マガジンのカバー画像

Doors

27
短編小説「Doors」
運営しているクリエイター

#Joker

Doors 第24章 〜 未来

Doors 第24章 〜 未来

  ありがとう

 そう言うと僕は原稿を置き去りにして夢へと旅立った.いつか誰かがこの原稿を見つけてくれると信じて.そして明日へと戻った.

 人はいつだって正しい選択をする.もしも間違った扉を開けばセーブポイントからやり直しになるだけ.途中で間違いかなと思っても,その先には行くべき道が必ず待っている.不甲斐ない人生の幕切れは,冷酷かもしれないが,その人にとってはそれが正しくもあったということ.理

もっとみる
Doors 第23章 〜 明日への扉

Doors 第23章 〜 明日への扉

 色々考えた,悩んだ."You"が自分のことではないことくらいは流石の僕でも察しがついた.実らない恋,実らせてはいけない恋だとも.だれも幸せになれない.扉を開ける鍵はあるけれど,そうすればお互いに傷つくだけ.僕が手にしているのは諸刃の剣.どうせ自分はいつだって蚊帳の外だった.
 そうだ,お前はJokerじゃないか.忘れちまったのか.その方が楽だぜ.せいぜい庭から道に飛び出た枝になる腐った果実を分け

もっとみる
Doors 第4章 〜 Joker

Doors 第4章 〜 Joker

 何故みんなと少しだけ違っているだけなのにこんなに邪険にされるんだろう.それがババ抜きを嫌いな理由の一つだ.ただのカード揃えなのにjokerを避けるのにとても興奮している.僕はその光景がいじめのそれのようでとても異様に感じたし,悲しく苦くもあった.
 勝利のために平然と嘘をつき子供を騙して精神的にズタボロに殴りつける.勝利とは人を蹴落として掴むものではなく,自らの脚力で飛び上がるものだと考えていた

もっとみる