「現実世界と精神世界の「結び目」としての絵(その3)」
「現実世界と精神世界の「結び目」としての絵(その2)」の続編です。
ここで早速だけども、村上春樹インタビュー集(1997−2011)『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』から別の表現からも引用してみよう。
まず、上記から何に着目したいかというと、最後の部分である:
・物語を頭の中で作るようなことはしない
・最初からプロットを組んだりもしないし、描きたくないとこは書かない
・物語は常に自発的でなくてはならない
話が少し逸れるが、現在NHKのオンデマンドで2021年の連続ドラマ小説「カムカム・エブリバディ」の再放送をしている。そこで和菓子屋の娘として生まれてきた主人公安子が、あんこを作る際に小豆に対してこんな台詞を繰り返し呟いている:「おいしゅうなぁれ。おいしゅうなぁれ。」と。
人間が小豆を美味しくするのではなく、小豆の自発性を待っているというふうに感じられる場面。
もう一つ例を挙げると、昨秋大阪で個展をした際に、同じ期間ショップで展示販売をしていた器作家の方と仲良くなった。その方は器を制作する際に、「土に聴くんです、どんな姿・形になりたいか、と。そうすると、土が教えてくれるんです。」と言っていた。
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