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カヤックLivingの組織論|Vol.4 カヤックは「面白法人」。カヤックLivingが「○○法人」を名乗るなら?

カヤックLivingの親会社の株式会社カヤックは「面白法人」と名乗っています。法人もいち人格として捉えたら、どんな人でありたいか?「面白い人」でありたい、と思い20年前の創業時から継続している呼称だとか。

今回は「もしカヤックLivingが「○○法人」と名乗るとしたら?」をテーマにカヤックLivingのメンバーみんなでブレストしてみることに。

参加者:
代表 松原佳代、マーケティング 名取良樹、ディレクター 中村圭二郎、軍司奈水、エディター 増村江利子

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松原
キャッチコピー、ビジョンみたいなもので、企業として何を重要視するか、何を信念とするかを決める過程で「自分たちは○○法人か?」を考えるのはいいかなと。いまのところ名乗るつもりはありませんが、みんなで考えてみたいです。ブレストだから決める必要はなく、とにかくアイデアを出しましょう。

中村
イギリスの百貨店「ジョン・ルイス」では、擬人化したジョンという社長を置いていて、会議で「それ、ジョンはやらないでしょ」って話をするみたいですね。

軍司
やっぱり暮らしを愛する人じゃないですかね。

増村
どこまでの範囲を「暮らし」と捉えていますか?

軍司
私が考えているのは、仕事も含めた暮らし。

松原
落合陽一さんが提唱している「ワークアズライフ」が近いですね。
自立して、暮らしをつくっている人。

軍司
カヤックの理念は「つくる人を増やす」。カヤックLivingの理念は「暮らしをつくろう」だ。

増村
ちなみに私は、「ワークライフバランス」ではなくて、「ライフワーク」を見つけたいと思っているんです。

もうひとつは、「傍観者」ではなくて「発信者」になろうと思ってメディアに関わってきたんですが、半歩先、一歩先の何かをつくっている人を取材しているうちに、「発信者」ではなく「実践者」になりたくなって。傍観者じゃなくて発信者になりたいと思ったのは、みんな同じであることをよしとする文化というか、何も考えなくても生きていけるような風潮から抜けたかったんですね。自分なりの考えを持って、伝える人になりたかった。

名取
傍観者→発信者→実践者って、どんどん実感を求めている感じがありますね。社会的に自分が貢献できているかを実感できるいるかというか。どこで自分が機能していることを実感できるかは、人それぞれだけど。

増村
いま「20億人の未来銀行」(合田真著)を読んでいるんですが、世の中は「現実」と「ものがたり」でできている。それから、資本主義経済とか都市部の生活は「ものがたり」で、その中に私たちは生きている、と著者は言うんですね。そちらに偏りすぎたから、対局にある「現実」に近い里山に今、回帰していると。

名取
たぶん、生きることに必要不可欠なものと、必要ではないプラスアルファのものって、わかっているはずじゃないですか。さっきの傍観者、発信者、実践者の話って、より生きることにフォーカスして進んでいる気がするんですよ。実際に生きるにはいろんな要素が必要で、食って寝てってだけじゃないところも必要ですよね。でも、さっきの「傍観者→発信者→実践者」のベクトルには、より生きることにフォーカスしたいという背景があるんじゃないかな。

アイデンティティとは何か?

松原
アイデンティティやユニークさが尊重される組織でありたいですね。この記事で、カヤックLivingは大人の組織だ、って西崎さんが言っていたんですが、アイデンティティを尊重する組織にするのは、暮らしをつくる事業をするなら大事な指針じゃないかな。

増村
「地方で起業するにはどうしたらいい?」ってよく聞かれるんですけど、マーケティングとか事業プランがどうこうではなくて、まずはその人の個性、アイデンティティがないとダメだと思うんですよね。

松原
都会で見つからなかったアイデンティティが地域に行けば見つかるわけではありませんからね。アイデンティティを追求していける人、そして自分の暮らしのありかたを追求していける人がいい。増村さんほどストイックにできないかもしれないけど。洗濯機のない暮らしは、私にはできない(笑)。

