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引きこもりの閃き

月に1、2日くらいの頻度で、私には「一歩も外に出ない日」がある。前日に買い物や用事を済ませ、家で充実した時間を過ごすための準備を欠かさず、気合いを入れて引きこもるのだ。

今日がその日だった。

午前中に来週のお弁当に入れる常備おかずを作り、午後は食後に読書をした後、友人の子供のために羊毛フェルトで作ったパンをひたすら作った。

羊毛フェルトというのは、少し前にブームになった手芸のことである。まだフワフワの羊の原毛に水分や熱・摩擦を加え、いくつも返しが付いている針で何度もつつき、羊毛を絡ませて縮ませつつ形成するものだ。

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これが原毛。

私が羊毛フェルトにハマったのも、もう10年以上前のことだ。学生時代の暇つぶしでやっていたのだが、幼稚園教諭時代にもこの経験を活かし、手作りのおもちゃをよく作っていた。中にマグネットを仕込み、魚釣りができるようにしたり、食べ物をたくさん作ると、女の子たちがおままごとに使ってくれたり。

子ども達を喜ばせるように見えて、私自身がいちばん楽しんでいた。無心で針をトントンと刺すことなど、普通に暮らしていたらまず経験できない。そして、私は作りたいものを作った。個人的趣味が最大限に反映されたので、シャチやシロイルカを釣る魚釣りは、おそらく子ども達も初めての経験だったはず。

それからというもの、羊毛フェルトは私の趣味の一つとなった。友人のアクセサリーを作ったり、結婚式のリングピローを作ったこともある。

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花も100均のフェルトで一つずつ作ったので、これはすこし大変だった。

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今回のパンもリクエストに応えるためのものだ。

以前、リクエスト主である友人のお家にお邪魔した時に「魔女の宅急便」のDVDを持って行った。まだ観たことがないという6才の女の子に、是非素晴らしさを知ってほしかったからだ。感想を聞くと、「私、パン屋さんになりたい」という、予想だにしない答えが返ってきた。

なるほど、興味の対象はそっちだったか…と思いつつ、じゃあお家でパン屋さんごっこができるように、という流れでパンを作ることになったのだ。

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このメロンパンは個人的に作りたかったシリーズ。何故ならグーチョキパン店にはメロンパンがおそらく無い。でも…可愛いし、何より私が好きだからつい。

食パン・フランスパン・クリームパン・クロワッサン・メロンパンの5種類を3つずつ作ったところで、今回は許してもらおうと思う。作り終えてから、食パンは1斤丸ごとの方が良かったかもしれないと思ったが、羊毛も足りないので、次回の課題にするつもりだ。

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今日作っていて思ったのは、工夫次第ではもっと世界が広がるアート作品になるということ。もちろん既に、羊毛フェルトで作られた作品は数多くあり、精巧に作られる方々は本物そっくりの動物なんかを作られている方もいる。亡くなったペットの写真から等身大のぬいぐるみを作るサービスなんかもある。

ただ、「これを羊毛で作ったの?」という意外性や、「こんなところに羊毛を?」と思われるような組み合わせの面白さが、もっともっとあればいいなと。

精巧さや技術では専門にされている方の足元にも及ばないから、何か違うアプローチができたらいいな、という新たな野望が生まれた。

引きこもっていても、閃きは生まれる。

今後も有料記事を書くつもりはありません。いただきましたサポートは、創作活動(絵本・書道など)の費用に使用させていただきます。