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ボカロPが突発性難聴になった話

 こんにちは風原です。会社員をしながらボカロ曲を書いたりインスト曲を書いたりしています。
 最近のお仕事はこちらのSynthesizer V AI フリモメンのデモ曲。

 
 遡ること2ヶ月半、4月の末に突発性難聴を発症しました。文字通り突発した難聴ですが、その中でも原因不明の聴力低下を指してそういうようです。主に片耳だけ聞こえづらくなったり、音が二重に聞こえたりといった症状が多いようで、今回自分の症状はまさにそれらでした。
 自分は幸運なことに治療開始から2~3週間程度で治ったのですが、発症から回復するまでの経過をざっくり記録したので、同様の症状で困っている誰かの役に立てばと思い記しておこうと思います
 そんなわけで、それなりに細かい記録なのでだいぶ長くなりますが、お付き合いいただければ。

【重要】主観に基づく一個人の闘病記です。これが正しい治療とは限らないので、あくまで【参考】としてお読みください。


前兆その1:副鼻腔炎

 今回の症例を語る前にこちらにも触れておかなければなりません。自分は慢性的に鼻炎持ちで、たまに匂いがわからなくなることがあります。振り返ると、あれも突発性難聴だったのでは? と思う症状が今年の1月にありました。

 この時は鼻炎をこじらせて匂いがわからなくなってる状態が続いた時期で、ある朝起きたらスマホの目覚ましアラーム音が原音と半音下げた状態で同時に聞こえてきました。
 もちろんスマホがそんな音を発しているわけもなく、自分の耳に原因があるわけですが、寝ぼけた状態でそんなことを考えるわけもなく、半分パニック状態でスマホが壊れたか? と思いました。
 そのあと、左耳に水が詰まっている感じがして、酷い耳鳴りがあること、左側頭がぼんやりしていること、左耳と右耳で聞こえ方が違うことに気づきます。そして、自分の部屋のギターを鳴らすと、さっきと同じように半音でぶつかった音に聞こえました。ちょうどチューニングが半音違う2本の弦が鳴っているかのように。
 つまり、左耳がほぼ半音低く聞こえる状態になっていました。

 これはまずいぞと、その日は土曜日だったこともあり、近隣の耳鼻科で土曜診察をやっているところを見つけ、朝一で駆け込みました。病院嫌いの自分も、耳のこととなると話が違います。
 耳鼻科で鼓膜と鼻を診てもらい、診断結果は副鼻腔炎とそれによる「鼓膜のむくみ」ということでした。処方された薬はエンペラシン(鼻炎)、クラリスロマイシン(抗生物質) 、フルチカゾン(点鼻薬)とあとなんかサワイのやつ(名前忘れた。のちに下痢で減らしてもらう)でした。これを飲んで1週間後に来てねとのこと。
 診察を受けた朝から早速薬を飲み始め、翌日にはだいぶ症状は良くなっており、このときはそこまで重篤な感覚はありませんでした。

 その後、なんやかんやあって1週間で左耳鼓膜のむくみは落ち着き、耳閉感と耳鳴りも2~3週間でほぼ治ったので、そのときはそこまで大事には捉えませんでした。

 が、今回もまた副鼻腔炎から始まったため、判断を誤ったのかもしれません。

 ここから本題。

前兆その2:リンパの腫れ

 2024年4月下旬、子どもから風邪をもらったのか副鼻腔炎をこじらせていた風原は、毎度のごとく匂いが分からなくなっており何を食べても楽しくない日々を送っていました。その時期は、仕事が新しくなって環境順応に追われていたり、家族が倒れたりでそれなりに忙しかった時期でした。
 そんな中、4月29日の朝、左首裏の痛みで未明に目覚めます。

 左耳の裏当たりを通っているリンパ腺が腫れて酷く痛む状態でした。最初は寝違えかと思いましたが、耳の中まで痛く、嚥下もままならないレベルでした。どうにもこうにもならないのでそのときは鎮痛剤を飲んで痛みが落ち着いた頃に二度寝しました。
 そして起きてみると、1月と同様の症状が発生していました。
 そのとき世間はGW中、家族は療養中で病院に行きづらい状況で、「まぁまたアレだろう」と高を括ってあろうことか放置していました。というのも、薬を飲まずとも翌日にはまたある程度症状が落ち着いていたので、そこで油断してしまったのでしょう。

 しかし1週間後。

これはまずいかもしれん

 今度は左耳が半音高く聞こえるようになりました。なんだそれ聞いてないぞ。
 さすがにこれはまずいということで、ここでようやく突発性難聴の線を疑い、その治療に強そうな耳鼻科を近隣で探しました。
 先に書いておきますが、突発性難聴について言及がある耳鼻科とそうでない耳鼻科があるので、もし同じような症状に当たったら、言及がある耳鼻科を探すのが吉です(1月に行った耳鼻科はありませんでした)。
 
 というわけで、GW明けの火曜日、新たに向かった耳鼻科で診断された結果は予想通り突発性難聴でした。鼻に色々突っ込まれたり、頭を何かで叩かれて「どっち側で鳴ってる?」と訊かれたりしました。このときは聞こえが悪い左側で振動を感じていたと思います。最初は「副鼻腔炎によるものかな」と言われたものの、「前にも同じような症状があった」と言ったら「もうちょっと詳しく調べてみようか」と聴力検査に連れて行かれた末の診断でした。

 せっかくの闘病録なので赤裸々に記してしまうのですが、これがそのときの聴力検査の結果です。

聴力検査結果

 ✕が左耳、◯が右耳、[]がそれぞれ骨伝導での左右聴力です。左耳の高音がごっそり抜け落ちているのがわかります。実際、風呂でシャワーなんかを壁に当ててみると、高音が抜け落ちている左耳は水しぶきの音には聞こえません。小豆をザラザラしているかのように聞こえます(どちらかというと潮騒に近い)。
 
