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週刊金融日記 第427号 ビジネスに使えて使えない統計学 その3 新コロ禍で学ぶ仮説検証の思考法、都知事選は小池百合子圧勝、レストラン紹介コーナーは自粛中、Postコロナで中国は伸びますか、他

// 週刊金融日記
// 2020年7月6日 第427号
// ビジネスに使えて使えない統計学 その3 新コロ禍で学ぶ仮説検証の思考法
// 都知事選は小池百合子圧勝
// レストラン紹介コーナーは自粛中
// Postコロナで中国は伸びますか
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 まだまだ香港にいます。しかし、日本と香港が近いうちに"Travel Bubble"になる可能性はとても低いです。これは日本で新コロ感染が再び加速中ということもありますが、同時に、徹底封じ込め体制の中華圏の地域が非常に慎重だというのもあります。マカオなんか、もう数カ月間新規感染者がゼロで、おそらく世界で一番最初に域内撲滅を成功させました。マカオは海外からの観光客にめちゃくちゃ依存している経済にもかかわらず、いまだに外国人の入境に対して非常に慎重です。マカオは、この10年余り中国バブルなどで稼ぎに稼いで、世界で最も財政状況が良い政府で、しばらく経済を止めても平気だということもあります。ということで、もう今年中に香港⇔日本の行き来で2週間強制隔離が免除されることはないかな、と。香港内にいる限りはほとんどなんの制限もなく、むしろ域内のレストランも観光地も賑わっているのですが、外に一歩でも出ると大変なことになります。否が応でも新コロ禍による"New Normal"の世界が続きますね。

●東京都で131人感染 小池知事「都外への移動自粛を」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61170820U0A700C2CC1000/

●小池都知事「国の力も借りコロナに勝つ」首相と会談
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61185920W0A700C2MM0000/

 いまはフィリピンなどに語学留学もできませんので、英語の勉強も自宅でやることになりますね。以前にも何度か紹介したGoogleのAIファンドが投資している音声認識技術で発音を直してくれるELSAが、"New Normal"生活のトピックを盛り込み、割引になっています。

●ELSA: Special Discount
https://www.elsaspeak.com/kinyuunikki

週刊金融日記 第329号 英語学習のためのいまどきのツールを解説
週刊金融日記 第319号 無料動画が役に立つのはエロではなく語学学習だ

 また、ホワイトカラーの自宅勤務(WFH、Work From Home)も新コロと共生路線の日本では長期化することになりそうです。ネット環境強化ということで、以前紹介した、無制限モバイルWiFiの宣伝もしておきます。

★限界突破WiFiは月々3500円で、ビジネスユースならほぼ無制限に使えて、車でお出かけしたときなど8台までiPadやSwitchをつないで自宅のWiFiのように使えます。
https://onlinestore.xmobile.ne.jp/xt/1/2/5cC

 自宅のPC環境ですが、僕はコンパクトなIntel NUCとOffice365(個人版)で大変に満足しています。ヒントですが、ディスプレイは韓国製がいいです。僕はLGですが、コスパいいです。試しに買った某日本製のディスプレイと比べて、あらゆる点でLGが上回っていて、別に僕は国産物を贔屓したいというわけでもないんですが、少々残念な気持ちです。

週刊金融日記 第397号 最高のWindows PC環境はこれで決まり

 近々どこかでまとめますが、MacはMacBookに外付けキーボードとマウスを買って、LGのディスプレイにつなげば、そのまま立派なデスクトップPCになります。説明しなくても、キーボードとタッチパッドとディスプレイを買って、USB-Cケーブルでつなぐだけなので、この写真だけでわかるでしょう。まったく難しいことはないので、安心してチャレンジしてください。

★MacBookはキーボードとディスプレイを付けると、こんな風にデスクトップになります。

 最後に香港情勢ですが、国家安全法が施行されました。「国家分裂」「国家政権転覆」「テロ行為」「外国または域外勢力との結託による国家安全危害」(の組織、計画、実施、参与、ほう助、出資など)を取り締まる法律です。
 日本はもちろんのこと西側先進国のメディアは批判的トーン一色です。そして、僕もいま香港にこうして住んでいるわけでして、ひとごとではありません。このメルマガのスタンスとして、イデオロギーを持たない、自分たちで結果を左右できないことについて無駄な労力を使わない、与えられた環境の中で個々人の最適解を目指す、ということでありますので、その点から考えてみると、正直、僕や僕のビジネスにはいまのところ影響はないな、と思っております。

