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週刊金融日記 第561号 学歴フィルタと資本主義と自由、次期日銀総裁は元東大経済学部教授の植田和男氏、ガーラ湯沢に行ったらインド系が多かった、障害続きのTwitterは大丈夫なのか、他

// 週刊金融日記
// 2023年2月14日 第561号
// 学歴フィルタと資本主義と自由
// 次期日銀総裁は元東大経済学部教授の植田和男氏
// ガーラ湯沢に行ったらインド系が多かった
// 障害続きのTwitterは大丈夫なのか
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 今日はバレンタインデーですけど、サラリーマンをやっていると、なんか職場の女性から季節の贈り物みたいな感じでチョコレートとかもらって、そうすると、ホワイトデーでなんか返さないと、“常識のない人”というレッテルを貼られますから、そこでの出費を強いられるという罰ゲームに他なりません。スイーツの会社のマーケティングによって作られた迷惑なイベントとしか言いようがありません。

★新潮社は伝統のある出版社なので、神楽坂辺りにいろいろ不動産があって、偉い作家などが缶詰にされて原稿を書いていたそうです。『学歴攻略法』の原稿は香港で書きましたが、原発の本か離婚の本か忘れましたが、どっちかはこの家で書いた覚えがあります。お手伝いさんみたいなおばちゃんがいて、お茶とか甘いお菓子とか持ってきてくれます。先日は、一足早くチョコレートを頂きました。

★反原発に関する本の原稿は、原発事故が起きた2011年にすぐ書き始めたのですが、いまでもそこに書いてあることはまったく古くなっておりませんね。原油価格の推移を見ると、ちょうど2011年がピークで1バレル110ドルぐらいだったのですが、そこからどんどん下がっていって、2016年ぐらいには40ドルにまで下がりました。幸か不幸か、原発が止まることによる電気代の上昇圧力が、こうした化石燃料価格の下落で打ち消されていたんですね。それが、ウクライナでの戦争などいろいろあって、また上がってきたため、とうとう誰の目にも問題が明らかになってきたわけです。

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『反原発の不都合な真実』
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 週末にかけて、ChatGPTとMicrosoftにいろいろニュースが出て、Google株が暴落しておりました。ChatGPTというのは、誰でも使えるAIチャットで(パンクしそうな時は新規ID取得に制限かけていることもありますが)、なんか質問すると、かなりそれっぽいことを答えてくれます。MicrosoftがこのChatGPTを作っているOpenAIに出資して、ChatGPTをBingなどのMicrosoft製品に順次組み込んでいく、ということで、Microsoft株が上げて、もう昔ながらの検索エンジンはオワコンということでGoogle株が暴落しております。
 まあ、僕はこんな単なるパターン認識お化けが知能とはアホか、と冷ややかな目で見ております。しかし、このOpenAIもイーロン・マスクが一枚噛んでいて、本当にイーロン・マスクはすごいですね。

★自然言語をどれぐらい自然と訳せるかを見ると、Google翻訳よりDeepLの方がだいぶ自然で、ChatGPTはまだまだといってところですね。

●Google、ChatGPT対抗の対話AIで誤り 株価9%下落
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN090JW0Z00C23A2000000/

●「Azure OpenAI Service」など、マイクロソフトが最新のAI動向を説明
https://ascii.jp/elem/000/004/123/4123501/

●OpenAI
https://en.wikipedia.org/wiki/OpenAI

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週刊金融日記 第534号 孫さんが金融のプロにカモられ損した話とAIの未来について
週刊金融日記 第549号 営業と広報をぜんぶクビにするイーロン・マスクの経営がすごすぎる

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- マスク氏の自分勝手な野望のツケがTwitterユーザーに回ってきているのでは
- 電気自動車(EV)にガソリン車よりも優位性があると思えませんが本当に主流になるんでしょうか
- 赤字国債が積み上がっていけばいつかハイパーインフレは起こりますか
- 所長の処女作『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』の出版の経緯と上場したnote株式会社の今後の展望について

