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「時空を交錯する想い」 分冊版(4)

旧タイトル「シアン、はじめての古書」(改)
著:カワセミオロロ

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分冊版(4)で最終章になります。
小説の後ろでnoteお題「#はじめてのインターネット」を執筆しています。ーーー

僕は手帖をポッケにしまい、リーリアブックで借りた「ボリア」を読み進めていくことにした。そんなに時間は過ぎていない。まだまだ、ここで過ごせる。

読み進めていくと、この本は先人たちの作り上げた時空体験ブックということがわかった。歴史を後世に伝えるために、残したそうだ。さっきまで、読めなかった文字が読めるようになるのも、時空体験なのか。

時空体験ブックで、当時の風景を楽しむことができる。
ちなみに、この本は弥生という時代を「再現」しているようだ。

読んでいるうちに、誰かが借りた時に挟んだままにした栞がでてきた。
無色透明だけれど、縁が鮮やかで綺麗。カメラのフレームのように、草原を栞から覗いてみる。
それから、眩しい太陽を覗いてみる。

とても綺麗で、それから青い空を眺めたり楽しんでいる僕がいる。一頻りこの目に色を焼き付けた。
それから本に戻そうとした時、無色透明だった栞の中央に文字が浮かび上がっていることに気づく。

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いくつもの時空が存在していることを知ったことで

はるか遠い過去に領土の争いをしたように

争いが起きた

代償として

我々は切り離されることになった

このタイムトラベラーブックをヒントに

戻ってきてくれないか

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命をかけて、この本を届けてくれてであろうボリアに感謝する

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僕は、知ってしまった。頭の中がザワザワとする。オールディアやリーリアブックのこと。僕がなぜ、この街に違和感を感じるのか。いろんなことが、ほんの少し繋がってしまった。気のせいには、できない。もしかしたら違うかもしれない。だけど「本当かもしれない」という感情が上回る。

僕は、これからどうしたらいいの。こんなことを知ってしまって、どう過ごせばいいのか。わからない。これまでの、ドキドキやワクワクは消え失せて不安で仕方がない。

そんな僕に追い打ちをかけるように、また音が聞こえた。だいぶ近くにいる。

「ガサ。ガサ。」

何かが歩く音だ。

僕は、このまま座り込んでじっとしているほうが怖かった。
立ち上がり、岩にのぼり周りを見渡す。視力は良いほうではないけど、眉を歪めて目のピントを合わして眺める。

ほんの少し離れたところに、ボサボサ頭の人が歩いている。白髪だらけの、男だろうか。
僕が見渡しているのに気づいて、こっちを見てきた。

気づいてから男は、僕に向かって歩いてくる。
僕は慌てて、岩から降り、来た道めがけて走って逃げることにした。

けれど、ほんの少し走ったところで、足がもつれて転んでしまう。白髪まみれの男の足音がもう、そこまで聞こえる。

恐怖から目をつむって、聞こえないふりと見えないふりをして、うずくまることしかできなかった。

「少年、大丈夫か。」

「足でもひねったか。」

「湿布ぐらいならあったような、少し待ってな。」

男は背負っている大きなリュックを地面に置く。

「足はひねってないです。」「ただもつれただけです。」とは言えないまま、リュックを中を漁る男の背中をじっと見ている僕がいる。

「少年。湿布がなさそうだ。アロエでもいいか。」

「・・・しかし、なぜこんなところにいるんだ。」

そんなことを話しながら男は、ナイフで切ったアロエを片手に振り返る。さっきまで男の背中をじっと見ていた僕と男の目が合った。
男は、目を大きく見開いて僕を見る。驚いた顔をしている。不思議なぐらい僕も男の顔じっとみてる。

