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週刊金融日記 第556号 アバター2は危険なほど面白い映画でした、1月第1週の米国株は上昇、魚が美味しい地方都市のスシローに行って気づいたこと、諸外国と比べて東京の不動産は割高か、他

// 週刊金融日記
// 2023年1月11日 第556号
// アバター2は危険なほど面白い映画でした
// 1月第1週の米国株は上昇
// 魚が美味しい地方都市のスシローに行って気づいたこと
// 諸外国と比べて東京の不動産は割高か
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 昨年はTwitterを見ていると、日本めちゃくちゃ何でも安い!みたいに言っていた海外在住者の方が多かったので、12月に日本に帰ってきて、とても楽しみにしていたのですが、実際に見てみると、意外とそんなに日本は安くないぞ、という感想でした。というのも、ホテルなんかはコロナ補助金で値上げしていましたし(ワクチン接種していないと利用できません)、1年前に帰ったときと比べていろんなものが値上がりしていました。そういうことをTwitterでつぶやいたり、メルマガに書いたりしていたのですが、いよいよ経済指標でもそれが明らかになってきました。

週刊金融日記 第553号 久々に日本に帰ってきてインフレと利上げが来ると確信しました

●東京23区 12月の消費者物価指数4.0%上昇 40年8か月ぶり高水準
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230110/k10013945291000.html

 東京23区の消費者物価指数は前年同月比で+4.0%の上昇です。特に大きく上がった品目は以下のようなものですね。日本もインフレが庶民の暮らしを直撃してきました。

・食用油 +32.5%
・焼き魚 +24.6%
・ハンバーガー +18.3%
・炭酸飲料 +15.6%
・輸入品の牛肉 +13.1%
・チョコレート +9.2%
・牛乳 +8.6%
・ガス代 +36.2%
・電気代 +26%
・タクシー代 +14.4%

 こうしたインフレを受けて、日本の金融政策がこれからどうなるのか、ということがとても注目されるわけですが、Twitterでは現代貨幣理論(MMT)について、またバズっておりました。最近でこそMMTと言いますが、10年以上前にリフレ理論として、ネットでめちゃくちゃ議論されていたんですよね。僕も経済系ブロガーとして論戦に参加していました。懐かしいです。

週刊金融日記 第75号 池田信夫氏とのアベノミクス対談

★リフレとかMMTとかを唱える人たちの考え方というか信仰は、このスレッドを読んでもられば理解できると思います。要は政府が国債を中央銀行に買わせて(=お金を刷って)、お金をガンガンとばら撒けば経済成長していき、国民が幸せになるという経済理論です。

★名目GDPと実質GDPの違いがいろいろ面白いですね。

「みんな現代貨幣理論(MMT)や旧リフレ論の本質がまったく理解できてない。これは金融クーデターなの。インフレを制御できるかどうかはどうでもいいし、何なら制御できない方がよくて、いろんな理屈はそういう状況になるべく誘導するための世論対策の物語。現在の通貨を無価値にしてグレートリセット。
 コロナで老人がたくさん死んだ方が日本のためになる、という理屈と同じで、インフレによって金を貯め込んでいる老人の富を収奪するんだから、それはそれでひとつの考え。老人が死ねば日本のためになるんだったら、ハイパーインフレで老人の預金がなくなることも同じぐらいいいことなはずでしょ。
 インフレ税で老人の預金で国の借金返すか、労働者の所得税で借金支えるか、と言ったら、金融システムをいったん破壊してでも前者の方がいい、というのがMMT。
 いったん金融的な焼け野原にして(老人の預金を奪って)日本をグレートリセットしよう!と言っても、政策実現性がないから、いやいやインフレになったらやめればいいんですよ、みたいないろんな屁理屈というか物語を作ってるだけで、それが本当かどうかなんてどうでもいいんですよ。
 だから、ふだんから老人は死んだほうがいい、という考えなら、MMTなんかは支持したほうがいいわけ。」
-- https://twitter.com/kazu_fujisawa/status/1612014820508958722

