「ドクターストレンジ」を観て、傲慢さと臆病さの裏にあるものに、思いを馳せる

 マーベル作品の一つ「ドクターストレンジ」を観た。ずっと楽しみにしていた。


 もう何とでも言ってくれ。私はもうマーベル作品製作者側の意のままだ。

 映画見る度に、友人に感想をメールで送っていたら、「マーベル作品の感想をまとめてはいかがか」と書かれてしまった。「マジで」のカッコ付きで。ありがとう! 文章に自信がなかった私だったけど、おかげでnoteを始めるに至りました。

 「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」で、ドクターストレンジは出演していた。彼は魔術が使える特別な存在で、どのような経緯で身につけたのか、是非とも作品を観てみたいと思っていた。「インフィニティ・ウォー」の続き「4」でも、キーになることがあるのではという憶測もあり、期待している。「ドクターストレンジ」自体は、「インフィニティ・ウォー」より前の作品なので、「インフィニティ・ウォー」にどのようにつながるのか、少しわかって面白かった。

 ※ここから先、ネタバレあります。知りたくない人は読まないで下さい。

 ストーリーは、元々が腕の立つ外科医であったところから始まる。外科医とは、かなりの集中力を要するものだろうし、彼は腕の立つ外科医のようなのだが、彼の評判をあげている理由の一つに、彼が失敗を恐れて、成功しそうな手術しか引き受けていないことがある。
 「失敗をしないように」というのは、外科医では前提なのだろうが、成功する手術しか引き受けないというのは、自分の名声の方が患者より大事なのではと受け取られても仕方がない。彼の起こした事故は、彼の自信過剰で尊大なことからであることを物語っている。事故を起こした彼に献身的な彼女クリスティーンも、やけになってしまった彼からのひどい言葉を聞いて、彼の元から去る。

 このクリスティーンが可愛らしかった。彼女も外科医であり救急救命医なのだが、ストレンジが修業を経た後の重傷に驚く。ストレンジの風貌も変化しているし、超常現象が繰り広げられるので、驚くのは当たり前だ。しかし彼女は魔術とは無縁なので、いちいち「わっ!!」とか「ひゃ!!」とかびっくりする。その様子が、魔術の世界と対照的に、フツーで可愛い。
 彼女は、ドクターストレンジが向かわなければいけない事情を察し、彼が活躍することを願い、自分は離れた方が良いと判断する。二人の本当の別れのシーンは切ない。

 もう一つ可愛い存在としては、マント。マントはマントでありながら、心を持っているようで、何がマントの心を捉えたのかわからないが(よく観たらわかるのだろうか)、ドクターストレンジは、マントに気に入られる。マントはストレンジに力を与え、ストレンジと共に戦い、ストレンジを助ける。時にはマントを使って彼の涙まで拭いてあげちゃう。

 そしてストーリーが進むにつれて、最初に強調されていた彼の傲慢な態度や尊大な考えは、少しずつ変わっていく。
 なかなか変わらないのは「人を救うために医者になった」という信念で、魔術が使えるようになってから戦い、敵を倒してしまった時に、罪悪感にかられる。彼は医者として、正義のためであろうが、人を殺めるということを受け入れられずにいた。

 確かに彼は腕の良い外科医のようだが、その評判には「失敗するかもしれない手術は引き受けない」というずるいトリックも秘められている。精一杯、やり抜くということを求められる医者としては、臆病で覚悟が足りず、それを隠して成功だけを「自分の手柄」と言う傲慢さはあった。自分はできると思いたいがための、失敗を恐れる臆病さ。患者に対して無責任。でも、もしかしたら彼は自分の名誉のためだけではなくて、その戦いぶりから見ても、人が自分の手によって亡くなることが怖くて受け入れられなかったのかもしれない。

 つまり彼が「人の命を救うために医者になった」というのは、実は本心からの言葉だったのではと想像した。

 そして変化していく。乗り越えられた葛藤。「失敗を恐れない」ということ。人の命を救いたい、という信念はそのままに。

 終盤でドルマムゥと対決する時に、何度殺されても時間が戻る呪文をかけるのだが、その時に何度も傷めつけられることをいとわない。「何度負けても良い」という言葉が印象的。何度失敗しても、やり直せば良い、心までは折れないという成長が見られた。その成長した様子は、単純でよくある設定だけど、それまでの葛藤しながらの成長過程は丁寧に描かれた。

 彼の成し遂げる心の成長は、修業の積み重ねと、エンシェント・ワンと最後に交わす「傲慢さと恐怖心があなたの可能性を阻んでいる」「自分の心が自分を救える」というような会話から、大きく動いていったのだろうと思われる。

 ちなみに、「ドクターストレンジ」の最後の方のシーンは、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を彷彿させると思ったら、息子を含めた「ジョジョ」ファンから指摘されていることも少なくはないようだ。かなり肩に力が入るシーンであることは間違いない。マーベル作品は、苦手なドキドキハラハラのシーンが多くて疲れる。のに。

 なのに。

 あんなにもう観なくて良いと思っていた「アベンジャーズインフィニティーウォー」を、また観たくなっている。確認作業として。

 色々と他のストーリーを観ていくと、それぞれのヒーローだけでストーリーがあるのに、あれだけのヒーローを集めて、よく話が混乱しなかったと今さらそのすごさを感じた。私のような、「ガーディアンズオブギャラクシー」しか観ていなかったような者でさえ、何となくストーリーを理解できたのだから、「アベンジャーズ インフィニティーウォー」がいかによくできた映画であったかを今さらながら思い知らされる。
 結局、他の作品も観たくなってしまった。

 どうしよう。
 やっぱり全部観ていくことになるのだろうか。


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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。