増村
あ、その話には続きがあって、洗濯機は残念ながら戻しました。無理でした(笑)。でも3ヶ月くらい、手洗いしたんですよ。毎日、1時間はかかりましたね。洗濯機なしでも、なんとかなるなって手応えはあったんです。でも出張があると、夫に手洗いを強要できないから、コインランドリーに持っていくことになったり。家をあけることができない。家族分のシーツとか、大物の洗濯が億劫になるのも正直なところだし、無理はせず、いまは洗濯機に頼ってみようかなって。

名取
僕の友達も、風呂は薪で沸かしてたんですけど、ガス給湯器を入れるらしい(笑)。2人目の子どもが生まれるからって。

松原
そういう柔軟さ、しなやかさはいいですね。

名取

何かを否定して180度違う方向に向かうよりも、自身のアイデンティティ、自分の在りかたを模索し続けるほうが難しいですもんね。

「つくる人を増やす」と提供する姿勢

中村
最近思っているのは、受け手になるとすぐ老けるけど、提供しているといつまでも元気だなって。この間、レイ・オルデンバーグ著「サードプレイス」を読んだんです。サードプレイスは、お店の人とお客さんという関係性じゃなくて、みんなフラットで利用者であるということがいいところで、おじいちゃんが喫茶店に行くとお客さんになっちゃうけど、サードプレイスでは、おじいちゃんがお茶を出したり、おばあちゃんがお菓子をつくってきたり、提供者側になれることが本当の価値だと言っていて。カヤックLivingも、自分の何かを提供したいと思っている人が集まる場になるといいな

松原
やっぱり、「つくる人を増やす」っていいですよね。誰かのために何かを、自分で考えてつくる。悔しいけど、カヤックの「つくる人を増やす」はとてもいいビジョンなんですよ!(笑)。

中村
ずれてないですよね。時代背景としても、提供側に回りたい時代になったんじゃないかと思うんです。デフレが続いて、投資より貯金を選択する人が増えていた。デフレが落ち着いてきたころに東日本大震災が起きたこともあって、提供する側が増えている時代だと思っていて。でも、世界の情勢が不安定になると変わるかもしれないから、今提供側に回りたい人が多いことはあまり僕は信用していない。そんなに、みんなギブ側じゃないと思ってる。

名取
つくる人を増やすって、もう絶対的にいいじゃないですか(笑)。いいんだけど、ちょっと広すぎる。また傍観者、発信者の話に戻って違う話をすると、熱量にグラデーションがあるんだよね。実践者に近くなるほど熱量というか温度感を感じる。そういった温度感が言葉に反映されているといいですね。つくる人を増やす、というのとプラスアルファ。

軍司
そして、やっぱり人と人なんですよねえ。結局のところ、SuMiKaSMOUTも、人と人をどう結びつけるかだし、人がいないと何も始まらないって感じますね。

松原
SMOUTは、「住まう人」だって解釈している人もいますからね。その意味はなかったんですが(笑)。でも、人を動かす力というのは万国共通だと思うんです。

○○法人のバリエーションを考える

松原
ここからは 「○○法人」をいろいろ出してみましょうか。
ここまであがったものだと、ギブ法人、実践法人…

軍司
実践法人だとしたら、めっちゃハードル高い(笑)。

増村
どんな人に地域に来てほしいかって言ったら、種をまける人ですかね。

中村
種まき法人。

松原
花咲か爺さんにしか思えない(笑)。

軍司
花咲か法人。

松原
面白い、花咲か法人。

増村
自立法人。こわいな。

軍司
暮らし法人って言っちゃうと、なんか普通な感じがしますね。

増村
でも普通であること、日常も重要ですよね。

中村
人だまり法人。僕、「人だまり」って言葉、すごい好きなんだよな。

松原
つくっている事業は、最初に旗を立てに行く、選抜隊でありたい。暮らしを考えてもらうための。

軍司
真っ先法人。

中村
僕、「バタフライエフェクト」って言葉も好きなんですよ。蝶がパッと羽ばたくでしょ。その風が回りまわって、ブラジルに行ったら台風になってるとか。最初は小さな力しかないけど、風が起きると、回りまわって、どこかで大きい効果が生まれるっていう素敵な言葉なんだけど。カオス理論とかにもちょっとつながる。

松原
中村さんの知識の引き出しが出てきましたね。

中村
それで、うちの子が最近「ちょうちょ」って覚えたから。

一同
可愛い!