 大阪湾にクジラが迷い込んだり、ドブ川だった道頓堀にニホンウナギの生息が確認されたり、大阪で生物関係のニュースがいろいろありました。しかし、このクジラはかなり衰弱しているらしいです。復活して、外洋に戻れるといいんですけどね。弱って先がないなら、なんなら獲ってしまって、大阪でみんなで焼肉にでも……、というのは不謹慎でしょうか。
 大阪は食べ物が安くて美味しいんですよね。東京はインフレですが、大阪はどうなんでしょうか。そういえば、名古屋のドブ川にもボラが大量に来たそうです。迷いクジラやボラの大群など、南海トラフ巨大地震の前兆か、などという物騒な話がTwitterで囁かれていましたが、特に科学的根拠はないでしょう。

●大阪湾 淀川河口付近のクジラ 大きな動きなし
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230110/2000069795.html

●大阪 道頓堀川でニホンウナギ生息確認 学術的調査で初めて
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20230110/2000069779.html

●ボラが大量発生 名古屋・北区の黒川
https://www.chunichi.co.jp/article/613161

 岸田首相が欧州を歴訪中ですが、事前にウクライナのゼレンスキー大統領からキーウに招待されました。しかし、岸田首相はこれに「前向きに検討する」と答えただけです。僕の観察によると、岸田首相は自分がやりたいことはだいたい何も言わずに実行するのですが、検討する、と言ってから実行したことは見たことがありません。さすがに、ヨーロッパ周って、ゼレンスキー大統領とはZoomだけで済ませたら国際社会からかなりの顰蹙だと思うんですが、今回はどうなんでしょう。

●G7サミットへ地ならし、岸田首相が欧米歴訪出発…バイデン氏との会談で「同盟を強固なものに」
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20230108-OYT1T50172/

★安全上の理由で日程を明かせないとかならいいんですけどね……。答え合わせは数日後。

 僕は天才起業家のイーロン・マスクについては、ネットのいろいろな記事を読んだり、YouTubeに上がっているドキュメンタリーを観たりしていましたし、テスラ株に対するポジションを持っていましたから(いまも持っています)、人並み以上には知っていたと思うのですが、一流のジャーナリストが綿密な取材をして書いたイーロン・マスクについてのだいぶ昔の本が積ん読(つんどく)でした。2015年に出た本ですね。
 これを最近読み始めたのですが、南アフリカからカナダにやってきて、アメリカの大学に編入して物理学を勉強して(かなり成績優秀)、スタンフォード大学のPhD課程に進むも、シリコンバレーのIT企業でインターンをしていた際にインターネットの可能性に気づき、ネット企業を起ち上げるためにスタンフォードをすぐに中退して、七転八倒しながら最初のスタートアップで成功して、そこで二桁億円ぐらいの成功者になるんですが、そこで満足せず、その金を次はペイパルの前身となるスタートアップにAll-inするわけです。それでペイパルでも成功して……、という経緯がくわしく書かれていて、まだ読んでいる途中ですが、とても面白いですね。(本の中で)ちょうどいまペイパルの売却に成功したところです。火星に人類を送り込もうとしてスペースXなんかを起ち上げる話はこれからなんですが、いまから楽しみです。

『イーロン・マスク 未来を創る男』アシュリー・バンス
https://amzn.to/3VSREdt

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- ワンルームマンション投資の営業に乗るべきですか
- 諸外国と比べて東京の不動産価格の割高感はありますか
-「40代女医ですがこれから開業するために何を勉強すればいいですか」への回答:儲かる病院を作るたったひとつのポイント
- 既婚の経営者ですが家族も大事なので新規女性に行ってバレたときに失うものが大きいです
- 最近のおすすめ映画や本を教えてください

