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週刊金融日記 第147号 恋愛工学で読み解くイスラム国、決算シーズン、南青山の安くて美味しいフレンチ、コスパ重視の推奨レストラン・リスト、他

// 週刊金融日記
// 2015年2月3日 第147号
// 恋愛工学で読み解くイスラム国
// 決算シーズン
// 南青山の安くて美味しいフレンチ
// コスパ重視の推奨レストラン・リスト
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 今週号は、イスラム国について書きました。イスラム国の蛮行は決して許してはいけません。しかし、彼らの組織形態には、これからのインターネットビジネスのヒントが詰まっているように思いました。インターネットを駆使して、分散型のネットワーク構造のコミュニティを作るというのは、とても現代的です。恋愛工学と同様に、ビジネスモデルや組織形態自体に善悪はありません。それを使う人間により、善にもなるし、悪にもなるということです。

 連載中の小説が更新されました。

Chapter3-7 バックトラック
https://cakes.mu/posts/7750

 今週号の人生相談コーナーの重要トピックは以下のとおりです。

―コスパ重視の推奨レストラン・リスト
―独身30代前半女性・彼氏ありですが浮気相手から奥義STコンボを喰らっています
―第146号で聖帝十字撃を決めたにもかかわらず、パンスト桶狭間の戦いで一敗地にまみれた方へ
―藤沢さんが取っているメルマガを教えてください
―東京ディズニーシー・ストナンプロトコルの結果報告

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.恋愛工学で読み解くイスラム国

 「イスラム国」に日本人ふたりが誘拐され、日本国政府やヨルダン政府の努力も虚しく、殺害されてしまった。後藤さんは、信念のあるジャーナリストで、日本中が彼の功績を称え、彼が亡くなってしまったことを深く惜しんでいる。オバマ大統領は、後藤さんを殺害する動画がYouTubeにアップされると、異例の早さでコメントを出した。

"Through his reporting, Mr. Goto courageously sought to convey the plight of the Syrian people to the outside world. Our thoughts are with Mr. Goto's family and loved ones, and we stand today in solidarity with Prime Minister Abe and the Japanese people in denouncing this barbaric act."
(後藤さんは勇気をもってシリアの国民の置かれた苦しい状況を世界に伝えてきた。我々の心は後藤氏の家族や彼を愛する人々と共にあり、米国は今日、こうした野蛮な行為を糾弾することで、安倍首相、そして日本国民と共に結束する。)

 テロリストたちが行った今回の蛮行は、もちろん決して許されないことだ。その点で、安倍首相が「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携する」と声明を出したのは当然である。(残念なことに「罪を償わせる」という言葉が、一部の欧米メディアで"Revenge"(復讐)と訳されてしまったが、"Bring them to justice"(司法に裁かせる)ぐらいにするべきだっただろう。同時に英語の声明も発表するべきだった。)
 いま、日本国民は、この「イスラム国」に大いに関心を持っており、メディアでは、アラブ諸国やイスラム教に詳しい国際政治や安全保障問題の多くの専門家が「イスラム国」について解説している。
 世間では、「イスラム国」は単なるテロ集団であり、正式な国家と誤解させるような呼称は改めるべきだ、という議論が盛り上がっているが、現実的には国家の形相を示している。シリアとイラクの広範な地域を実効支配しており、すでに2万~3万人ほどの戦闘員を有する軍隊を持ち、行政を司る官僚組織まで持っている。2014年11月には独自の通貨を発行することまで発表した。国際社会からは決して認められないこの集団を、本メルマガでは、「イスラム国」と括弧付きで表現することにする。
 詳細は専門家に譲るとして、「イスラム国」の歴史を簡単におさらいしておこう。