●香港を殺す国家安全法、明らかになった非道な全文
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61142

●香港の外国企業、国家安全法に動揺隠せず
https://jp.wsj.com/articles/SB12812375638612804776604586483534225639932

 実際、香港の株式市場などはすでに施行は織り込み済みだったので反応しませんでしたし、むしろ上がっております。相変わらず香港へは資本流入しておりますし、こうしたことを警戒していたヘッジファンドなどはシンガポールなどへすでに移っていて、今回、新たに香港から出て行こうとしているヘッジファンドなどの話はあまり聞きません。米ドルと固定レートのペッグ制になっている香港ドルは、決められたレンジの上限に張り付いている状況です。
 僕の理解では、言論や集会に関する自由度を数直線で考えると、極めて自由な東京と制限されている上海の間に香港があるわけですが、これまで東京に非常に近いところにいた香港が、やや上海のほうに寄ったな、という程度のものですね。さすがにインターネットが自由に使えなくなる兆候が見えたら、僕も香港のアパートは引き払うと思いますが、そのようなことは起こりそうにないかなぁ、と。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- Postコロナで中国は伸びますか
- 自称イケメンの大学生ですが新コロ禍で2ヶ月会えなかった彼女と破局しました
- 恋愛強者になると難易度調整メカニズムが辛いです

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.ビジネスに使えて使えない統計学 その3 新コロ禍で学ぶ仮説検証の思考法

 統計学の本を勉強すると、平均や分散や相関係数なんかは当たり前なのですが、いろいろな仮説の検定方法が書いてありますし、さまざまな分析手法を学べます。しかし、それらが実際のビジネスはもちろんのこと、(特殊な分野を除いて)トレーディングにも投資にもほとんどまったく使えない、というか、みんな使っていない(笑)、という状況はバックナンバーに書いたとおりです。

週刊金融日記 第267号 ビジネスでの統計の使い方
週刊金融日記 第268号 ビジネスに使えて使えない統計学 その2 因果関係を暴き出す
週刊金融日記 第417号 新型コロナウイルス問題から学ぶビジネスやトレーディングで必要なデータの見方

 しかし、単なる相関ではなく因果関係を統計的に見つけ出す、ランダム化比較試験などの詳細は「常識として」知っておかないと、たとえば新コロ禍での新薬開発などのニュースが理解できませんし、ABテストなどのWeb開発やマーケティングの手法やその限界もわかりませんし、インチキ人間ドックなどにも騙されるので、以下の本は読んでおきましょう。非常によくまとまっています。

『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』伊藤公一朗
http://amzn.to/2rzSQJ1

 実際のビジネスや投資、あるいはポーカーや麻雀なんかのゲームが上手い人の思考がどうなっているかというのを今週号では解説したいと思います。
 中学数学の範囲でいえば、それは方程式の形を決めていく作業です。考えている現象が、y = Ax + B のような簡単なモデルに従っているなら、このAとBが決まれば物事を予想できるようになります。それには、xとyの観測データが2つあればいいわけです。それで、思考としては、いま注目している現象は概ねこういうモデルに従って動いているんじゃないか(この場合は、y = Ax + B というモデル)、と仮説を立てます。そして、いろいろなところからたまたま出てきた2点を使えば(現実に起きていることを観測する)、そのモデルの形を決められます。観測データには誤差がありますから、たくさんデータがあれば、もっと正確になりますし、また、いろいろ観測していると、そもそもこの簡単な線形式は的外れだとわかってくるかもしれません。そしたら、また、モデル作りから出直せばいいわけです。こうやってグルグル回して、頭の中の予想モデルをどんどん正確にしていくわけですね。
 人間の脳は非常に柔軟なので、数式に表わせなくても、かなり複雑なことを自然とモデル化できます。そして、優秀な人は、頭の中の予想モデルを限られた観測データから作っていくのが非常に上手いわけです。

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