本当に現代人は思考をマスコミにコントロールされているのだろうか?

あなたはお化けを信じますか?
世の中はわけのわからないもので満ちあふれている。お化けや妖怪、怪談話などはそうしたものをいっさいがっさい詰め込んだなんでもボックスと化している。都市伝説なんかもそうだ。
今回は「カテゴリー」がいかに人の思考方法を決めているか、レッテル貼りや思考の硬直化を招く要因を解説する。
マニアや専門家、オタクと呼ばれる人達は、一般人には違いのわからないものについても、はっきりと違いを見分けられる。だからなんでもボックスをあまり必要としない。代わりにもっと細かい分類のカテゴリーを持っている。
小さくて地を這ったり、空を飛ぶような生き物は全部「虫」というカテゴリーに入れる雑な人もいる。逆にある程度詳しい人ならば昆虫と蜘蛛の違いを説明できるし、クワガタとゴキブリの分類が違うのも理解している。
このように人は興味の深さによって分類の箱の数も大きさも使い分けている。実際、箱というのは便利だ。とりあえず考えないでおく保留の箱、嫌だな、避けたいなと思う嫌悪感の箱など分類方法も人によって様々だ。
人間ってそんなに常にフルに、全てのことに頭を使って生きていられるものでもないので、頭の中での情報の分類や仕分けは重要なのだ。
記憶力の良い人はたくさんの小さな箱を、考えるのが億劫な人は少数の大きくて深い箱をそれぞれ使い分けている。
そのような「箱」は実に様々なところからもたらされる。昆虫の分類は図鑑などに書いてあるし、歴史の時代区分などは教科書にも書いてある。感情的な分類、考えたくないことや嫌悪感を感じるカテゴリーはトラウマや嫌な経験、他人から聞いた意見などから作られるだろう。そしてやはり、カテゴリーや分類には流行がある。ニュースやインターネットなどに、今をときめく専門家や知識人、知の巨人達が新たな言葉を流布し、新たな「カテゴリー」を生み出す。
もしもあなたがそうした流行を作り出せる立場ならどうだろう?人々によくよく考えて欲しい問題に関しては小さいが正確なカテゴリー、逆に人々にあまり考えて欲しくない物事に関しては大きく雑多なカテゴリーを作って単純化して流行らせれば良い。そうすれば世間の人の思考の深さをある程度コントロールすることができる。
「中二病」「都市伝説」「陰謀論」なんかのカテゴリーは本当にたくさんの複雑な問題をいっしょくたにして詰め込んでいる。そこに内在する精神的、情緒的な問題と政治的、宗教的な問題がごちゃ混ぜになって嘲りの対象としている。
では、もしもあなたがコントロールされている側の人間で、できれば自分でものを考えたいとすれば道は2つあるだろう。

1つはニュースやインターネットを見ないこと。だけどこれは難しい。あまり世間知らずになっても社会生活をおくりにくくなる。

2つ目はニュースやインターネットも少しは見つつ、自分の考えを持つ方法だ。小さいけれど正確なカテゴリーを自分の中に増やしていくにはたくさんの本を読むしかない。偏食はせず、とりあえずは専門書や図鑑、紀行や旅行紀、政治・経済、歴史など幅広く読んでみることでカテゴリーは形成されやすい。本が書かれた時代なんかも、古代から現代まで文字に書かれた書物は連面と続いているので、本が出版された時代区分についても偏食しない方が良い。

私自身も、完全に自分の考えを持つのは難しいことだが、上記2つの折中案で、少しはマシになっていると思う。

読書の秋とは言うが、読む本に関してちょっと冒険してみるのはどうだろう。通勤の空き時間、休憩などに選ぶ一冊には、国籍、時代、興味の範囲を越えた新しいページがめくられるかも知れない。

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