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牛の値段

年に4回開催される、牛の競りを見学しに。
海士町に住み始めて4年半にもなるが、競りの為の施設が島内にあるのを初めて知ったし、競りそのものを見るのも初めて。

朝9時過ぎに会場に着くと、既に子牛がずらっと並んでいて、
島では見たことのない人たちが沢山いた。
島外から買い付けに来ている人もいるし、
隣の隠岐の島や西ノ島から来ている人もいる。

競りにかけられる子牛のリストを手に持ち、
血統や生産者の情報と照らし合わせながら、
競り落としたい子牛を確認して値踏みしているそうだ。

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牛のお尻の方から見る人が多いから、お尻で大体分かるのだろうか。
そばまで近づいてみると、まだあどけない顔をしている。牛も子供だったら、無邪気なもんだったりするのかな。

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値踏みの時間も終わり、いよいよ競りが始まりそう。
購買者は、缶コーヒーを飲んだり、煙草を吸ったりしながら、
競りが始まるのを待っていた。女性の購買者もいたのが意外だった。

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子牛は建物の右側から順々に入って、真ん中で競りの為に止められる。
真ん中の杭におさまった瞬間に、モニターに体重や日齢などが表示され、
「30万円から~」という掛け声とともに、モニター上の値段が上がっていく。

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購買者は手元にリモコンのようなものを持っていて、それを押し続ける限り入札の値段を上げられる。黙って買う人もいれば、「これは血統がいいぞ。60万こえるぞ。」と喋りながら駆け引きする人もいる。その駆け引きも嫌なものではなく、実は全体的に買値をあげるものだったりする。

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たまたま隣にいた方が、ちょこちょこ説明してくれたお陰で、
値段の決まり方も少し分かってくる。去勢されたオスは肉質がよくなるとか、日齢×1kgよりも現体重が重ければ育ちが良いと思われるのだとか。

競りの途中、ごくたまに購買者から生産者の方に質問が飛ぶ。
一言二言のやり取りの間に、買う買わないが決まる。信頼関係で物事が決まっているようにも見える。

競りの終盤は成牛も出てきた。ちらほら聞くのは「番外」という言葉。
つまりは、お役御免のような扱いの牛。高齢や怪我、不妊などで種付けできないといった理由で、肉になる為に競りにかけられている。

子牛よりも格段に安い値段がつき、中には2万円台で買われる牛もいた。
最後の最後に買われるだけでも幸運に思うのかどうか。胸がちくりとした。

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