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小説#8 さすらい猫の旅-怒ったかたつむり-


ごそごそ・・・

「わぁ!」
「ひよ!」

あじさいから同時に顔をだし、笑い転げた。
なんだ。考えることは一緒か。

満開のあじさいが周りにずっと広がっている場所で、隠れて驚かそうだなんて。
ずっと一緒にいるから性格も似てきたかな?

「あ!これは…かたつむりじゃないか?」

「ひよ?」

あじさいの葉の上にいたのは大きな渦巻きを背負うかたつむり。


「そっか。ひよは分からないかもしれないね。
 これは、かたつむりって言ってね、見てて。」

片目をひょいっと触って見せた。
するとかたつむりの目はひゅんっと縮こまった。

「ひよ!」

ひよも恐る恐る、もう片方の目に触ってみると、
やっぱり同じようにひゅんっと縮こまった。

その様子がおかしくて笑った。

かたつむりは少し怒ったようにこちらを覗き見ていた。

「ごめんごめん。もうしないよ。」

ひよはもう一回したそうにうずうずしていたが、
オレの言葉にうなずいていた。

信用ならなかったのか、かたつむりは殻の中に閉じこもった。


「あーあ。怒っちゃった。」

「ひよひよ」


先ほどのことを思い出し、
またお互いに顔を見合わせてくすくすと笑った。




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