 そのときかかった耳鼻科のお医者さんにも1月に似たような症状があったときの話の流れで、「聴力検査はした? してない? 妙だね」と言われました(その後、聴力検査に連れていかれ突発性難聴の診断)。自分としては1月にかかったお医者さんがヤブだったというつもりは毛頭ない(実際に治ったし)のですが、クリニックによって見立てが違うことがなんとなくわかりました。聞こえが悪いと感じたら、そういう症状に強いクリニックを探したほうが良いかもしれません。
 
 さて、そのとき処方されたお薬がこちら

  • クラリスロマイシン

  • ムコダイン

  • アンブロキソール塩酸塩

  • プレドニン

  • レバミピド

  • アデホスコーワ

  • メチコバール

 詳細は省きますが、これらは突発性難聴の治療には王道の薬のようです。抗生物質で炎症を抑えつつ、ビタミン剤、ステロイド剤などで治していくようです(薬によって胃が荒れるのを抑える薬も入ってる)。

気が触れている


 ステロイド剤は長期服用で副作用があるので、徐々に量を減らしていく感じでした。
 これらを服用して1週間ほどで症状は良くなってきた体感がありました

再受診(経過検査)


 お医者さんには2週間後に来るように言われ、ちょうど薬が切れた2週間後に受診して聴力検査をした結果がこちら。

受診2週間後の聴力検査(骨伝導なし)

 左右差ほぼなし。むしろ左のがいい。それを見て、

お医者さん「いいねぇ~~~~!」

 めっちゃご機嫌で草。自分の治療がズバリ当たったのならそりゃ気持ちがいいだろうな、と素人ながら思いました。

 その後は主にステロイド剤とビタミン剤、アデホスコーワを飲みながら、ステロイドを漸減させてさらに3週間様子を見て再検査のち問題なしで発症から6週間で治療は完了しました。よかったよかった。

細かい話

 突発性難聴は原因不明の難聴に付けられる名前のようですが、ストレスなどが原因となることが多いようです。振り返れば、仕事が変わったり、家族が倒れたり、自身も風邪を引いたりで心身ともにストレスが溜まっていたのかもしれません。もちろん、鼻炎によって鼓膜がやられていた可能性もありますが、やはり心身のコンディションを良好に保つことが大事でしょう。

 また、突発性難聴の治療にはビタミン剤とステロイド剤などが使われるようですが、前述の通りステロイド剤は副作用があるため漸減させていくのがよくある治療法のようです。
 今回でいうと、ステロイド剤(プレドニン)の服用量は以下のようでした

  • 1週目:30mg/日

  • 2週目:20mg/日

  • 3週目:10mg/日

  • 4~5週目:5mg/日

 ステロイドは体でも日々生成されているらしく、積極投与の場合はこのように漸次減らしていくことで体への影響を小さくしているのだとか。慣らしみたいなものでしょうか。
 ちなみに、ステロイド剤は中性脂肪コレステロール値に影響を与えるという研究結果もあるようで、健康診断の際は気をつけたほうがいいかもしれません。

まとめ

 

聞こえにくかったら速攻病院

 まずはこれに尽きます。突発性難聴は治療スピードがものをいうようで、発症から24時間以内の受診がベスト、遅くとも1週間以内の治療でおおよその患者は改善が見込めるそうです(完治とは限らない)。あまり治療が遅くなると、聴力がそこで固定されてしまうこともあるそうです。
 今回は1週間置いて症状が変化したことで慌てて受診しました。前述の通り、似たような症状でもクリニックによて違った診断になるので、突発性難聴の類を疑うのであれば、あらかじめWebサイトを見て突発性難聴の治療を行っているクリニックを選んだほうがいいかもしれません。

治療費

 5週間にわたる診察と薬でざっくり1万円くらいでしょうか(3割負担)。それで治るんだから凄いものだ。

突発性難聴は運ゲーか?

 突発性難聴は1/3が治らず、1/3が改善、1/3が完治と言われる病のようです。自分は幸運にも一番良い1/3を引けましたが、1月の発症時と同じ耳鼻科にかかっていたらどうなっていたかはわかりません。とはいえ、今回と1月が同じ症状だったとは限らないし、実際に治ったので1月に受診したクリニックを批判するつもりは全くありません(ここ大事)。

ストレスを溜めない

 「それができれば 苦労はしねェ!!!」という声が聞こえてきます。自分もそう思います。でもこれだけのお医者さんが突発性難聴の原因はストレスだって言ってるんだもん。ストレス溜め込まないほうがいいですよ。とはいえ、どないせぇと。

結びに

 音楽をやっている身として突発性難聴は致命的な病ではありますが、日常生活においても聞こえが悪くなって思ったのは、人間は視覚情報が9割と聞いていたけど聴覚情報も滅茶苦茶大事だなということ。
 聴覚はどこに何があるか、どこで誰が話しているかといった、視覚では得られない情報を360°で拾えるのだと改めて気付かされました。左耳が不自由になるだけでオフィスでどこで誰が話しているかが掴めなくなるのは新鮮な体験でした。二度と味わいたくない。

 長くなりましたが、自分はなんとか元通り聞こえるようになりました。しかし、世の中には突発性難聴に苦しんでいる人がたくさんいて、治療をしても治らない人もいます。繰り返しになりますが、このNoteが必ずしも正しいとは言い切れませんが、この投稿をしておくことで、これを見た人がそれらしい症状に当たったとき、迅速く行動を取ってもらえるなら幸いです。
 

 以上、赤裸々な突発性難聴闘病記でした。

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