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明日休む人

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「明日は休みたいと思っているのですが」
「またかね」
「身体が休みたいと言ってますので」
「君が言ってるんじゃないか」
「私の意見では言うことを聞いてくれません」
「君の身体じゃないか、君自身じゃないか」
「そうなんですが、休まないと五月蠅いんです。身体が」
「だから、それは君が言っていることでしょ」
「私の意志じゃどうにもなりません」
「で、君の意志はどうなんだ」
「休みたいです」
「それは体じゃなく、君の希望を言っているんだろ。どちらにしても休みたいんだ」
「私は常に休みたいのです。しかし我慢しています。これはコントロールできますから、押し込めます。それに休んでいては務まりませんので、それはできません。仕事をしに来ているのですから。これも私の希望ですが、でも、休みたい。ずっと休みたい」
「じゃ、体が休みたいなどと人ごとのようにさっき言っていたのは嘘か」
「いや、それも本当です。身体が悲鳴を上げだしています」
「そんなきつい仕事じゃないでしょ」
「毎日毎日ここに出てくるだけでも一杯一杯でして。目覚ましで起きるとき、もうどうなってもいいから、このまま寝てしまえと何度も思いました。でも頑張って起きてきます。これだけで、精一杯の努力です」
「休みは週に二日ある。有給も多い。十分休めるはずだが」
「いい待遇だと思います」
「そうだろ。それなのに始終休んでばかり。有給はもう消えただろ」
「はい」
「病気か」
「健康です」
「で、明日休んで何をするのかね」
「休むだけです」
「寝るのかね」
「まずは朝寝を思う存分したいのです。それだけでも十分です。あとは面倒な人達と会わないだけで、随分楽です。すっとします」
「その面倒な人達の中に私も入っているのかね」
「はい、全員です」
「うう、言うねえ」
「休まないと身体に来ます」
「休みたいのは私だよ」
「あ、はい。ご尤も」
 
   了


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