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【きまぐれ読書論】読書の3つの効用

読書の効用について考えてみました。

普段はそんなことを意識せずに読書をしていますが、ときどきこうやって考えることでモチベーションが上がり、自尊心もくすぐられて、なおいっそう本を読みたくなるというものです。

私が考える読書の効用は、3つです。

1、つらい現実をいっとき忘れることができる。

私は20代前半の頃に、失恋で精神的大ダメージを受けたのですが、とあるホラー小説を夢中で読んでいるうちに物語に引き込まれ、いつの間にか失恋のダメージが軽くなっていた、という経験をしたことがあります。

ちなみにそのホラー小説はこちら。失恋もぶっ飛ぶ怖さでした。

これについては、中島梓さんがエッセイでこう書いています。(なお、「中島梓さん」は、『グイン・サーガ』で有名な栗本薫さんの別ペンネームであり、同一人物です)

しち面倒くさい偉い「文学」はものの役には立たないけれども、「面白くて波瀾万丈の物語」は、飢えた子供をでも、死を見据えている患者をでも、いっとき、その心をとらえ、辛い現実を忘れさせるほどの魅力があるのだ、だから人々はずっと「面白い物語」を求め語り継いできたのだ、というのが、物語作家としての栗本薫の根源的スタンスです。(中島梓『ガン病棟のピーターラビット』より)

何かつらいことがあった時に、緊急避難先として物語に逃げる、というのはかなり有効な手段だと思います。

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2、困ったときに本で調べる、というオプションが増える。

私は、日常生活で何か課題にぶち当たった時、誰かに相談もしますが、その前にまずは本に当たる、ということをします。この手段は、読書習慣が身についていなければ選択肢に出てこないと思います。

これについては、精神科医の樺沢紫苑さんがこう言っています。

この世の中の悩みの95%以上は、本を読めば「解決法」がわかる のです。そしてその解決法を実行すれば、問題は改善に向かって動き出します。  
たとえば、上司との人間関係がうまくいっていないと悩んでいる。そんなときは、大きな書店に行きましょう。「人間関係の改善」の本が、何十冊も並んでいますから、今の自分の状況に最も合った1冊を買って読んでみましょう。そこには、いくつかの解決法、対処法が書かれています。あなたは、それを一つひとつ実行するだけです。(樺沢紫苑『学び効率が最大化するインプット大全』より)

他にも、齋藤孝さんなどが同じようなことを言っていたと記憶しています。

「無数の先人の知恵を借りることができる」というのは、読書の大いなる効用ではないでしょうか。

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3、主人公の人生を受け取り、自分の人生の血肉とする ことができる。

これはよく言われることです。多くの小説を読むことで、たくさんの人生が自分の中に息づくことになります。

これについては、姜尚中さんの本から引用します。

考えてみれば、人はすべて誰かに先立たれた存在です。さびしいことです。しかし、その先立った人の人生の物語を自分の中にもらい受ければ、それは、自分自身の力になるのです。それを誰かに受け渡したら、それは、今度はその人の力になるのです。愛する人に先立たれることは、誰にとってもつらいことです。でも、だからこそ、その物語をもらって、おのれの力とするべきなのです。それを、わたしは「心の相続」と呼びたいと思います。

受け継いでいく命の物語は、架空の人の物語でもよいのかもしれません。「小説」というものが、まさにそうでしょう。見知らぬ人間の人生を、本というものを通して知る。すなわち、読者は小説の主人公の人生を受け取るのです。それによって勇気をもらい、自分の人生の血肉とする ──。そんなことも、あるのではないでしょうか。(姜尚中『NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ』より)

自分の中に、たくさんの人生が息づいている人とそうでない人とでは、人間としての厚みが違ってくるのではないか、という気がします。

以上、私が考える「読書の3つの効用」でした。

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