見出し画像

自己満足は造作に良いものなのか。

 創作はどこまでいっても自己満足でしかないが、それはまた、実現しない理想への抗議でもある。即ち創作とはどういうバランスにせよ、作者の「これができた」という満足感と、「これができない」という不満足感を同時に含んでいる。
 この2つの妥協点、あるいは折衷案を見出すのが、創作のゴールであると言える。これらはただ表現されるのではなく、動いていく。変化していくものなのだ。満足感は日々更新され、不満足感はたまっていく。全ての瞬間によって、総合的な満足度は変わる。それを追いかけて、克明に記録し続けること、そしてその先に折衷案を見出そうとすることが、創作なのである。

 そういったプロセスを内包する時、必然的に作者の人格は分裂している。満足感に喜ぶことと、まだ不満足なことに怒る。そしてだからこそ、創作は誰も予想打にしない方向へと向かう。そしてそれは楽しい。これも、誰にとっても。
 なぜならそれは、創作を調和に向かわせ理解しやすくするものだからだ。
 だから作者は、この妥協案捜しに夢中になる。ならなけれはならない。これが創作の肝だからである。それはどこまでいっても自己満であるが、同時に、まとわりつく不満感を違うもので中和していく過程でもある。 

※このテーマに関する、ご意見・ご感想は

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?