ぼくは自分を大切にできなかった。だから本気でプロダクトをつくっている。
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ぼくは自分を大切にできなかった。だから本気でプロダクトをつくっている。

自分というものに対する感覚が薄い。

一度死んだような経験をして、いまの人生を拾ったものだと思っているからなのか、人生への執着がとんとない。

生きることと死ぬことは隣り合わせで、毎朝起きることは確実に死に近づくことでもあり、生きていくことは死んでいくことだという感覚が、強くある。

だからといって毎日を雑に扱うわけではなく、むしろ丁寧に生きたいと思っている。


自分というものを知りたかった

基本的にずっと自分に自信がなかった。

自分を大した存在だと思ってなかったから、努力であらゆるものをカバーしていた。人の数倍行動して勝ち負けに誰よりもこだわっていた。そうしないと自分を保つことができなかったから。

何かが上手くなって誰かに勝てるようになった先にあったものは、他人からの称賛と承認だった。ある軸の上で比較され優劣をつけられて、常に「優」でいられる自分に自信のようなものを持っていた。

ただ時が流れ、社会の複雑な構造の中での戦いを続けるうちに、人の気持ちと期待は移り変わりやすいもので、不変ではないということをよく思い知った。

周りの期待は拡張を続けて、応えるための努力は常に期待の数倍の大きさだった。人ひとりができることは多くはないので、体力的にも精神的にもすぐにいっぱいいっぱいになった。

そのうちに応えきれなくなってパンクして自分というものを失ってしまった。気持ちと想いをなくしてみて、初めてそれらが自分を構成する大切なものだと知った。

と同時に、移ろいやすい感情の上に成り立つ自分というものは、確実に不確実だということを痛感した。


自信を持って差し出せる何かが欲しかった

「どうしてこんなにプロダクト志向が強いのか」

「個人でもプロダクトを作っていきたい」という話をしているときに、その問いに出会った。答えを探してみたけど、なかなか見つからなかった。

自分に紐付きすぎない健全な議論がしたい
困ったときにおすすめできるモノがほしい
後に残るものをつくりたい

いろいろな理由を挙げることができるけど、根本的には自分が大したことない存在であり吹いては消えてしまう儚げなものと捉えているからかもしれない。

そんな自分でも守りたい人がいて支えたい人がいて、彼ら彼女らが困ったときに自分が自信を持って差し出せる何かが欲しいと思っていた。


自分は、無限の内と外の間に佇む回転扉

「禅マインド ビギナーズ・マインド」という本がある。休職中に訪れたオーストラリアで読んだその本の中のフレーズでよく覚えているものがある。

「今、この瞬間に生きるべきなのです。ただ、座って、息に集中する。そのとき、私たちは回転扉になります。私たちはすべきことをする。」

「回転扉」という表現が、特におもしろかった。人の精神性は非常に奥深く、肉体の奥には星の数ほどの細胞があり、自分の外には大きすぎる世界と宇宙が広がっている。

自分というものは、その間に佇む回転扉のようなものなのだろう。仮に自分の人生が100年だとしても、人生という広大なフィールドのほんの一部しか知ることができないのだろう。お金も地位も名誉も死んだ先には持ち帰ることができず、目には見えない魂のようなものだけがこの世とあの世を渡るのだろう。

そんなことをぐるぐる考えているうちに、「生きているうちにこの世に何かを残したい」と思うようになった。


だから本気でプロダクトをつくっている

cotreeの前に働いていた会社やその周辺は、タフでパワフルな人が多く、いつ限界を迎えて調子を崩してもおかしくない環境だった。限界を知らずに突き進む人たちに過去の自分を重ねてみたとき、彼ら彼女らが本当に困難な状況になったとき、自分として何かできることが欲しかった、差し出せる何かが欲しかった。