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.学歴フィルタと資本主義と自由

 拙著でも書きましたが、がんばって偏差値を上げていい大学に入る一番の「実利」は人気の大企業の採用面接に呼んでもらえる確率が格段に高まることであり、逆に言えば、会社に入ってしまえば、ほとんどの企業では、どこの大学を卒業していようと横一線で出世競争がはじまるのだから高学歴のメリットはそれぐらいだ、ということを書きました。本書では、されど学歴……、と話が続いていくのですが。
 さて、読者の方から、こうした学歴フィルタはけしからん、という趣旨の投稿がありました。これについて考えてみたいと思います。

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- ヤフコメの「学歴フィルター」への賛同に驚きました

いつもメルマガを楽しく読ませていただいております。
さて、2月7日付けのYahoo!ニュースに下記記事が掲載されました。
このメールを書いている同日21:17には4,508件ものコメントがついています。

●「学歴フィルターはあります」関係者が次々に明かす、日本のヤバい採用現場
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee3eabad8243e7de69631083406f5569794d68a3
(オリジナル記事はこちら)
https://www.iza.ne.jp/article/20230211-EKW452HHLZLC5J3LMJCHIABGPI/

「あって当たり前」「学歴は努力の証明」「文句言う奴は努力しろ」みたいなコメントばかりでとても驚きました。
タイトルだけ読んで記事の内容読まずに言いたいことだけ言ってるだろ、みたいなコメントも多数。
ついでに、学歴フィルターに疑問を投げかけるだけで、もの凄い閲覧数やコメント数を稼げるのだな、という事実にも驚きます(この現象は毎年のように就活時期に見てる気が……)。
私も学歴フィルターの存在は理解できますが、問題はそのやり方です。
自分のプロフィールを登録した就職情報サイトからフィルター設置企業の会社説明会にエントリーしようとしても、東大の人は「空席あり」が出て、Fラン大の人は「満席」と出たりします。
Fラン大の人も現顧客、あるいは潜在顧客、あるいは将来の取引先かもしれないのに、そんな欺くことをするのは企業イメージ的にいかがなものか?
そんな企業が良い商品・良いサービスを提供できるのか?
そんな企業に将来性がないのではないか?
そんな企業に応募する高学歴者ってどうなの? 
そんなところに入って「俺は選ばれし者」と喜べるの?
驚いたのは、凡人の私でも簡単に浮かぶそういう趣旨のコメントが見当たらなかったことです。
そして、記事はこのように結ばれています。

「採用活動では本来、自社のビジネスの方向性やビジョンに合致した人材を探し出す工夫が求められる。だが、実際は効率や合理性の関係から、こうしたフィルターを使わざるを得ない状況となっているようだ。こうした実態を聞くと、現在の採用・選考基準の画一性と貧しさを感じずにはいられない。」

採用ってマーケティングと営業を伴うクリエイティブな仕事だと思います。
自分だったらこういう採用活動をする、みたいなコメントが見当たらず、見渡す限り、高学歴者は努力したんだ!低学歴者は自業自得なんだ!みたいな良い年した大人のコメントで溢れ返る現実は、とてもガッカリ感が漂っていると思いましたが、いかがでしょうか……?
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 現実として学歴フィルタは存在するわけで、そのこと自体を否定している論者はほとんどいません。そして、学歴フィルタリングをしないといけないのは、人気の大企業なんかでは、応募してくる新卒候補者が多すぎて労力的に全員と面接できないし、学歴などを見る書類審査である程度絞るのは仕方ない、というような説明がなされ、まあ、それはそうなんでしょう。
 しかし、それにもかかわらず、うちは学歴フィルタをして採用活動しています、ここ以下の大学は受けにこないでください、と宣言している企業は皆無です。ところが、実際には、学歴フィルタリングをしていて、そのやり方が不愉快というのも、そのとおりでしょうけど、じゃあ、逆に、こういう学歴フィルタリングしてます、と公表したら、それはそれで大炎上するのは間違いなしで、仕方ないんですよね。建前というのは人間社会には必要ですから。
 しかし、僕はこうした議論でいつも思うことがあります。ミクロな視点とマクロな視点で、僕が感じている違和感というものを今週は書こうと思います。

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