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Doors

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短編小説「Doors」
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#音楽

Doors 第26章 〜 夢

Doors 第26章 〜 夢

 未来で音楽家になる夢を叶えた僕は,もう夢に縛られることがなくなった.そのことは僕をいい方向に大きく変化させた.その一つは夢が変わったということ.新たな夢は『プロ並みの実力をつける』ことだった.一見変わっていないようで,実は大きく変わったように見えるけれど,本質は実は同じものだった.やることに変わりはない.

 元々,プロになりたいと思っていたが,どこか周りの同志と違っていた.武道館を埋め尽くす大

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Doors 第18章 〜 フォーカルジストニア奮闘記2

Doors 第18章 〜 フォーカルジストニア奮闘記2

 2020年,世間はコロナ禍に見舞われた.多くの人がそうであるように僕の生活も大きく変わってしまった.仕事も含めて音楽関係の活動は全てなくなった.いや,自らなくした.自分自身が不安だったというのもあるが,この状況でリスクを負ってお店に足を運んでもらってまでステージに立つ価値や資格が自分にあるとは思えなかった.どんな顔をして演奏したらいいのか分からない.だから全ての活動を停止させた.

 心の中が空

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Doors 第17章 〜 フォーカルジストニア奮闘記1

Doors 第17章 〜 フォーカルジストニア奮闘記1

 交通事故で右手の指3本を開放骨折をしたことが原因で後々にフォーカルジストニアに悩まされるようになった.主な症状はドラムの連打奏法が満足にできなくなったことだ.

 初めて違和感を覚えたのは事故から半年ほど過ぎた時だった.アップテンポな曲をコピーするバンドのスタジオで,突然動かなくなってしまった.
 そのスタジオはとても小さかったので,自分の音しか聞こえなかった.だからボリュームを落とすために少し

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Doors 第12章 〜 逃避

Doors 第12章 〜 逃避

 リハビリに苦しんでいる時,高校の時の親友と久しぶりに会いました.頭はでかいがイケメンで賢くて尊敬していたそんな彼からマルチビジネスを勧められました.無知で馬鹿だった僕は特に気にせずついて行くことに.アルバイト再開のためのリハビリのような感覚だったのかもしれない.彼のようになりたくて必死に追いかけ,扉を開けたけど結果は…

 そうしてサークルからも居場所がなくなった僕は更に部屋に篭るようになりまし

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Doors 第9章 〜 再会

Doors 第9章 〜 再会

 大学は何となくで通うことにした.もう一年受験生という重い肩書きを背負うのは嫌だったから.なので何事においても受け身的だった.勉強も何となくだったし,サークル活動も部活動もせず,バイトも友人に誘われたから始めただけだった.学部の友達とお酒を飲み哲学について語る日々が暫く続いた.その中で自然と音楽好きな仲間が集まり,みんなでギターに興じるようになっていく.そして再会は突然訪れた.

 大学2年生のゴ

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Doors 第7章 〜 音楽

Doors 第7章 〜 音楽

 中学生時代は楽器演奏にハマった.それまでは扉の外から見るだけの世界だった.それが,演奏するということは,実際にその世界を自分自身で自由に歩くということに他ならない.
 扉を開ければ見たことない美しい景色と常識.新鮮そのものだった.近づくと消えてなくなる木,かと思えば自分の背後に突然現れたり.時には腹立たしくも思うことはあるが,その鬼ごっこは本当に楽しくて気がつくと夢中になっていった.全ての存在が

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