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.アバター2は危険なほど面白い映画でした

 遅ればせながら、お正月にちゃんとアバター2(公開日=2022年12月16日)見てきました。感想ですが、めっちゃ面白かったです。これはIMAX3Dで3000円出して見にいく価値がありますね。
 世界で一番成功している映画監督のジェイムズ・キャメロンが、世界で一番売れた映画であるアバターの続編として、約500億円というおそらく映画史上最高額の制作費をぶち込んで作った映画です。僕は資本主義を信じているので、こうした金額というのは最も信用できる指標だと考えています。

●『アバター2』の製作費が超高額!元を取るためのノルマがきつすぎる
https://www.cinematoday.jp/news/N0133893

 まず、ジェイムズ・キャメロンがどれぐらいすごいのかというと、世界歴代興行収入1位のアバターと3位のタイタニックが彼の作品です。それだけではなくて、ターミネーターも彼だし、エイリアンの2も彼です。世界一成功している映画監督と言って差し支えないでしょう。
 アメリカは圧倒的な超大国であり、そのアメリカ社会では成功した金持ちは当たり前ですが尊敬されます。また、芸術家はアメリカだけでなく世界中で尊敬されます。映画監督という芸術家で、巨万の富を築いたアメリカ人ということで、まあ、社会知的地位としては地球のトップオブトップの人間だと言って差し支えないでしょう。そんな彼が、製作・脚本・監督をすべて担当し、人類史上最高額の制作費をぶち込んで作った映画なわけですから期待しないわけにはいきません。
 このような映画は制作費用だけでなく、広告宣伝費にもめちゃくちゃ金をかけますから、ジェイムズ・キャメロンさんは、世界歴代興行収入のベスト5にランクインするぐらいじゃないと赤字になって、続編が作れないだろう、みたいなことを言っておりました。すでにベスト5のうち1位と3位が自分の映画なんですけど、そこに食い込ませないと赤字らしいです。

●世界歴代興行収入上位の映画一覧
https://w.wiki/3SNw

●アバター [Blu-ray]
https://amzn.to/3vtH4Pt

●タイタニック [Blu-ray]
https://amzn.to/3CF56uB

 この3D映画はなんと上映時間が3時間超えなんですが、結論から言うと、3時間はあっという間に過ぎます。あまりにも美しい衛星パンドラの中にいることが心地良すぎて、見終わっても、またパンドラに戻りたい!という気持ちになってくるのです。そして、僕はすぐに2回目を見にいきました。3時間超えの映画を短期間に2回も見に行く、というのはただならぬことです。これから解説しますが、様々な評論家にストーリーが酷評されていたりするのですが、そうした人たちも映像美と、3時間はあっという間に過ぎる、という点に関しては意見が一致しています。
 ストーリーを酷評していた人たちはこんな映画は売れないだろう、みたいなことを言っておりました。もちろん大作なのでそれなりにヒットはするが、歴代興行収入でトップ5に入らないと採算割れするという、そのハードルは高すぎる、と。実際、日本では、同時に上映されていたスラムダンクと新海誠さんのアニメに負けています。しかし、日本以外のすべての国で1位を続けています。

★日本だけは制作費の桁が2つ以上違うアニメ2本に負けています。

 大事なストーリー的なことでのネタバレを避けつつ、以下、なぜ一部の評論家がストーリーを酷評しているのか、なぜ日本ではそれほどヒットに至っていないのか、それでも、なぜ僕はストーリーが良かった、と思うのか、ということを解説したいと思います。この映画は想像以上にやばいです。世界を分断する影響力を持っていると思います。
 ちなみに、ストーリーを批判していた人たちの期待を裏切り、12月16日公開にもかかわらず、たった2週間であのトム・クルーズのトップガンを超え、2022年の世界興行収入トップになりました。この原稿を書いている時点で、すでに歴代興行収入7位です。ジェイムズ・キャメロンすごすぎます。

●『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の興収が2033億円 2022年の公開作品で世界トップに
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2301/08/news028.html

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