 イラクやシリアは元々はオスマン帝国の一部であり国民は平和に暮らしていた。しかし、1914年に第一次世界大戦が勃発し、状況が一変する。戦勝国のイギリス・フランス・ロシアがオスマン帝国の領土を分割し、これを分けあったのだ。こうして部族や宗派への配慮もなく、主にイギリスとフランスの利権の都合で、無理矢理に国境が引かれることになった。以後、石油が出るこれらの中東地域は、列強の覇権争いを火種にして、大小様々な戦争を繰り返していくことになる。
 イラクはイギリスにより人工的に作られた国家だったが、1968年にバアス党が起こしたクーデターで独立国家になった。このバアス党で出世して指導者になったのがサダム・フセインである。一方のシリアはフランスに統治されていたが、第二次世界大戦の後にシリア共和国として独立している。
 バアス党は「欧米列強に切り裂かれたアラブ諸国を再び統一し、かつては世界に冠たる文明を誇ったアラブの栄光を取り戻す」という目標をかかげ、多くの若者から熱烈な支持を得た。フセインは彼らのヒーローだったのである。しかし、フセインは典型的な独裁者となった。秘密警察を組織して国民を監視し、自分たちを批判する者や権力を脅かしそうな人物は次々と処刑した。一方で、シリアもアサド政権が、やはり秘密警察で国民を監視し、恐怖政治で治安を維持していた。

 サダム・フセインのイラクだが、じつはアメリカと仲が良かった。となりのイランで1979年に革命が起き、反米国家になってしまったからだ。アラブ諸国のパワーバランスを取るために、アメリカはイラクを支援した。こうして力を付けたイラクは、1980年には、早くもイラン・イラク戦争を引き起こす。この戦争で、イラクの軍隊は国際法に違反する化学兵器を使用したが、反米国家のイランを弱体化させるために、国際社会はこれを放置した。アメリカはフセインの軍隊を訓練し、最新の兵器を与えることにより、8年にも及ぶこの戦争で、イラクを支援し続けた。こうしてイラクは化学兵器、戦車、戦闘機などを保有する強大な軍事力を持つことになる。
 1990年8月、イラン・イラク戦争でクウェートから金を借りていたフセインは、戦争が終わると、自分たちは血を流すことなく、金を返せと執拗に迫る隣国のクウェートにブチ切れて、侵攻を開始した。これにアメリカがブチ切れて、1991年1月、アメリカ軍と多国籍軍は湾岸戦争を開始したのだ。多国籍軍は、ハイテク兵器を使った徹底的な空爆で1ヶ月足らずで勝利する。ここでブッシュ大統領(父)は、フセインを殺すこともできたのだが、あえて生かしておいた。しかし、唯一の超大国となったアメリカはここで力を誇示して、サダム・フセインを処刑し、アメリカの力でイラクに民主的な政権を作るべきだ、と考える人たちも多くいた。彼らは「ネオコン」と呼ばれている人たちだ。

 ネオコンの人々が一気に息を吹き返すときが来たのが、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロである。あの民間航空機をニューヨークの高層ビルに複数突っ込ませるという、前代未聞のテロを企画して実行したのは、アルカーイダというテロ組織である。アルカーイダは、オサマ・ビンラディンが中心になって起ち上げた、フランチャイズ形式の民間テロ組織で、主に反米思想の富裕層からの寄付金が収入源であった。
 世の中には、様々な理由で強烈な反米感情を持っている人がいる。産油国などのこうした富裕層が、アメリカを攻撃してくれる民間テロ組織を支援しているのだ。アルカーイダのビジネスモデルは、環境保護団体のグリーンピースと同じだと考えれば、よくわかる。グリーンピースは、欧米の富裕層からの寄付金で運営されている。こうした富裕層は、メディアなどで紹介される活動を見て、自分が好きな団体に寄付する。グリーンピースが、クジラ漁をする漁船に体当りしたり過激な行動をするのは、こうした富裕層へのアピールなのだ。あの同時多発テロを成功させたアルカーイダは、この分野で圧倒的なトップブランドに躍り出たのだ。

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