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週刊金融日記 第387号 セクシーでないビジネスをやれ、三菱商事のトレーダーが345億円やらかす、京都の水炊きからハワイのステーキハウスまで、筋トレ歴1年ですが湘南でナンパしたら楽勝でした、他

// 週刊金融日記
// 2019年9月24日 第387号
// セクシーでないビジネスをやれ
// 三菱商事のトレーダーが345億円やらかす
// 京都の水炊きからハワイのステーキハウスまで
// 筋トレ歴1年ですが湘南でナンパしたら楽勝でした
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 日本は秋分の日で三連休でした。僕は香港に来ています。香港国際空港はいつもより人が少ないこと以外は平常通りでした。8月初旬にカンボジアのアンコールワットに行く際に来たときはめちゃくちゃ暑かったのですが、こちらもすこし涼しくなっていますね。

★香港国際空港は平常通りとなっていました。しかし、人が少ないですね。いまは香港のホテルもめちゃ安くなっています。

★香港のこの細い麺のラーメンが好きなんですよね。日本のラーメンは脂と塩が強すぎる、と思うようになってきました。中華圏ではふつうの食材のチキンフィート(鶏の脚)もコラーゲンたっぷりで美味しいです。

『週刊金融日記 第382号 香港国際空港閉鎖、アンコールワット再び』

 堂々と法律婚せずに複数の女性と子供を作って一夫多妻、現在の彼女はトップ女優と、恋愛工学的にも大変注目すべき人物であったZOZO社の前澤友作社長ですが、ソフトバンクの孫正義さんのヤフーに株を売り、とうとう引退すると表明しました。推定保有資産2000億円以上、そして、学歴は高卒で、まさにジャパニーズ・ドリームですね。がんばって月に行ってほしいと思います。

●「ZOZOの社長を引退し、月に行きたい」前澤氏が孫社長に相談、裏話明かす
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1909/12/news141.html

『損する結婚 儲かる離婚』 https://amzn.to/2yDF4qT

 そんな型破りの前澤さんですが、これまでの型破りでない方の日本社会の特徴について語っている社会学者の小熊英二さんのインタビュー記事が、とてもよくまとまっているので、一読するといいかと思います。僕がふだんから言っていることで、新しいことではないのですが、なかなか完成度が高い記事でした。

●“約26%”にとっては「変わらなかった時代」
https://www3.nhk.or.jp/news/special/heisei/interview/interview_08.html

 我らの小泉進次郎さんですが、初の海外デビューで、期待通りの華々しいご活躍をされました。ニューヨークで行われていた国連でのパネルディスカッションの席で、地球温暖化問題に詳しい記者から、日本は火力発電を増やし続けていてぜんぜん温暖化問題に取り組んでいないじゃないか、と言われ、進次郎さんは(火力発電を)減らす、とキリッとお答えになったのですが、どうやって?とつっこまれ、困ってしまいました。そして、大臣になってからこの問題をスタッフと話し合ってきました、みたいな相変わらずの内容はないけど、なんかやってる感溢れる雑談のあと、気候変動問題みたいなものは、もっと楽しく(Fun)、クール(Cool)でセクシー(Sexy)であるべきだ、というご発言をされました。ここ数日、Twitterでは「進次郎さんにキリッと朗読してほしいコメント」というのが大喜利だったんですが、さすが本物は言うこと違うわ、と格の違いを見せつけました。

●小泉環境相、国連の外交デビュー 原稿読まず英語で演説 「気候変動問題はセクシーに」
https://www.sankei.com/life/news/190923/lif1909230016-n1.html

『週刊金融日記 第381号 真の意味で美人過ぎる滝川クリステルさんは正しい選択をした』

 とうとう世界も進次郎さんの才能に気づいたようで、ロイターなどが発言を取り上げ、英インディペンデント誌はかなり辛辣に批判することになりました。

●Climate change fight should be 'sexy' and 'fun', Japan's new environment minister says
https://www.independent.co.uk/environment/climate-change-sexy-fun-japan-environment-shinjiro-koizumi-a9115941.html

 一部メディアで、セクシーという単語の面白さで盛り上っていましたが、ここで英語の勉強ですが、そのビジネスモデルはセクシーじゃない、みたいな感じで、カジュアルな場面ではよく使います。Not sexyだと、この場合、理屈とか数字的にはいいんだけど、いまいち面白くない、みたいな意味になります。進次郎さんは、環境問題もみんなが興味を持つセクシーなトピックにしようぜ、みたいなことを言いたかったのかもしれません。
 しかし、進次郎さんが、世界の環境問題の基本的なことを何もわかっておらず、火力発電減らす!と言って、どうやって?と聞かれただけで詰んだように、恥を晒したわけで、まあ、ぜんぜんセクシーな発言ではなかったわけですね。そして、It's not fun...みたいな感じですかね。トホホ。