「シア、シアンか。」

この声に聞き覚えがあった。

「大きくなったな。」

この人は僕のことを知っている。

「ごめんな。」

なんで謝るのだろう。

「まだ見つからないんだ。」

僕は、遠い昔の記憶を思い出した。

「お父さん。」

僕はお父さんだとわかってから、少しの間、涙が止まらなかった。その間、ずっとお父さんは頭を撫でてくれた。何度も謝りながら。

「すまない。」「ごめんな。」

何回も。

それから、お父さんはとても静かな声で話す。

「でも、シアン。なぜ、ここに・・・」

「リーリアで本を借りて、扉を開けたらここに。」
「なんとなく、選んだ本だったのだけど、こんなことに。」

僕があれこれ説明することもなく、お父さんは本の表紙をみただけで、そのまま僕を背負って扉に向かってへ走りだした。

「待って。お父さん。まだ、もう少しここにいたい。」

せっかく見れた景色なのに、まだ時間はあるのに。反抗しても、お父さんはそのまま走る。

「だめだ。ここは危ない。はやく戻るんだ。」

あっというまに扉の前まできてしまった。僕をそっとふかふかの草の上におろして早口気味で語りかける。

「シアン、ママは元気にしてるか。おじいちゃんは、元気にしているか。」

「元気にしてる。毎年、名前書かずにお祈りしてるよ。お父さんのこと待ってる。おじいちゃんは、少し前に消えた。」

お父さんは、悲しそうにした。おじいちゃんが消えてしまったから。
あの街で悲しむ人なんていなかったのに。

「・・・だから、おじいちゃんの手帖を片手にリーリアブックに来たんだ。一人で。」

お父さんに手帖を見せる。

「おじいちゃんもタイムトラベラーだったの。そして、お父さんも。」

お父さんは何も言わずに、また僕の頭を撫でる。

「シアン。よく聞いてくれ、今日のことは秘密だ。必ず、ママとシアンを迎えにいって、元の時空に帰ろう。」

「もう少しなんだ。残るルートは限られている。だから、待っていてくれないか。」

「それと、リーリアブックで、この本は借りないように。手帖に書いてない本にしなさい。」

僕が一人でこの空間にきてから数十分。僕とお父さんが再会してから数分。それぐらいしか時間が経っていない。
ほんの少しの間の出来事。一度に、いろんなことが目や耳に入る。

「ゴトゴト」「ガガガ・・・」
草むらの向こうにある森からいろんな音が聞こはじめた。うめき声。人の声じゃない。聞いたことのない音。僕は、恐怖を感じる。

「お父さん、ここ危ないんでしょ。一緒に今帰えろうよ。ママ喜ぶから。ずっと、待っている。時々悲しそうな顔してる。」

そう、僕が話すと、また悲しそうな顔をした。

「時間が限られているんだ。すまない。シアンは、ここから離れなさい。」

「待って、お父さん。待って。」

扉を開け、真っ暗な空間に無理やり僕を押し込む。僕はお父さんの腕を精一杯引っ張る。どんなに引っ張っても、動かない。

「シアン。このまま階段を下り、本を返して家に帰るんだ。」

そのまま、お父さんは僕を勢いよく突き放し、扉を閉めた。
僕は真っ暗闇の中、何度もドアを叩く。暗闇の中、手探りで見つけたドアノブを引っ張っても、押しても、動かない。鍵のかける場所なんてない扉なのに。

そんなことをしている間に、ライトが点灯する。階段を照らしている。

「もう少し間、ママを頼む。」

「片時も忘れたことはない。」

「愛してる。」

僕は、すぐに声が出なかった。言葉が出なかった。涙だけが溢れる。

「お父さん。ママも僕も愛してる。ママを守るよ。」

「ありがとう。必ず・・・必ず、迎えにいく。その日まで、待っていてくれ。さぁ、帰るんだ。シアン。」

まさかの空間で、偶然再会した僕とお父さん。ほんの十数分だろうか。とても短い再会。短くても濃い。

扉の向こうで、お父さんも泣いていたのかな。どうだろう。僕を突き放した時の、瞳からこぼれそうな涙をこらえている顔を忘れることはない。どんな気持ちだったのか、伝わる。

