙をついて忍び込み、
第3波の直前に逃げ出した。
我ながらこういうところでは強運だと思う。
パリの郊外で暮らす中で、
ヨーロッパの食文化も学んだ。
赤ワインと白ワインのほかに、
ロゼというワインがあること。
フランス人は、食後に必ずチーズを食べること。
なんならその後にデザートも食べること。
チーズの世界はワインに負けないくらい広く、
たった2ヶ月では泳ぎ切れるものではなかったこと。
赤ワインとサラミ、
白ワインとゴーダチーズの組み合わせが、
とりあえず鉄板だと云うこと。
「コンテ」というチーズの食感が堪らなくおいしいこと。
鮪のパテがめっちゃおいしくて、しかも安いこと。
留学のその目的の他に、多くの知識と好奇心をくれる2ヶ月だった。
帰国すると、サラミとチーズとパテとワインがいかに安かったか思い知らされた。
河原町で写真を撮った帰りは、
御池のKALDIでワインとおつまみ(appetizer)を探した。
今日は何も買わなかった。
買っても食べるのが僕だけだから。
何でもおいしそうに食べる顔が好きだった。
「えもいわれん」をそのまま表情にしたような、あのリアクションが好きだった。
たまに僕が作るパスタも、全部その顔で食べてくれた。
本当に嬉しかった。
イカスミを使うもの以外は、何でも作れるようになってしまった。
KALDIに行って、
生麺のフィットチーネを買って、
少し高価なペコリーノを買って、
誰にパスタを作ったらいいんだろう。
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