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理想のヤカンに出会いたい

 ひとつ前のお気に入りだったやかんをダメにしてしまってから、理想のやかんに出会えていない。

 たかがやかんなのに。

 ひらがなで書くとややこしいから、カタカナにする。

 ヤカン。

 ヤカンは、アカンに似ている。でもヤカンはチカンじゃないから、アカンことない! 

 今どき「ケトル」の方がカッコいいけど、そんなオシャレなフォルムではない。私が欲しいのは、「ヤカン」。


 フタは透明でガラスなのが理想だったのに、それを壊してしまった。
 沸騰しているかどうか、音でもわかるけど、そろそろかなあって上からのぞきこめて良い。

 笛吹ケトルは、私は気質的にとても苦手だ。早く止めなくちゃってドキドキする。少しでも離れたところにいると、飛び込むようにして止めないと、ぴーー!!!! の音が恐怖なのだ。だから笛吹じゃなく、ガサガサ音がしてきて、そのうちかすかにスンスンと湧いてくるのを待つ。フタがガラスだとどの程度の沸き具合か非常にわかりやすくて好きだった。

 何故そのヤカンをダメにしたのかと言えば……。その過程と様子は恐ろしいので、内緒とする。(そんなオオゴトではありません)
 とにかくダメにした。

 新しいのを探した。

 フタがガラス。
 

 これがない!!!
 

 「スープも作れますよ」ってナベのようなヤカンを買ってみた。

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 でもこれ、注ぎ口からの蒸気が直接手にかかりやすい上に、フタがずり落ちやすく、すごく困る。コーヒー入れる時に「あっつ!」とか「フタが落ちちゃう!」とか騒ぎながら、夫も「少しずつお湯を入れることができない!」とか不満をもらしながらで、慣れるどころか私たち夫婦には、イライラが積もっていった。
 
 「これ、やっぱりナベとして使うのが良いんだろうね」

 「……。これ、好きじゃないね!」

 口々に文句を言われ、かわいそうに、嫌われちゃったヤカンは隅に追いやられた。夫は、元々好きで使っていた縦長のヤカンのみに頼った。

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 でもこれ、底の面積が小さいから、たくさん入れるとなかなか沸かないのだ。なんならコーヒー注ぐ用の「ケトル」として使っていたし、量も一度に多くは入らない。

 もう我慢ならない。

 注ぎ口が細くてある程度長くて、それなりの量が入る、笛吹かないどこにでも売っている、いわゆる「ヤカン」を買った。
 フタがガラスでないのは仕方ない。

 でもやっぱりせっかちな私は我慢できず、「今どのくらいかな」と、ついついフタをそっと開けてのぞいちゃうのだ。

 理想のヤカンが欲しい! 何で今売ってないのだ!!


#エッセイ #ヤカン #ケトル #フタがガラス #好み #くらし #キッチン

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。