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銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE

2016年から活動しているセルパブSF雑誌『銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE』のnote版です。
明るく楽しく激しい、セルフパブリッシング・エンターテインメント・SFマガジン。気鋭の作家が集まって… もっと詳しく
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2021年4月の記事一覧

クローン04 第2話

  二 笑ってる  激しい銃撃戦が続いていた。  深夜に始まった衝突は、拡大の一途をたどった。  手負いのクァンが、脱出かなわずつかまった。尋問により謀略を知った相手組織が、ここでジンロン会をつぶすべきという判断になった。戦場はホテル前から場所を移し、ジンロン会が本拠を構える繁華街に至っていた。  ジンロン会、劣勢である。  本拠地建物の窓ガラスは割れ、壁には多くの弾痕が刻まれている。街路のホロディスプレイは投影装置がこわれたか、おかしな明滅をくり返している。  本拠地一階

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 20

20 公衆トイレの鏡に映った私は、イチゴの水鉄砲の塗料で髪までが水色に染まっていた。なにかを思い出しかけるけれど、思考が言葉にできない。 「脳の混乱で真理を悟ったように思えることがあるらしいです。ドラッグの服用などで」 「きずなちゃん、麻薬とかした?」 「してねーよ」  私は洗面所で雑に頭を洗う。体はへとへとだけど、なぜだか気分はよかった。  *  安西くくるのライブ映像はどこにも出回らなかった。いくつかの、写りの悪いスマホ動画がインターネット上にアップロードされたが、そ

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 19

19 どこまでも、暗闇だった。  ここはハニカムユニバースの壁内とかいうところなのだろうか。五感の全てが失われてしまい、私はもがく。体が動いているのかどうかわからない。どちらが上でどちらか下なのかも。  イチゴのことを考える。振り向いて私を見たときの、切なげな視線。胸の奥にささやかな疼きを感じる。大丈夫、私はまだ消えていない。心はここに存在している。 「キズナニ……?」  なにかが私の中に入ってくる。やわらかくてあたたかい命。それは私の中でくつろぎ、本来の姿に戻る。 「あっ