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好きだという気持ちは、批評や批判を超越しちゃう

 いやあ、「ボヘミアンラプソディ」ゴールデングローブ賞作品賞(映画ドラマ部門)獲得。ラミ・マレックも主演男優賞獲得で、感動的なスピーチでした。嬉しいニュースで。何度も観に行く度に「ボヘミアンラプソディ」の感想をアホみたいにしつこく(本人としては熱く)書いていた私としては、嬉しくて仕方ない。まだ観に行っても良いと本気で思っている。そしたらきっとまた書く。基本、映画館で観るのは一度で良いと常々思っている私が! いやあ嬉しい。いやあ……。

……嬉しい!!

 ゴールデングローブ賞は、芸術性を重視するアカデミー賞と違って、大衆的だ。審査員も外国人記者映画協会の会員たちだし、エンターテインメント重視とのこと。


 クイーンは、元々批評家たちにこき下ろされていたバンドである。人気に火がついたのも日本人からである。映画のタイトルになっている曲、「ボヘミアンラプソディ」自体、批評家たちがこぞってこき下ろしたそうだけど、結局、大人気になった。そして何よりも当人たちが気に入っていたことが素晴らしい。それはとっても幸せなことではないだろうか。
 まるで、過去のクイーンのバンドへの批評と、その後の人気に沿うかのように、今回の映画も同じような現象に陥った。それでノミネートされ、賞まで獲っちゃった。

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 「この人好きなの!」「この作品好きだなー」などという言葉と出会うことがある。俳優やミュージシャン、有名人や著名人たち。人じゃなくても音楽そのものや本や漫画や映画などの作品。お笑いでもそうですね。その対象が自分にとって知らない人でも、その人の愛情とか一生懸命さとか伝わってきて、そういう「好き」という話を聞いているだけで良い気分になる。そして時々だけどそれに伴う、他からの批判や批評を気にした言葉が続くことがある。「こういう批判もあるけど」。

 わかるなあ。
 私もあるもんなあ。もしかしたらそんなことだらけかも。例えば映画だと、『マイガール』がとても好きだ。世間的にも多分、大して評価もされていないし、大作でもないこの映画を、何と言われようと私は好きなのだ。
 当然、好きな映画はまだ他にもたくさんある。というか、多くの作品は批判や批評されているわけで、当たり前なのだけど、中でも「評判悪い」という言葉を目にすることがある。『カラーパープル』という映画がありまして。スピルバーグが監督しています。彼の駄作だと言われている映画。これがですね、私、相当好きなんです。この映画、大学の時の大好きな先生に薦められたものである。本当は「紫のふるえ」という本を読みなさいと言われたのだけど、この先生、一回の授業で、かなりの量の本を薦めてくる。英米児童文学が専門だったので、児童文学と言えども、10代の子たちが読むものまで入るので、結構な分厚さで細かい文字の本も少なくなかった。ちなみに、英語で読むことにこだわらない先生だった。それより日本語で良いから読んで、その内容を自分なりの解釈で感想を書く、ということを繰り返させられた。先生ご自身も、私たちに読ませている量が多いことには自覚的で、「読むのが億劫になるようだったら、映画で『カラーパープル』として出ているから、それを観て下さいね」と言っていた。で、すごく気に入ってしまいました。一昔前の、アメリカで生きる黒人女性が、身分としても低いのに、男性にもひどい扱いを受けて暮らしている。でも、ある女性によって自分の魅力に気づかされ、強く生きていけるようになるまでの話です。映画としては駄作だそうで。かなり批判を浴びたそうで。そうなのかもしれません。私はでも好きなんです。 

 文章を書いていても、そんな気持ちになることありませんか?。

 やっぱり自分の文章に関しては、知性的になれない。とても自信がない。載せてからいつも心細い。わかっているんです。心をこめればこめるほど、「受け入れられないかもしれない」という不安が強くなってしまうこと。自分の中で力が入ってしまうほど、逃げ出したくなる。ああもう耐えらえない! かもしれない!! やっぱりダメだ! と思う!! などと弱音を吐くと、私を励ましてくれる友人がいる。
 「書いていて楽しい、自分で読んで面白い、でいいんじゃないかな」
 友人には何度も弱音を吐くので、その度、繰り返し伝えてくれる。甘えるのもいい加減にしなくちゃ、そのうち言ってくれなくなるんじゃないだろうか。

 でも、時々あるんです。私自身が勝手にものすごく満足していることが。で、あんまり「スキ」もらえていないことが。す、少ない……ということを多少気にしつつ、それでもやっぱりこの文章好きだなーと一人でニヤニヤ読み返す。いや、正確には文章ではないですね、この内容が好きっていう。ちゃんと「このこと」について言いたいこと書けたわ、嬉しい!っていう、ものすごい自己満足です。こんなんで良いのかわからないですが。

 この先もきっとあるだろう。そんな予感があります。というかそんな予定です。近々です。
 さしあたっては、この年末年始で、マーベル作品を家で4つ観まして、それについての感想。みんな、興味ないかもなー。と思いながら、きちんと書きあげて載せるのを楽しみにしています。

 好きな映画も、文章を書くことが好きなのも、好きなミュージシャンのことも、評論や批評を、自分が好きだと思う気持ちが超えてしまう。批評している人がどんなに立派な優れた人でも、どんなに他の部分では賛同できる人でも、自分の好きな気持ちの方が勝っちゃう。それがその人の見方なんだ。そう言われているのか。そうか、そこでは受け入れられていないかもしれないのか。少し残念だな。と、そうやって評判を知っていても、それを受け入れつつ、だけど、まあいいや好きなんだから。と結局、批評とか批判とか差し置いて好きなのはやめられない。


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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。