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【書評】謎すぎる遭難事件の真相に挑むノンフィクション『死に山』

長い間、謎とされてきた異常な「ディアトロフ峠事件」の真相に迫ったノンフィクションです。
ほとんど知られてこなかった、この謎すぎる事件のことがよくわかって大変興味深かったです。『死に山』

※書評の目次一覧はこちらです

1、内容・あらすじ

1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた冬山遭難事故、「ディアトロフ峠事件」

大学生の登山チーム9名は登山後に消息を断ち、この世のものとは思えない異常な死に様で発見されました。

・全員、テントから1キロ半も離れた場所で発見された。
・氷点下にもかかわらず、全員衣服をろくに着けていなかった。
・雪山なのに全員が靴を履いていなかった。
・3人は頭蓋骨折や肋骨骨折などの重傷を負っていた。
・女性メンバーの1人は舌を失っていた。
・遺体の着衣からは高濃度の放射線が検出された。
・テントの側面はナイフで切り裂かれていた。

当時のソ連の調査でも原因はわからず、最終報告書は「未知の不可抗力によって死亡」とのみ書かれました。

事件から50年間、雪崩説やミサイル実験説、果てはUFO説までささやかれましたが、未だに真相は不明。

この事件の謎に、アメリカ人ドキュメンタリー映画作家が、現代の科学と理論で挑みます。

果たして彼がたどり着いた結論とは何なのか。

……という内容です。

2、私の感想

「小説でもこんな破天荒な設定はしないぞ」というくらいの、この事件の特異さにまず言葉を失います。

こんな不思議なやつ、読まずにいられるか!!という感じ。

作者は、かなり綿密な取材で真相に迫っていきます。生半可なミステリーよりもよっぽど面白く、興奮します。

そして最後に作者の結論が示されます。かなり驚き。私の感想としては「この世はどんな不思議なことも起こり得るんだなあ」というものでした。

どこかの公的機関がいつか正式に調査をして、真相を発表してくれないものか、と思います。作者が出したこの見解をぜひ検証してほしいです。

ディアトロフ事件は映画にもなっています。

3、こんな人にオススメ

・「世界の七不思議」などが好きな人
この事件は新しい七不思議に加えてもいいくらいだと思います。

・ミステリーが好きな人
たいていのミステリーはこの本にはかなわないかも。

・冒険小説が好きな人
山岳冒険もの、として読むことも可能です。冬山は恐ろしい。

なお、タイトルは、地元住民がこの山を「死に山」と名付けていたことに由来します。
行ってみたい気もしますが恐ろしい。

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