僕が急ぎ足で階段を下る頃、お父さんはきっと、また別の時空へ。ルートを探しに。

この日、僕はお父さんが迎えにくるまで、ママを守る約束をした。

「まだ見ぬ未来。今の僕に、できることは何だ。」

謎が多いこの街で、息苦しくて身動きが取れない時空。僕には何ができる。

リーリアブックからオールディアまでのモノレールでは、今日の出来事を振り返った。それから、ママになんて話そうかも考えた。

最寄り駅に着く頃には、すでに門限は過ぎていた。本日何度目だ。僕はまた家まで走る。なぜ、こんなに時間が過ぎているのだろう。疑問は残ったままだけど、ひたすら走った。

「ただいま。」

「おかえり、シアン。」

そこから、1時間はこっぴどく叱られた。まだお父さんのこと話せてない。とにかく謝った。すごく心配をしたに違いない。こんな街だから、余計に。

ママの怒りもおさまって、遅め夕飯を一緒に食べた。いつもどおりに。

今日の出来事を眠る前に伝えることにした。僕の部屋の右隣がママの部屋だ。この季節は暑くてだいたい扉は開けたまま。軽くノックをして、廊下から話す。


「お父さんから伝言。」

「もう少し待っていて。片時も忘れたことない。愛してる。」

「お父さん、元気だったよ。おやすみ。」


「おやすみ。」
ママはそう一言だけ返事をした。


僕が部屋に帰ったと同時に、扉を閉める音が聞こえた。暑いのに。理由はわかってる。僕も泣きたかったから、ちょうどいいんだ。
あの時とは違う、お父さんが出ていった時とは違う涙だ。

次の日の朝、なにも僕に聞いてこなかったし、僕もそれ以上話さなかった。それで、いいんだ。

こうして、また平凡な日々を過ごす。表向き。

「今、僕のできること。」
お父さんと出会ってから、可能な限り、僕は様々なことを調べた。いろんな可能性を探した。あの日の出来事で、僕は少し変わった。あの日までの僕と、あの日からの僕はもう違う。

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あれから、お父さんはまだ迎えに来ていない。可能性はゼロじゃないのはわかっている。だけど「もしかしたら。」そんなことも想定してしまうようになった僕は「待つ」以外の方法を考えた。

考えた結果、合法的にオールディアの秘密をより知るため、国家機関管轄の公務員育成するためだけに作られた大学へ進学を決めた。

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そうして僕は、今年の春、大学生になった。

「旅は続いている。あの日からずっと。」

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現タイトル「時空を交錯する想い」作成者:konekoさん
URL:https://note.mu/morinokoneko
タイトル決めに困っている時、助けてもらいました。ありがとうございます。konekoさんは、旅日記、写真やイラストを投稿していらっしゃいます。人生観も素敵。ぜひ、konekoさんのnoteもチェック♪

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※本編内容を一部、編集しています。

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カワセミオロロ (@kawasemiororo
blog:「#だけじゃないプロジェクト」に向けて
Twitter:https://twitter.com/kawasemiororo(@kawasemiororo)
YouTubeチャンネル・・・編集できてません・・・まさかの・・・
言い訳をすると、お初の編集ツールで困惑・・・
動画アップ次第、お知らせします。
※おそらく編集しやすい荒野行動のシングルマッチのドン勝が自己紹介より先に投稿かも・・・しれないです。
荒野行動でも「カワセミオロロ」としてやってます。一応軍団もあります。チーム宣言はダイレクトに【悪質ユーザーNG】悪質ユーザーじゃなかったらだれでもOK。強い弱い関係なしです。※チーム名はとろろこんぶ

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下記より、noteお題「#はじめてのインターネット」記事になります。
※実体験になるので小説ではなく、エッセイになります。

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カワセミオロロとして活動し始めて半年でしょうか。このアカウントはまだまだ赤ん坊です。
とはいえ、本体はそこそこ歳。平成一桁生まれの大人。

