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ステラの事件簿(更新停止中)

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記事一覧

ステラの事件簿10《雨の匂いは 3》

ステラの事件簿10《雨の匂いは 3》

●登場人物
 ・宝城愛未(まなみ)…欧林功学園の人気教師。ある冤罪を着せられる。
 ・大林星(すてら)…学園中等部2年の本作主人公。事件の解明に奔走。
 ・美見田静…学園中等部3年、園芸部。裏庭の花壇について、とある秘密を持っているらしい。
 ・島原太東(たいとう)…学園OBで、学園システムのエンジニア。
 ・中沢慶次(けいじ)…学園用務員。不審な女生徒について星に話す。
 ・向田海(かい)…学園

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ステラの事件簿⑨《雨の匂いは 2》

ステラの事件簿⑨《雨の匂いは 2》

●登場人物
 ・宝城愛未(まなみ)…欧林功学園の人気教師。ある冤罪を着せられる。
 ・島原太東(たいとう)…学園OBで、学園システムのエンジニア。
 ・大林星(すてら)…学園中等部2年の本作主人公。事件の解明に奔走。
 ・中沢慶次(けいじ)…学園用務員。不審な女生徒について星に話す。
 ・向田海(かい)…学園高等部2年で映像研究会会長。星の友人の兄。

●前回までのあらすじ
 地域では有名な中高一

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ステラの事件簿⑧《雨の匂いは 1》

ステラの事件簿⑧《雨の匂いは 1》

●登場人物
 ・宝城愛未(まなみ)…欧林功学園の人気教師。ある冤罪を着せられる。
 ・島原太東(たいとう)…学園OBで、学園システムのエンジニア。
 ・大林星(すてら)…学園中等部2年の本作主人公。事件の解明に奔走。
 ・中沢慶次(けいじ)…学園用務員。不審な女生徒について星に話す。
 ・向田海(かい)…学園高等部2年で映像研究会会長。星の友人の兄。

●前回までのあらすじ
 地域では有名な中高一

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ステラの事件簿⑦《電子証明書、偽りと成る・漆》

ステラの事件簿⑦《電子証明書、偽りと成る・漆》

●登場人物
 ・宝城愛未(まなみ)…欧林功学園の人気教師。ある冤罪を着せられる。
 ・島原太東(たいとう)…学園OBで、学園システムのエンジニア。
 ・大林星(すてら)…学園中等部2年の本作主人公。事件の解明に奔走。
 ・中沢慶次(けいじ)…学園用務員。不審な女生徒について星に話す。
 ・向田海(かい)…学園高等部2年で映像研究会会長。星の友人の兄。

●前回までのあらすじ
 地域では有名な中高一

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ステラの事件簿⑥《電子証明書、偽りと成る・陸》

ステラの事件簿⑥《電子証明書、偽りと成る・陸》

●登場人物
 ・宝城愛未(まなみ)…欧林功学園の人気教師。ある冤罪を着せられる。
 ・島原太東(たいとう)…学園OBで、学園システムのエンジニア。
 ・大林星(すてら)…学園中等部2年の本作主人公。事件の解明に奔走。
 ・中沢慶次(けいじ)…学園用務員。不審な女生徒について星に話す。
 ・向田海(かい)…学園高等部2年で映像研究会会長。星の友人の兄。

●前回までのあらすじ
 地域では有名な中高一

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ステラの事件簿⑤《電子証明書、偽りと成る・伍》

ステラの事件簿⑤《電子証明書、偽りと成る・伍》

 大型のタワーマシンが排気の音をうならせている。部屋の中では他に、似たような形の機械がいくつも、整然と並べられた机の上に鎮座している。それらの机は、日本の学校でよく使われるような馴染みのあるものだ。そのことがかえって、この、「企業のサーバールームのような部屋」を、より異質な空間に見せていた。

 欧林功学園は市では著名な私立学校で、その独特の教育システムや進学率の高さなどから、地域の親たちに人気の

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ステラの事件簿④《電子証明書、偽りと成る・肆》

ステラの事件簿④《電子証明書、偽りと成る・肆》

 子供には子供の、大人には大人の領分がある。それを守っている限り、”世間” は誰にも牙をむくことはない。しかし時折、その領分を守らない人間が出てくる。それが大人であるとき、牙をむくのは周りの大人だ。
 しかしそれが子供だったとき、牙をむくのは大人だけではない。その子の周りの子供達も、”世間” の名をかたり、牙をむく。

「変わったこと? んー、ないねえ……」
 低く唸るような機械の音が身体を揺らす

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ステラの事件簿③《電子証明書、偽りと成る・参》

ステラの事件簿③《電子証明書、偽りと成る・参》

 大人と子供の違いはほとんどない。ただ、年齢を重ねて経験をしているか否か、それだけだ。そしてそのことすら、その経験をきちんと自分の身に刻み込み、上手く扱えていなければ、その大人と子供の違いはないに等しいのである。

「本当に、先生が犯人じゃないんですよね?」
「違うの……! こんなの、これっぽっちも記憶にないし、アリバイ? だってあるもの!」
 テレビ画面に映るある犯行現場の様子に、くぎ付けになっ

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ステラの事件簿②《電子証明書、偽りと成る・弐》

ステラの事件簿②《電子証明書、偽りと成る・弐》

「大人気なさ」という言葉がある。いい年をして、それに不釣り合いな言動をすることだ。
 でも、大人気なさは大人に対してだけの言葉じゃない。子供だって大人げない時がある。それは裏を返せば、子供だって、大人にならなきゃならない時があるということだ。

 欧林功学園に通う男子学生の体操着が、1人の若き女教師によって盗まれた。しかしその教師は学生達に慕われる人気者で、同僚からの評価も高く、人柄もよい――
 

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ステラの事件簿①《電子証明書、偽りと成る・壱》

ステラの事件簿①《電子証明書、偽りと成る・壱》

 大人の方が子供より偉い。けれどそれは、大人が大人である時だけだ。世の中には沢山の種類の人間がいて、大人がいて、子供がいる。だからその中には、「大人でない大人」なんていうのがいることも、全く珍しくない。

 欧林功学園に通う男子学生の体操着が盗まれた事件――その犯人は未だ捕まらず、学園はセキュリティを強化するという形で、関係者からの非難に応えざるを得なかった。学園に通う1人学生、星にとってみても、

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ステラの事件簿⓪《体操着、鳥のように舞う》

ステラの事件簿⓪《体操着、鳥のように舞う》

 大人の方が子供より偉いなんていうのは当たり前の話だが、時として子供の方が大人を従わせることができることがある。それは第一に大人に余裕がある時、そして第二に、大人に余裕がない時だ。

 「だ、誰にも言わないで! 違うの! これはちょっとした手違いで……」
 「わかりました。じゃあ先生、僕のお願いも聞いてもらえますか?」
 「で、できることなら……」
 リビングルーム。ソファに腰かけた男の子は、傍ら

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