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「いま、何軸で話してる?」コミュケーションのバグについて

昼下がりのカフェの窓際の席で、うとうとしていた。目を瞑ったとき、窓から入る光をうっすらと感じた。

「光を認識できるのは、暗闇の中だからかもしれない。」

目を瞑りながらそんなこと考えていたら、いつのまにか眠っていた。

良いとは?悪いとは?

やりがいを持って働くこと
適度に休むこと
お金があること
ボランティアをすること

一般的に良いと感じることが多い言葉でも、人や状況によっては良くない場合がある。

年収をあげたい人にとっては、やり甲斐は二の次かもしれない。
たくさん経験を積みたい人にとっては、休みは重要ではないかもしれない。
過去にお金のトラブルで苦労した人にとっては、お金があることが重荷になるかもしれない。
強制的なボランティアだったとしたら、やる人は幸せではないかもしれない。

同じ言葉や物事でも、人や状況、価値観によって、良い悪いは簡単に変化するものだと思っています。

「良い悪い」は何かの軸の上でしか成り立たない

働く上でやりがいを第一に考えている人にとっては、やりがいを持って働くことはとても良いこと。
健康的で持続的に活動をしたい人にとっては、適度に休むことはとても良いこと。
今お金がなくて困っている人、欲しいものがある人にとっては、お金があることは良いこと。
無償でもいいから誰かに何かで貢献したい人にとっては、ボランティアは良いこと。

法律や倫理、就業規則、グループの共通認識、二人の約束。

普段の生活の中にはさまざまな軸が複雑に絡み合っています。それらは目に見えず、明文化されていないこともあるので、常にすべてを意識することは、とても難しいことです。

軸がずれるとコミュニケーションがバグる

軸を捉えないままコミュニケーションを続けると、意識や認識に齟齬が生まれます。

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(ある男女の会話、夜、自宅にて)

今日の夜は自炊にしようか。
(昨日たくさんお金使ったから今日は節約したい。)

え〜、自炊めんどくさい。
(今週は疲れたからできるだけ何もしたくない。)

ん〜、じゃあ安い外食にする?マックとか松屋とか。
(できるだけ安くしたい。)

えぇ、もっと嫌かも。出前とか取れないかな。
(できたら外に出たくもないかも。)

いやいや、出前はないでしょ。
(高いからやだなぁ。)

え、なんでそんな言い方するの、疲れてるのに。
(自炊も外食も疲れるからやだなぁ。)

***

この二人は「お金を節約したい軸」と「疲れを取りたい軸」を持ちながら会話をしていましたが、お互いの軸を確認できなかったため、すれ違ってしまいました。

お互いに、いまそのときに何を大事にしているかを確認できると、

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「おぉ、疲れてたのか。じゃあ今日はぼくが作るから、その間休んでていいよ。」

「ありがとう〜。たすかる。」

「いいよいいよ。疲れてるときは休むのが一番。大変なときは頼るのが大切。」

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もしかしたら、こんなやさしいやりとりができたかもしれません。

自分や相手が「いま何軸で話しているか」を把握することは、コミュニーケーションをする上で非常に大切です。

コミュニケーションの軸を捉える大切さ

仕事でもプライベートでも誰かが「〇〇って良いよね〜」と言ったとき、「それって何軸で話してる?」と聞くようにしてます。(もちろん失礼にならないようにですが。)

相手の頭の中は見えないので、聞ける場合は必ず聞いて、コミュニケーションの軸を確認するようにしています。

サービスを作っていく上でも「この改善は誰のどんな軸において良いのか?」という問いを立てながら進めます。

人やユーザーとのコミュニーケーションを設計する上で「何軸における良いことなのか?」という問いは、会話や施策の精度を高める上で非常に重要です。

お互いの大切な時間を使うから、一つ一つのコミュニーケーションは大切にしたい。

小さな誤解が積み重なると、大きなズレにつながってゆく。お互いを嫌いになるくらいズレが大きくなる前に、コミュニケーションの軸を確認して、噛み合わせを揃えてみてほしい。

おまけ:自分の「良いなぁ」を集める

「いま自分は良いと感じているけど、これは何軸なんだろう?」

そういう問いに一つ一つ真摯に向き合っていく。そうすることで自分の人生の解像度が上がっていく。

何が楽しくて何が悲しいのか。
何が好きで何が嫌いなのか。
何が心地よくて何が不快なのか。

そこをもう一段深掘れると、さらに解像度が上がります。例えば、

ダイエットしてるから糖質とカロリーが低い方が良い。ダイエットするのはスタイルを良くしたいから。スタイルを良くしたいのは自分に自信が持ちたいから。
お金を節約したいのは無駄なことが嫌いだから。買いたいものがあるから。無駄なことを把握するには家計簿つけよう。買いたいものための貯金をしよう。

目標の再確認できたり、無意識に大切にしていることを自覚できたり。

ふと思った感情に深掘りしていくと、実は前々からやりたかったことにつながっていることがあります。そういったメタ認知の視点を持てると、ありふれた日常がとてもおもしろくなります。

個人的には、自分に起きるすべてのことは、それに対する自分の感情や考え方を捉えることで、自己理解と自己実現の一助にできると考えています。

「noteを書いていてすごいね」と言われることが増えてきたのですが、自分では全然すごいと思っておらず。

書くことを通して、いろんな気づきや発見があるので、ただ楽しくてやっているだけで。

このnoteもカフェで寝て起きてから序文を書いて。「光と闇って、明るさの軸の上にあるよな。良い悪いも一緒だと思うんだよなぁ」と思って書き進めました。

日々何気なく過ごしている日常の中に、驚くほど多くの気づきや発見のきっかけがあるなぁとしみじみと思います。

それらを見逃さず捉えたい。
そんな気持ちの夜。

cotree advent note 4日目の記事。

TOP画像は、カフェのテーブルに日が差す様子。誰も座っていない席に少しだけ寂しさを残して。

***(みなさんからの感想)


最後まで読んでいただきありがとうございます。