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 今週も興味深い投稿がいくつもあります。

- 筋トレ歴1年でマッチョとは程遠いですが海でナンパしたら思いの外ライバルがしょぼかったです
- 女性の方から積極的に話しかけられる男性はどういうタイプか
- 大学生が女性と出会うにはどうすればいいですか
- パパ活がきっかけで出会ってから真剣交際し同棲していたS級女子大生に私が出張中にキャバでバイトされました

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.セクシーでないビジネスをやれ

 世の中にはスケールするビジネスとそうでないビジネスがある。ビジネスや投資などでバリバリ働いている人にとっては、あまりにも当たり前過ぎることなのだけれど、脱サラしようとか、個人事業をはじめよう、みたいなビジネス初級者は意外とわかっていないのかもしれない、と思って書いておこうと思った。というのも、投資家、あるいは経営者目線のビジネスマンが何かビジネスを考えるとき、スケールする/しない、というのはまず最初に見る軸なのである。
 スケールするビジネスとは何か? ひとつの例が、こうしてみなさんが読んでいるこのメルマガである。インタラクティブで高度なアニメーションをするマルチメディアのウェブサイトや高画質な動画などがもてはやされる現在でもなお、僕のメルマガはただのプレーンテキストである。プレーンテキストか重い動画かどうかは、これから話す内容には関係ないのだけれど、言いたいことは、このメルマガのようなコンテンツは、100部売るのも10万部売るのも、基本的には販売コストは変わらない、ということなのだ。そして、実際に10万部売れる可能性はある。ということで、有料メルマガはスケールするのだ。とてもセクシーなビジネスだ!
 一方で、同じコンテンツを売るにしても、たとえば、道端で似顔絵を描いてあげる、みたいな商売はどうだろう。一人ひとり描かないといけないので、どんなに上手くいっても1日に描ける枚数は決まっている。売れるにしたがい労力も比例して増えていく。こういうビジネスはスケールしないのだ。
 テレビなんかももちろんスケールする。芸能人のパフォーマンスをテレビで放送すれば、視聴率が良ければ、時に一千万を超える人に映像を届けることができる。視聴者が増えてもコストは増えないからだ。ところが、ディナーショーをしたり、どこかで舞台に出たりするのはスケールしない。観客のための物理的なスペースを確保しないといけないし、そもそも自分がそこにいってパフォーマンスをしないといけない。

 スケールするビジネスというのは、仮に上手く行けば、簡単に拡大できて、利益が青天井に増えていく、とってもセクシーなビジネスなのである。また、話は逸れるが、セクシーなビジネス、というのは正しい英語だが、スケールする、というのは日本のベンチャー界隈などでは誰もが使うビジネス用語だけど、そういえばこれは微妙に和製英語である。英語ではどう言うかは、また別の機会に。

 ちなみに、トレーディングでも、これは大変に重要なコンセプトである。僕の専門だったことのひとつは、イベント駆動(Event-Driven)戦略だったのだが、これはスケールしなかった。ビットコイン分裂のアービトラージなんかがその例だけど、何か需給などに大きな変動が起こるイベントを分析し、そこでできる価格の歪みから収益を得る戦略である。他には、インデックスファンドの銘柄入れ替えが例である。インデックスの構成銘柄が変更されれば、インデックスファンドはそのとおりに買ったり売ったりしないといけないので、それを予め買ったり売ったりして、インデックスファンドに高値で売りつけたり、安値で買わせたりして儲かる。しかし、当然だが、自分が仕込めるポジションは、インデックスファンドが買ったり売ったりする金額を超えることはできないし、発生する需要の10%も取れないし、取るべきでもないのがふつうだ。つまり、儲かるんだけど、儲かる金額の最大値は、イベントのサイズで規定されていて、スケールできない。僕はこれで毎年5億円から10億円ぐらいは儲けていたし、年間を通しては一度も負けたことはないが、これでは証券会社で大物トレーダーとなって出世するには足りない。スケールしないビジネスは、セクシーではない。
 しかし、外国為替市場や日経平均先物の方向に賭けるような戦略なら、市場が巨大なので、どれだけでもスケールする。こうしたマクロな方向に賭ける戦略なら年間100億円単位で儲けることも(損することも)容易である。

『週刊金融日記 第278号 ビットコイン・アービトラージ 市場に札束が落っこちていた』
『週刊金融日記 第284号 ビットコインで生きたトレーディングの教科書ができました』

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