見出し画像

夫を愛するとはどういうことか④

もうすぐ再婚丸4年が経過。私は最初の結婚が1年足らずだったので、我ながら絶賛記録更新中。5年目に突入したら4年目の危機は乗り越えたと言えるのだろうか。「危機」と言っても、文字通りの危機はなく、この半年ほどはどちらかというと私がひとりでイラつくことが増えたような気がした。理由、これはただひとつ。夫の体型である。

なぜ、痩せている人と結婚しなかったのか…なんて、今さら何を言っているんだと自分で自分に突っ込むが、ここ最近、だらしない中年のメタボ腹を見ると夫に限らず、嫌悪感に襲われる。混雑した電車の中でそんな気分になるだけならまだしも、家の中ではもうたまらない。

そういえば、私は元々生理的に太った人は苦手だった。でも、ガッチリ体型は全く問題なし。夫は不思議な体をしており。腹部以外の上半身ガッチリ、足は細いのに、腹部だけがメタボなのだ。

当初、両親が私の再婚にいい顔をしなかったのは口には出さないが、ひとつは間違いなく夫の体型である。言葉の端々に私はそれを感じるたびにいちいち私は自問自答を繰り返していた。

私は、彼の腹部以外のものに惹かれ、再婚を決めたのだ、と。

付き合う男に、知らず知らずのうちに自分の理想像を押し付けるのは私の悪い癖で、4年目の再婚生活はその癖が再発しつつあり、どうにかブレーキをかけていた。

ひょんなことから、前にお世話になった鍼の先生に夫の体を診てもらう機会があった。夫に許可をとり、夫の体について東洋医学的な見立てを教えてもらった。そしたら先生は、納得のいく説明をしてくれた。

それまで、私にとって夫の体は全く理解不能だった。夫の食べる量は私の半分程度なのだ。そして甘いものはあまり食べない。私の方がたくさん食べるし、甘いものも食べるし、どちらかと言えば私の方が不摂生である。

先生の見立てによると、夫はどうやら水分の代謝がうまくいかない体質のようだ。過剰な水分摂取を控えるように言われていた。

逆に私は、水分摂取が非常に不足している体である。健康診断では腎臓で一部石灰化しているとの指摘を受けたことがある。どうしても体が真水を受け付けないときは、経口補水液を飲んでいるほどだ。

体質的には正反対、なのか。鍋蓋に綴じ蓋というのだろうか。あの、陰陽のマークのような、私たち2人がそれぞれ独自の形をしているけれども、まあまあ、ハマっていい形になっているんじゃないかと。ああ、そういうのって確かにあるな。そうそう、火鍋。そんなとき、夫の腹に感じていた苛立ちは少しおさまった。なんだ、私たちけっこういいパートナーなのかもしれない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?