松原
最初の問いに戻って、人格にたとえると、どういう人になりたいか。つくれる人になりたいとか、優しい人になりたいとか。可愛い人になりたいとか、勇気のある人になりたいとか。

中村
愛嬌法人。

増村
私は、既成概念じゃない、自分の価値基準をしっかり持った人になりたいですね。

増村
greenz.jpでSuMiKaと合同の連載記事をつくるときに考えた連載名が「暮らしのものさし」なんですけど、”ものさし”を自分でつくれる人を増やしていこうって考えがあったんですよね。その気持ちはそのあとも変わらず。

中村
ものさし法人。法人メーター。

軍司
自分の好きなものがなんだかわかってる人。

増村
自立した大人のイメージ。

軍司
わかった!大人の面白法人。

一同
(笑)。

松原
大人の面白法人は、面白法人と何が違うんだろう?

増村
話を最初に戻すと、ワークじゃなくてライフってのが鍵になりそうですね。

松原
暮らしも含めて設計できる人。自分の仕事を含めた人生の地図を自分で書ける人かなあ。自分の価値基準、自分の”ものさし”は持っている。でも、その“ものさし”ではかれないものも認められる。そんな大人?

中村
それって、ソクラテスの「無知の知」だと思う。知らないことを自分は知っているっていう。詳しくなればなるほど、わかることはどんどん増えて、どんどん謙遜する。無知の知法人とか。

松原
謙虚さってのは、大人の面白法人には必要ですね。

中村
歳をとればとるほど、謙虚と寛容さって難しくなりますよね。

松原
40歳を過ぎたら、謙虚さが一番大事なんじゃないかと思って。だって正直、20代の人たちすごいですもん。教えてもらいたいことがたくさんある。謙虚さと、そのベースにあるのは柔軟さなのかもしれない。凝り固まらない。

軍司
柔軟性も大人になると失われるのが一般的ですよね。柔軟性が増えていくことを推奨したい。自分のものさしはこれです、って語れば語れるほど、頑固になりますよね。

松原
洗濯機をまた使うくらいの(笑)。

名取
すごい柔軟(笑)。

増村
実験的に、いろいろやってみたらいいと思うんです。暮らしの単位だったら、せいぜい家族に迷惑をかけるくらいだから。

松原
暮らしの実験法人。

軍司
同じカヤックの子会社のプラコレは「冒険法人」と名乗っていますよね。暮らしの冒険法人。暮らしで冒険してますよね、移住者とか。家を建てるのも冒険ですよ。

松原
冒険!でも家は建ったらゴールでもない。暮らしも移住も、一世一代の大冒険みたいに思ってしまるものなんだけど、すべて、トライアルでいいんだよ、ダメだったら引っ越せばいい、戻ればいい。しつこく言いますが、洗濯機を戻すように(笑)。

中村
トライアル法人。内田樹先生、ご存知ですか?内田さんの「無敵」の定義が面白いんですよ。無敵って誰よりも強いんじゃなくて、敵がいないってのが最強なんですって。だから、無敵法人。

増村
個人法人。

中村
対比してる感じでいいですね。個人なのか法人なのか。

増村
自立してないと、っていう。自立法人。

松原
こんなところですかね。名乗りたいものを見つけたら、ぜひ皆さんに使って欲しいですね。ありがとうございました!

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このブレストをきっかけに、カヤックLivimgでは、カヤックLivingの社員の条件とも言えるバリューづくりを実行中です。次回はそれを公開したいと思います。


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