今回「#はじめてのインターネット」を執筆したいのですが、システムエンジニアをしていた父のおかげで幼い時からパソコンやトランシーバーで遊んでいたそうで。「はじめて」がいつかと問われたら「ものごころついた時すでに」が回答になります。

「出会った時」の心境については書きようがないのですが、平成のインターネットの移り変わり含めて、インターネットに関して感じてることを記事にしました。では、本題へ。

カワセミオロロの本体が生まれてから、歩くようになり、喋るようにもなり。4~5歳ぐらいから記憶があるので、そこからお話します。


今となってはあまり見ることのなくなったブラウン管の大きなデスクトップと、マウスパットなしでは使い心地が悪すぎるアナログタイプのマウス。

インターネット激動の時代の始まりと終わりを見ても、パソコンの周辺機器も大きく変わりました。こんなにも世界が便利になり、平成以前の時代にはきっと戻ることは無いでしょう。

幼き頃のひとり遊びの一つはパソコンゲーム。魔法のお城を探検するミニゲーム形式のソフトがすきできた。ミニゲームが豊富で飽きずに成長してもたまにゲーミングしてたのが懐かしいです。

友達と遊ぶ時は、トランシーバーでリアル「もしもしごっこ」をしたり。

とはいえ、電子機器が揃っていても、裕福な家庭ではなく。廃品や機材がおもちゃ代わり。そんな幼少期。当時は電子機器への抵抗を持つご家庭が多かったようで、ちょっぴり変わった育ちになります。

余談としては・・・。おかげで、ローマ字の習得は早かったかな。

高校から大学生ぐらいの年頃でインターネットは大きく変わったと思います。それまで主流だったガラケーからスマホに移り変わり。

通信速度の向上で、画像データの読み込みは快適に。

今では写真なんてサクサク送れるけれど、ひと昔前、数年前はもたもた。パケット問題も深刻でしたね。懐かしい。

そんな懐かしい思い出を踏まえて、語りたい。

良くも悪くも、インターネットは便利になりました。子供の頃すでにスマホ世代や、手にした初めての携帯がすでにスマホ世代よりも、おばさんのカワセミオロロです。

少し前までは、調べても出てくる内容にフィルターかかってなかったり。悪質だったり。調べても、いまいちヒットしない。「ネットにある情報なんて限られているから、そこに信憑性を求めるのは異質。」そんな時代が、こんなに豊かになるまでの間にありました。

時代が変わった要因のひとつはSNSの普及ではないでしょうか。
限られている状態から、あるいは一部の人が使うものから多様化し、今では「ネットには情報が溢れかえっている」状態に。だれでも主役の時代の幕開けです。そんな時代を強く生きる為には。

情報を疑う・情報を鵜呑みにしない+情報リテラシー・・・情報に強い

情報リテラシー、大人も子供も学ぶ機会があったほうがいいかもしれません。どんなに便利になっても、豊かな時代と言われても「自分の身は自分で守る。」こればかりは、変わらない教えの一つになるかと思います。

はじめてインターネットと出会ってから、今日に至るまで。カワセミオロロが感じたこと。そして、最後にはこれから重要になってくることをまとめさせてもらいました。「情報に強く」これは、ここ数年わりと話題なフレーズでご存じの方も多いかと思います。
いろいろ・・・ありますが・・・。楽しく・有効にインターネットをこれからも使っていきたいですね。

以上で「#はじめてのインターネット」は完結です。

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blogの方で情報の質と量についての記事があります。
よろしければ、遊びにきてください。
タイトル:【発信時代でますます溢れ続ける情報】自分で選択し選び続ける必要がある【情報の質と量の話】
https://www.kawasemiororo.work/entry/2019/06/18/184847

※情報リテラシーの記事に需要がありそうだったら・・・まとめます。
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では、最後まで閲覧ありがとうございました。
カワセミオロロ (@kawasemiororo


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