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遠く離れた両親と、リモートで会ってみたら…

 リモートで会うのが珍しくなくなったけど、仕事もしていない私はあまり機会なく、試してみたくて仕方ない。
 夫が出張の時はスカイプで話す。顔を見るのは近くにいるみたいで嬉しいし、安心する。両親とは10年ほど前にスカイプを楽しんだけど、お互いの接続状態が良くなくて諦めてしまっていた。

 親しい友人とzoomをしてみようと互いに連絡を取っているけど、最初に試したのは、noterさんだった。「どさくさまぎれに、流行りに乗ってやってみる?」ってすごく軽く、本気かどうかわからない感じで声かけてくれたので、私はそれに積極的に乗っかった。
 すごく楽しかったけど、せっかくだからもっと楽しみたいなと思って、遠くに住む両親に声をかけてみた。
 父のデスクトップパソコンと、母のi-padだ。

 機械関係にそれほど強くない父と、本格的に弱い母。

 心配したけど、何とかなりそうかなと思う日々が過ぎていく。

 そしてようやく先日! みんなで試してみようと待ち合わせてみる。

 だけど。
 なかなかうまくつながらなくて、父の声だけ聞こえるけど映像が映らず、母の映像だけ見えるのに声が聞こえない父のパソコンの方から母の困惑した声が聞こえる。電話で説明しようとしても、「言わんとしているのは、わかってはいる」といった風。こちらもあまり横からあーだこーだ言ってイライラさせたくないし、少しは口出しするけど、呑気に待ってみようとする。

 呑気に。と思うのだけど、息子の顔もしばらく見せていないので、どうしてもはやる気持ちが顔を出してくる。気持ちをなんとか抑えながら二人がうまくいくのを待つ。
 時々父と声を交わしたり。母の映像が消えたり。また母が戻ってきたり。父の回線が切れたり。父の声だけがまた戻ってきたり。母の声が聞こえなかったり。

 そうして、約束した20分後くらいに、父と母が画面に映り、声が聞こえるように!

 息子も私の使っているパソコンをのぞきこんで、とうとう4人が画面に並んだ!(※夫はビールを呑み、ご機嫌で就寝中)

 2018年の春に会った以来、顔を合わす。
 昨年からは、息子の塾代の高さに、札幌にも宝塚にも行けないでいる。
 動画や写真もほとんど送りあっていない。

 80歳の父と、77歳になる母が、何とか頑張って時代の流れに乗って、リモートで顔を合わせてくれたのだ。
 胸がいっぱいになって嬉しかった。
 二人とも元気そう。

 でも何だか母の笑顔がおかしいな。老けちゃったのかな。
 遠慮して言い出せず、祖母に似てきたと指摘したら「ああ。歯がね。下の歯を着けてないから!」と笑いだした。笑ってはいるけど、もう面倒なのか決して着けない。
 すると父が携帯でエルトンジョンの「Your Song」を流し、歌い出した。カラオケ大好きなのだ。
 息子がTシャツを足に穿き、ズボンを頭からかぶるという下らないボケを横でやって見せている。母が上の前歯だけで笑う。父が歌う。

 画面がカオス。

 私が笑い転げていると、そんな私を見て母がますます笑う。上の前歯だけが前に出る。父がサビの部分になり大声で盛り上がっている。

 助けて! みんな自由過ぎる!! 

 しばらく笑い転げた後に、私もエルトンジョンの「Goodbye Yellow Brick Road」を歌わされ。でも夫は別の部屋で寝ているし、夜だから近所が気になって6割くらいしか声を出せなくて。にしてはまあまあの声を出して歌って。途中で我に返りそうなのを頑張る。いや何で頑張って歌ってるんだ。


 なんか思ってたんとちがう。けど、楽しい!


 そうやって初めての親子リモートを終えた。
 
 母は「会えたみたいで嬉しい」と喜んでくれた。父は「もっと上手く歌えるはずなのに」と自分の力を出し切っていないと主張。また歌バトルを挑んでくるかもしれない。私は遠慮するわよ。

 またリモートやろうねと手を振って私たちは別れた。
 次も楽しみだ。


#エッセイ #リモート #ZOOM #楽しい #親子 #離れた親子 #自由


読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。