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4月の後悔。子どもに自分を「ひとりぼっちだ」と思わせてはならない

4月も終わりの昼過ぎ、自転車で買い物に出た。

もう思い出すことも少ない、息子たち2人が在籍し、合わせて10日も登校しなかった中学校を横目に自転車をこぐ。思い出すことが少ないのは、当時もその前も今も、課題が次から次へと湧き起こって、必死だから。

と、目の前に学校に背を向けて歩く、おそらく新中学生の小柄な男の子。目立って小柄だった息子②のぶかぶかだった制服姿と重なって、ちょっと懐かしい。ん?今お昼だよね、早退したのかな?

そんなことを思いながら追い越した瞬間、その子はくるりと方向転換した。学校へ向かって。

あれあれ??と思って振り返ったら、追い越したところから5歩くらい歩いた位置で、立ち止まって、うつむいている後ろ姿。

あ~あ~あ~と泣きたい気持ちがあふれてくる。

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こんな思いをしている子どもたちが、たくさんたくさんいる。こんなつらさを抱えている子どもたちが全国に少なくとも19万人?おそらく40万人?まだまだいるなんて…

早退するなら体調不良とか用事とかで、自宅へ向かって一目散に歩くはず。方向転換したのは、ほんとうは登校中だったのに、やっぱり行くのはやめようと帰りかけたけど、思い直して向きを変えたから。

立ち止まったのは、あ~やっぱり行きたくないなあ、行ける気がしないなあと思ったから。そして今、猛烈に胸の中が荒れ狂っている。

登校するって言ったのに、行かなかったら先生は僕を弱いと思うんじゃないかな。
このまま帰ったら親が怒るんじゃないかな。
まだ4月なのに。クラスのみんなは来ない僕のことをどう思うかな。
中学は行くって決めたのに、行きたくない僕はどうしようもない奴だ…

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そうじゃないよ、そうじゃないよ、と話しかけたかった。

こんにちは。今学校に行くところかな?帰るところかな?大丈夫?無理をしてないかなと思って。今、あなたが向きを変えるのを見たものだから。学校は苦しいなら休んでいいんだよ。元気な時に行けばいいんだよ。

そんな、話しかけたかったことを頭の中でぐるぐるしながら家に帰った。

いつものようにリビングでゲームをしている息子②に、「今ね、途中で中学生に会ってね…」と話すと、彼は、僕と一緒じゃん!と叫んだ。

そうだね、ほんとにね…おんなじだね…つらかったね…がんばってたよね…あの子もがんばってるね…えらい…

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お財布しか持って行かなくて、名刺も何も持っていなくて、話しかけたら、ただの怪しいひとになりそうで、困らせてしまいそうで話しかけられなかった。

私がやっている不登校やホームスクールの子や親に寄り添う活動(まつど*あそびラボとか【はらっぱとそらプロジェクト】)とかあるよ。他にも学校がつらい時に行けるところ、相談できるところたくさんあるよ。だからひとりで我慢しないで。ひとりぼっちじゃないよ。

と伝えたかった。伝えられなかった後悔しかない。あのあと、あの子はどうにか学校に行ったのだろうか。家に帰れただろうか。

どちらにせよ、胸は荒れ狂って苦しいままだろう。その苦しさをあの子はひとりで抱えているんだろう。自分を責めて余計に苦しくなっているんだろう。

怪しいひとになっても、警戒されても、話かけるべきだったと、話しかけなかったのは怪しいひとに思われたくないという、ただの保身と利己心であったこと、猛烈に後悔している。私は何のために活動などしているんだ?たったひとりの子に話しかけることすらできないで。

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子どもをひとりにさせてはいけない。子どもに自分をひとりぼっちだと思わせてはいけない。これはおとなの義務であるのに。子どもと共に同じ社会を生きているおとなの義務であるのに。

ごめんなさい。


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