いまの世のなかの表現:総論

昨今、モノ消費からコト消費に大衆行動の中心が移ったと言われる。
その影響か、かねてより人間の興味を引いてやまない、エンターテイメント、芸術作品、コンテンツ…こういったものが隆盛を極めている。
こういった表現作品、娯楽作品は、私達を楽しませてくれることに加え、2つの目指すべきゴールがあり、合計で3つの目的が存在する。


表現作品、娯楽作品の3目的とは、

まず、冒頭でも述べた「消費者を楽しませる」ということ。

次に、「お金を稼ぐ」ということ。

それから、「作者が気持ちよくなる」ということ。

消費者、お金、作者…表現作品は、これら3者にとって、それぞれ異なる意味を持ち、作品の目的としても違うものになることが多い。

つまり、ある作品が存在する時、その目的というのは3つに分類できるということだ。それはーー

●読み手を気持ちよくする、という「純芸術」たる意味・目的
●お金を稼ぐ、という「純商品」たる意味・目的
●作者の気持ちを満足させる、という「自己実現」たる意味・目的

そして、それぞれを達成するためには、明らかに方法が異なるし、場合によっては作品作りの根本思想から相容れない可能性がある。
だから、もし、この3目的それぞれを最大効率で達成しようとした時、その結果としての作品は、内容が異なるものになる。
そしてもちろん、お金を稼ぐためには自己実現を妥協したり、お客を楽しませるためには採算度外視だったりと、3目的それぞれは、それぞれを邪魔し合うことがある。
……もちろん、うまくコントロールすれば、支え合うこともあるが。

ともあれ、一口に「表現」「作品」などと言っても、それは最初の目的から、性質を異にする場合があるということだ。
残念ながら、現代の作品はこのことを失念している場合が往々にしてある。あるいは意図的に、それらを一挙両得しようとして、適切な表現をしきれていない感がある。
もしくは、そのように受け取られても仕方がない発表をおこなっているにもかかわらず、結果として目的がそれとは異なり、批判の的となるような作品もある。
こういった裏切りを防ぎ、さらに自らの表現を適切なものにしていくためには、「純芸術」「純商品」「自己実現」の3軸でもって、あなたのエンターテイメント、芸術作品、コンテンツなどを把握し、きとんとした手法を取るべきである。

……では、3目的それぞれの注意点や適切なやり方とはいったいなんだろうか?
まずは、考えて見てほしい。

※各論に続く
※このテーマに関するご意見・ご感想はなんなりとどうぞ。

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