未完成の春

【歌詞】

未完成の春 青色の熱が君に解ける
十月の教室の隅っこで そんな言葉を白紙に零した

未完成の春 雨の匂いに暗がりは沈む
誰も星も月もない夜が 翳した傘を叩いていた

水影に残響音 塞ぎ込んだ空を飛び越えて
そっと口ずさんだ この唄が 掠れた声 聞こえなくても

ああ いつか 出会った僕らを待っていたんだ
散々な現実が 望んだはずもない朝が

それでもさ きっと 扉を開くから
きっと 笑い返すから

君と過ごした当たり前を 君と交わしたさよならを
時が経って 全部忘れて だけどそれでもなくさないよ
消えた七つ星の温度は この唄に残しておくから
春の空にまた出会う そのときは 初めましてだね

未完成の春 失った青色を取り戻せ
なんて馬鹿みたいな合言葉 でも だからこそ好きになれたんだ

跨いだ平行線 赤信号 一台分の距離
気にしないよなんて微笑んだ その言葉が嬉しかったよ

夕風に折りたたんだ想像は紙飛行機
何も知らないまま 明日の空も 笑う意味も

それでもさ 僕らはあの日同じ場所にいた
だから 迷わなくていい

一歩踏み出す街の中で 君の見上げる春の空に
一人だけの夜が溢れて 翳した傘を叩くのなら
ずっと遠いその未来まで 涙の色は知らなくても
唄いかける今がある だからもう 出会えなくたっていい

どんな言葉を重ねたって 何も分かちあえやしなくて
さよならしたこともなくして だけどそれでも出会えるのは
ずっと遠いその未来から 僕らが唄う今ここまで
繋いでいる 未完成の 始まりを
七つ星を 知っているから

春の空にまた出会う そのときは 初めましてだね


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