そしてつい最近、その感覚を思い出すことがあった。コーチングのサービスを知り合いに紹介して使ってもらっているときだ。

「手前味噌だけど、ほんと良いサービスだからよかったら使ってみて。」

嫌味なく嘘もなく心から、その言葉を口に出せる自分がいた。


うれしかった。


自分たちがつくっているサービスを仲のいい大切な人たちに心から薦めることができることは、本当にうれしかった。



だから本気でプロダクトをつくっている。



いまのプロダクトの改善点は死ぬほど見えていて、これから先つくりたいものにもまだまだ届かなくてフラストレーションが溜まることもある。

ただそれでも丁寧にかつ大胆に良いものを作っていきたいと思い続けられているのは、本気でプロダクトをつくりたいと思っているからだと思う。


二つの間に確かにいる自分

自分の思考は、理想と現実の間でよく揺れている。それは自分と内と外とで揺れる自分自身の存在と重なる。

二つの間の行き来を繰り返していると、自分がどこにいるかがわからなくなりがちだ。引き返せない道のりに怖さを感じたり向かう道の不確実性の高さに不安になったりもする。

そういうときには、今ここに立ち戻るしかないのだと、何度も思う。

怖さも不安も確かに感じている自分がいまここにいること。そこからしか始められない。

不確実の中でも確かなものを探していくこと。いまがどれだけ苦しくてもいまの自分を見つめること。未来に希望の光を見いださなければ、人は前に進めない。


プロダクトのその先を見据える

プロダクトを通して見える世界や社会は、本当に多様だ。色々な困りごとや色々な救いが、世界には確かにある。自分だけでは救えない人が、たくさんいることがよくわかる。自分たちだけでは支えきれない人が、本当にたくさんいることを痛感する。

cotreeというプロダクトを通して、現実や課題を解像度高く見つめることができていることは、とても貴重なことだ。

一人が救える人数は数十人かもしれない。けれどプロダクトが救える人数は数十万人、数百万人はいるだろう。また自分たちだけではたどり着けないかもしれない。けれど同じような志のプロダクトが増えれば増えた分、救える人は増える。

ぼくらはプロダクトをつくることを通して、プロダクトが広がった先の社会や価値観をつくっているのだと、強く実感する。


覚悟はいいか?オレはできてる

売り上げを増やすだけなら、おそらく簡単なのだと思う。より合理的な意思決定の元、手段を選ばずにさまざまなことをすれば、きっと売り上げは上がるだろう。ただその売上偏重の思想の先にあるのは、誰も幸せにならない未来だと直感的に理解している。

プロダクトを広げるために、より多くの人に届けるためには、売り上げは必要だ。ただ同時に中で働く人の健全性もサービスのポリシーも守りたいと、強く思う。

両立しなきゃいけない。
けど、それでいい。
覚悟はできてる。

健全なグロースサイクルを回していきたいし、この社会にもっとそうしたグロースサイクルが増えていけばいいと願う。


受け継いだものを先に進める

ぼくはcotreeに出会って、たくさん救われてたくさん支えてもらってきた。

それがいまはcotreeをつくる側に回っていることが、不思議でしかたない。

いまでもふとcotreeを俯瞰してみると、本当に不思議なチームだと感じる。

ただその不思議さは決して偶然に生まれたものではなく、今まで関わってくれた人たち、いま関わっている人たちの努力と工夫の賜物である。

いままでつないできたバトンが、確かにある。

そのバトンを確かに受け取って、確実に前に進めていきたい。そしてそれを次の誰かに渡していきたい。以前よりは広がっているけれど、もう少し丁寧に、もう少し広く、cotreeの輪を広げていきたい。


過去の自分に届けたいプロダクト

いま作っているものは、過去の自分に届けたかったプロダクトなのかもしれない。

自分をたくさん傷つけてしまった。だれかに助けを求めることもできなかった。立ち止まることを許してあげることができなかった。あらゆるものの間に挟まれて自分を見失ってしまった。


困難を抱えたときに寄り添ってくれるプロダクトがあったらよかった。
困難を抱える前に自分を大切にしてあげる時間があったらよかった。


ぼくは自分を大切にできなかった。
だから本気でプロダクトをつくっている。


あとがき

最近はとても楽しい。今までの人生を振り返ってみても、きっといまが一番充実している。もちろん大変なことや困難なこともたくさんあるのだけど、自ら選んで進めている感覚がある。

ただ実は充実感と同じくらい、迷いもある。

この道で本当にいいのか?
自分の選択は良かったのか?
やりたいことをできているか?

この問いの答えはその時々によって変わるものだけど、大切なことは自分自身に問い続けることであり、問われるような環境に身を置き続けることだと思う。

人生は常に自分に問いかけてくる。

「きみは、真摯に人生を生きているかい?」

その問いに胸を張って元気な声で答えられるようにしたい。

「もちろん!最高に楽しいよ!」

そう答えるためになるために、ぼくはいま毎日を懸命に生きている。

TOP画像は沖縄の竹富島。波のない海が美しかった。




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ひらやま | cotree

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明日もいい日になりますように。
株式会社cotree/人の心と物語を支えるサービス作りと持続的なプロダクトグロースをしたい/オンラインカウンセリング・コーチング事業/カフェラテがすきなアドレスホッパー/丸二年半でnote400本執筆なう